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パラレルフィスト~交差する拳~  作者: 黒主零
2章:泉湯王国(アク・サスファンテ)と性殺女神(セキシキルアルクス)
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38話「泉湯王国(アク・サスファンテ)と性殺女神(セキシキルアルクス)」

8:泉湯王国と性殺女神


・そしてついに到着した泉湯王国。

車道の代わりに川が走り僅かな歩道を残して泉が無数にある。

そしてその泉の上に家が浮いていた。

「ここが泉湯王国・・・」

ライラを含む多くの生徒は初めて見る景色に圧倒されていた。

「・・・変わってないなぁ・・。」

ヒカリだけは溜息1つこぼすだけで特に感動はなかった。

また、この国では主な移動手段はカヌーである。

国の法律によりここではスカイビハイクルは一切使用できない。

そもそもそれだけ大型の乗り物を停められるだけの陸地もない。

そのためスカイバスも少し離れた場所で駐車してそこから

生徒達がカヌーで移動する。

「・・・4日しかいられないのが勿体無いね。」

「そうですね。きr・・・

お姉さまのために写真を撮っておかないと・・・」

ライラ含め多くの生徒がP3でそこら中撮影する。

300年前の戦争で世界の国々はほぼすべてが陸地で繋がれ

海は干上がり小さな川以外の水路はほとんどなくなった現代、

これだけの水面積を見る機会は滅多にない。

泉湯王国は最も残された海に近い国のため

水路が未だにこれだけあるのだ。

むしろこのような世界状況だからこそ

泉湯王国に水路が

集中してしまったと言えるかもしれない。

「・・・あれ?でもヒカリちゃん。

どうしてこの国って誰も歩いてないの?」

ティラが疑問を口にした。

そう、今まで水路の多さに感動して気付かなかったが外を誰も歩いていなかった。

せっかくカヌーで水路を自由に移動できるというのに

その水路は波紋1つなく静かなままだった。

「・・・これを見れば分かりますよ。」

と言うと突然ヒカリはスカートをめくりパンツの股布をずらした。

「な、何を・・・って、え!?」

そこは異質だった。

本来なら陰唇が存在するであろうその場所には何もなかった。

まるで全身肌色のタイツを着ているように。


「ど、どういうこと・・・・?」

「この国はね、4年前に性別を殺されたんです。

性殺女神と言う謎の存在によって

ある日を境に次々と国民は性別を殺されてしまった。

今、泉湯王国人は全員中性なんですよ。

あの日運良く外出しなかった人もほんの少しだけでも外に出たら

一瞬で性別を殺された。それだけじゃない。

性別を殺された人間ももう一度外に出たら今度は精神を殺された。

何かに取り憑かれたような言動ばかり。

だからこの国は事態が解決するまでのこの4年間国交を断絶した。

・・・国交が回復した今もう大丈夫かと思ったんですけど

この様子じゃまだ怖くて誰も外には出られないみたいですね。」

「・・・そんなことが・・・」

と、そこへ。

「お待ちしていました。」

一人の少女がやってきた。

「旅館・Pんパ麗℃(ピンパレード)にようこそ。

私はこの旅館の女将の娘であるシキル・Pんパ麗℃・最首と申します。」

ウェーブの掛かったロングヘアーと声から女性であることは分かるが

背格好に比例しない胸元から

この少女もまた性別を殺されていることが分かった。

「シキルさんはどうして外に・・・」

「それはこの4年間の間に

性殺女神対策が確立されたからです。

パラレルカードがあればある程度は抵抗できる。

・・・それでもまだこの国の殆どの人間は外出を恐れています。」

それからシキルに案内されて旅館に入った。

旅客どころかスタッフすら見当たらない。

下手に風流があるだけに却って不気味な光景となっている。

とかく様々な感情を募らせたままライラ達5人は同じ部屋に向かった。

「・・・一応言っておくけど変なことはしないでよ?」

「・・・シュトラさん、もう色々滅茶苦茶だよ・・・。」

ともあれ浴衣に着替えて夕食時間までゆらりと待つことに。


・一方。

「・・・帰ってらしたんですね。」

厨房。シキルが料理を作りながらつぶやく。

その背後にはヒカリがいた。

「うん、そうだよ。やっぱりここが私の故郷だからねぇ~。

・・・例えどんなに落ちぶれていたとしても。

どこまで谷底に突き落としていたとしてもね。」

ヒカリがつまみ食いをしようとすると

その足元の1枚のカードが突き刺さった。

「・・・・・それがお望みでしょう?」

「・・・話が分かってていいよ。って言いたいところだけど。」

手を止めずに揚げ物をほおばった。

「ホントはホントにつまみ食いしに来ただけなんだよね~。」

「・・・もうあなたという人は・・・!」

フライパン片手にヒカリを追い回すシキル。

ヒカリはカードを拾ってまるで子猫のように

そこらかしこを跳び回って逃げる。

「にひひ。こうやって遊ぶのも4年ぶりだねぇ~!」

「この4年間は平和でよかったですよ!」

「・・・その平和に甘んじてるから

この国は溺れかけちゃってるってのにさ。」

「その話、もう少し聞かせてもらおうかしら。」

と、壁をぶち破ってそこへ一人。

それはユイムだった。

「来たね、ユイム・M・X是無ハルト先輩・・・」

「・・・あなた、どうして・・・」

「なるほど。バッチリなタイミングだよ。」

ヒカリが急に立ち止まって自ら包丁をとって脇腹に突き刺した。

「!?」

「・・・さあ、久々に行こうか。この感覚をさ!」

血だらけで震えるヒカリが1枚のカードを出した。


・温泉。

本来は人で賑わうはずだが性殺女神の一件以来

ほとんど使われていないのかお湯は濁っていた。

なので一度ライラ達全員で掃除をすることになり、

1時間の掃除の後でやっと入浴できるようになった。

「・・・あまり見ないでよ。」

「わ、分かってますよ・・・」

服を脱ぎタオルで体を隠すシュトラ。

発言こそしていないがケーラもなるべく体を見せないようにしていた。

ライラは至って平然と服を脱いでタオルを巻いて浴槽へ向かう。

実を言えばこの4ヶ月でかなり女体には慣れてしまっていた。

もちろん全く興奮しないなんてことはないのだが

自制しようと思えばいくらでも出来るようになってしまった。

時折自分の性別を疑ってしまうほどに。

だから至って平常運転で湯船に浸かり

さも当然のようにティラ達と談話をしている時だった。

「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」

突如笑い声がしたと思ったら天井をぶち抜いて一人の少年が飛来した。

しかも裸マント&仮面と言う珍妙な姿で。

「ぶっ!!!」

思わず吹いたライラを除いた全員は当然悲鳴を上げ桶を投げまくる。

「フハハハハハハハハハハハハ!!!」

その少年は笑いながらステッキを振り回し一番近くにいた女子に抱きつき、

裸の股間と股間をこすりつけ合った。

「きゃああああああああああああああああああ!!!」

その女子は悲鳴を上げて気絶した。

「私を捕まえて見せられるかな!?君達に!」

そして笑いながら裸マントでYATTAを踊り始めた。

・・・もうここまで見れば間違いない。

あの体、自分の物だ・・・。

けど、どうしてここに?ユイムの悪戯?

流石にここまではしないはず・・・。

「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

そしてその少年は裸マントのままフェザーの

カードでぶち破った天井から飛び去っていった。

「・・・ねえライラくん・・・今のって・・・」

「・・・うん、僕の体だ。」

「やっぱりそうだよね、あの大きさと形最近ずっと見てるから・・・。」

「・・・そういうのは言わないで。とにかく追おう!」

ライラとシュトラが急いで風呂から上がって浴衣に着替えて外に出る。

と、

「う、うううう・・・」

「シキルさん!?」

風呂場を出てすぐにシキルが倒れていた。

「どうしたんですか!?」

「い、いきなり裸の男の人に襲われて・・・」

「そ、それでその人は・・・!?」

「そ、外へ・・・」

「分かりました!」

「こー・・・」

「ストップ!ここではスカイカー使えないんだよ!」

「あ、そ、そうだった・・・。ならステップ・行使!」

脚力を強化してシュトラと共に旅館の周囲を探す。

「・・・あれってユイムさんなのかな・・・?」

「・・・分からない。さっきからP3で直接電話を掛けてるけど

全く出てくれない・・・。

けどユイムさんがこんなことをするとはとても・・・」

その時。おぞましい気配が二人を襲った。

「・・・!?」

「な、何これ・・・・!?」

思わず立ち止まる。周囲を見渡して何も変わったところはない。

しかし、確実に何か強大で凶悪な何かが近くにいることは確かだ。

「・・・まさか・・・」

そして次の瞬間には二人は

何か得体の知れないエネルギーのようなものに襲われた。

「・・・ぐっ・・・!」

地面に叩きのめされた二人。

怪我自体は擦り傷と打ち身だけだ。だが、

「・・・そ、そんな・・・」

シュトラの姿を見て声を上げた。

シュトラの胸がなくなっていた。続いて二人とも自分の股間を見る。

そこは先程ヒカリが見せたのと同じようになっていた。

「・・・性殺女神・・・!」

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