表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラレルフィスト~交差する拳~  作者: 黒主零
2章:泉湯王国(アク・サスファンテ)と性殺女神(セキシキルアルクス)
43/158

42話「破滅(スライト)VS救済(キュア)」

12:破滅VS 救済


・月のない夜にライフル銃を構えるライラと

月と見紛うような光弾を12個侍らせて浮くシュトラ。

「・・・分かった。あなたの破滅、私が救済します。」

シュトラが目を閉じると12個の光弾の内2つが動き始め、

円を描くように高速回転しながらライラ向けて高速で放たれる。

それはとても目で追える速さではなかった。

が、ライラはそれを直感で回避しつつ発砲して相殺させる。

そして跳躍してシュトラへと向かっていく。

今度は自分の番だとばかりに3発発砲する。

全てに破滅を願った魔力が込められていて一発でも当たれば

どんな物体であっても死滅するだろう。

シュトラはそれを手で掴んだ。

「救いの手を。」

そして破滅が発動するよりも前に救済することで無力化した。

銃弾を手で掴んだだけでまるで魂を天に返したかのように消したのだ。

ライラは目視したあと一度着地。

直後にシュトラの光弾が2発迫り先程までいた場所を大きく抉り裂く。

いつの間にか光弾の数が12個に戻っていて

且つそれぞれが独自に動き始めている。

まだ初動の段階だからか十分に目で追えるがもう数秒で

認識出来ない速さで動き出し文字通り自分の全ては光に還るだろう。

だからそれより前に破滅を与える。

引き金を引かずに触れるだけで発砲。

それも明らかに1つの銃口から発射される量を超えている。

そしてそれは発射されてすぐの中空で無数に拡散して

光弾がどのような軌道を描こうとも必ず討ち滅ぼせるだけの位置に刺す。

この勝負、互いに何も求めるまでもなく掠りでもすれば

相手を消し去ることが出来るであろう一撃を常用している。

だから攻撃に求められるのは手数か範囲だ。

その点1つしかない銃口からしか攻撃出来ない自分の方が不利だろう。

だからこそライラは数を求めなかった。

ばかりかこの勝負において本来必要ない

デッドウェイトとさえされるだろう

威力を求め引き金を絞った。

銃口からは今までの銃弾ではない魔力のビームが放たれる。

そしてそれを放射したままムチでも払うように一面の夜空をなぎ払う。

手数を威力で打ち破り範囲を範囲で打ち破り、

一時的とは言え12個の光弾すべてを討ち滅ぼした。

「・・・・!」

そのまま魔力のビームがシュトラに迫るが

それを手で受け止めて打ち消した。

「・・・私にはどんな攻撃も通用しない。

破滅しか意味を持たないあなたを私が救済します。」

が、直後2発目が放たれた。

今度はなぎ払うのを想定していない直線の極太ビーム。

「・・・無駄なことを。」

シュトラがそれを片手で受け止める。

が、出力が大きすぎて相殺しきれない。

「・・・これは・・・」

「僕はあなたの偽物の救済を破滅させる。

・・・僕があなたの悲しみを

破滅させるからだからどうか戻ってきてください。」

そして抑えきれなくなった破滅の魔力がシュトラを包み込む。

「ああああああああああああああああ!!!!」

空中で大爆発が起きた。

そして全裸のシュトラが落下してくる。

「シュトラさん!」

先回りしてそれをキャッチする。

その腕には確かに重みがあった。

「・・・体重が元に戻っている。

・・・もしかしてこの力で破滅させられるものは

後から上書きされるのか・・・!?」

試しに自分を撃ってみる。

そしてジャンプする。と、普通に地面に戻ってきた。

「・・・やっぱりそうなんだ・・・。

どうしてこんなことに今まで気付かなかったんだろう・・・。」

とりあえずスライトを解除してみる。

「・・・・・・」

シュトラを背負いながらヒカリ、ユイムへと近付く。

確認するまでもなくやはり既に死んでいる。

「・・・とりあえず旅館に戻ろう。」

嘘みたいに軽くなってしまったその体を抱き抱えてステップを使って

旅館までの道を全速力で走っていった。


・旅館。

着いた頃には夜中の3時を回っていた。

部屋に入るとケーラが目を覚ます。

「ケーラさん!無事だったんですね・・・!」

「私は・・・。ですがおふたりは・・・」

ケーラが背負われたシュトラと抱かれたユイムを見る。

「・・・シュトラさんは無事です。・・・でも・・・・」

シュトラを彼女のいた布団に下ろし浴衣を着せる。

そしてユイムの体を布団に乗せる。

もうその体は冷たく、硬くなっていた。

それからライラはケーラから経緯を聞いた。

「・・・性殺女神が既に死んでいる・・・!?」

「・・・ええ。なのでもう性別を殺された人間は元に戻らないと・・・。」

「・・・そんな・・・」

「シキルさん、ヒカリさん、それにラウラさんという方が

今この旅館にいます。・・・名前が似ていますが何かご関係が?」

「え?いや、聞いたことないです。偶然ですよ。」

「・・・・そうですか。」

そして会話が途絶え、自然と視線は動かなくなった彼女へと注がれる。

「・・・どうされるんですか・・・?」

「シュトラさんを操っていた奴には

ユイムさんを生き返らせる手段があるそうです。

なのでそれまでは諦めないつもりです。

・・・ただ、それでももしダメだったら僕はこの人と一緒に眠ります。」

「・・・そうですか。男に二言はない、らしいですね。」

「・・・はい。

せめて体だけでも一緒にしてあげたいじゃないですか・・・。」

「・・・・そうですね。」

やがて朝日が照らすまでの間二人はそのまま俯き続けていた。


・朝が来た。

ティラ、ラモンが起きると他3人はどうしようもなく暗い顔をしていた。

ライラとケーラは無理して笑顔を作ってはいるものの危うい。

シュトラは包帯でぐるぐる巻きにされた何かを抱きしめたまま

壊れてしまったかのように呆然としていた。

「・・・何があったの?」

「・・・今はまだ聞かないで。特にシュトラさんはあのままに・・・。」

「・・・うん、わかった。」

「じゃ、私達は朝食に行ってくるよ。」

空気を読んだのか二人は部屋を出ていった。

シュトラが抱く包帯の塊には当然ユイムの、ヒカリの遺体が包まれている。

それをフリーズのカードで凍らせて腐らないようにしてある。

やがて、部屋にシキルとラウラが来た。

「ヒカリさんは・・・?」

「それが、目を覚まさないんです。」

「・・・ひょっとしてチェンジした先の人間が死んでしまったから・・・」

「・・・かもしれません。本来はヒカリ自身の体ですから・・・」

「返して・・・ユイムさんを・・・返して・・・・」

死んだ目でまるでゾンビのようにシュトラがシキルにせがんだ。

「ユイムさんを・・・・返して・・・・」

「・・・ごめんなさい。私にはどうすることも・・・」

「・・・シュトラさん。ごめんなさい。」

ライラが背後から近付いて優しくシュトラの後頭部に手刀を打ち込んだ。

「か・・・えし・・・・・て・・・」

事切れるようにシュトラはその場に沈んだ。

「・・・シキルさん、ラウラさん。

シュトラさんにナイトメアカードを

渡した人物に心当たりはありませんか?」

「・・・・・いえ、」

「ブランチじゃないの?」

「・・・ブランチにしてはどうも手が込んでるんです。

それにいくらユイムさんのためとは言えシュトラさんが

事前に敵対しているブランチの奸計に手を染めるとは思えません・・・。

だから既にナイトメアカードを手にしていた人物に

何らかの目的のために騙された可能性が高いんです。

事前に僕はブランチに足止めをされましたから

全く無関係というわけではないのしょうが。」

「・・・知ってる限りこの国で

ナイトメアカードを持っているのは私達3人だけ。」

「ですがシキルさんもヒカリさんもラウラさんもずっとここにいました。

なのでやはり別の方だと思います。」

「・・・シキルさん。ラウラさん。

状況を整理したいのでもう一度話してくれませんか?

4年前から今までのことを。」

「・・・分かりました。」

シキルが一度目を閉じ、そして口を開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ