35話「突撃!KYMシップ!」
5:突撃!KYMシップ!
・ヒカリと遭遇した後念のため後を追いかけるが
途中で見逃してしまったライラは対策用も兼ねて
ショップに行くことにした。
「ケーラさんの使うクイックや俣野さんが使うタキオンのように
早さか速さを追求したカードがあったら便利だろうけど・・・。」
商品棚を見て回るがその2枚はレアなためか売られていなかった。
取り寄せることも出来たが1枚200万は普通にきつい。
キリエに相談してもいいだろうが
そうなると逃がしたことを怒られそうだ。
「はぁ・・・」
溜息1つこぼして店を出る。
と、いきなり空が暗くなった。
「え?」
見上げると超巨大な飛空艇が飛んでいた。
しかも外壁にはKYMとデカでかと塗装されていた。
「KYMってまさかティラさん・・・?」
とりあえずメールをしてみる。
と、
「うん、そうだよ。あたしの家スカイビハイクルのメーカーだもん。」
スカイビハイクル。
この時代では当然のように使われている空飛ぶ乗り物。
スカイカーはもちろんのことスカイバス、スカイシップ、スカイホースなど色々ある。
その全てを作ったメーカーというのがKYMグループなのだ。
そのためか現在のKYMグループの住居はそれ自体が超巨大な製造工場である
超巨大商業母艦KYMシップとなっているのだ。
「で、でかい・・・」
早速招待されたライラが艦内を見て回る。
「えへへ、すごいでしょ。」
ティラがくるくる回りながら笑顔を見せる。
KYMシップ、全長7200メートル。
スカイカー製造工場、スカイバス製造工場、
その他工場、住居区の4つに分かれている。
ギネス認定されている程大きな民家である。
「・・・僕の知る民家とは色々と認識が違うみたいですね。」
「にゃはは・・。よく言われる。
あたしにとっては生まれてからずっとここだったから・・・。」
「・・・お、ユイムじゃないか。」
と、一室からラモンが出てきた。
「あ、ラモンさん。ラモンさんも招待されてたんですね。」
「え?あははは、そうかまだ言ってなかったっけ?私ここの子だよ。」
「・・・え?親戚なんですか?」
「そうじゃないよ。
実はミドリュエスカラナイト家も乗り物業だったんだけど
私が生まれてすぐにKYMに買収されてね。
ユイムは分からないと思うけど12年前に起きたスカイシップ墜落事故。
あれでミドリュエスカラナイトの人間は私以外死んじゃってね。
それから私はここの子だよ。ティラが拾ってくれたんだ。」
「・・・そうだったんですか。すみませんお辛い話を・・・」
「そう畏まらなくていいって。私達の仲じゃない。」
「そうだよユイムちゃん。
あたしの船にいる間はそんな暗い顔しちゃダメだよ?」
「・・・はい。」
それから艦内を見て回ったり自慢の温泉に入ったり工場見学をした。
「・・・・ティラさんって意外と大きいんですね。」
「え?そうかな?」
「はい・・・。パラレル部のメンバーで一番大きいんじゃないですか?」
「そ、そうかな~~~?」
「まあ、この子ちっこいのにDカップだからね。
・・・・それに引き換え私は・・・・」
ラモンが壁に頭を打ち付けて何かブツブツ言い始めた。
「え、えっと・・・」
「ユイムになら私の苦悩分かるでしょ?同じAカップだものね・・・。」
正直よく分からなかったりする。
本人には悪いがあってないような
サイズでほとんど気にならないし。
まあしかしティラのは見事だった。
自分よりも背が低いというのに部活の中で一番大きいかも知れない
その小悪魔ボディ。正直何度女の子同士の触れ合いとして揉もうとしたか。
・・・まあ、シュトラがいたから無理だったが。
しかし、今なら行けるか・・・?幸い風呂上りで3人ともラフな格好だ。
シュトラもケーラもキリエもこの場にはいない。
あれ?これってチャンスじゃね?
そう手をわきわきさせた時だった。
「ピンポンパンポーン!」
艦内放送が流れた。
「ティラお嬢様、ラモンお嬢様、ユイムお嬢様。
艦長がお呼びです。すぐブリッジまでお越し下さい。」
・ブリッジ。
3人が制服に着替えてそこまで向かった。
「どうしたのパパ?」
「これティラ。ブリッジでは艦長と呼びなさいとあれほど・・・。
っと、これは失礼。ユイムさん。
初めましてティラの父でKYMの社長でありこの船の艦長でもある
ノーザスター・KYMと申します。」
「あ、はい。ユイム・M・X是無ハルトです。」
一応心の中でライランド・円cryンを名乗っておく。
「ティラ、ラモン、ユイムさん。
実は明日KYMの後継者を決めるための試合があるのだ。」
「へ?それってティラさんじゃないんですか?」
「ええ、今は私がKYMの社長ですが先代は私の父でして、
私が長男なのでそのまま受け継いだのですが
私には兄弟は5人いてその子供達の誰かが次期後継者に選ばれるのです。」
「ちなみに明日はあたしの誕生日なの。16歳だよ。」
「あ、おめでとうございます。」
「えへへ、でもあたし後継者とかって別に興味ないんだけどなぁ。」
「な、何を言うかティラ!」
「だって今までだってお小遣いは月3000円、
日用品はともかく文具とか通学用スカイカーは市販のもの!
年商6000兆は軽い家の代表者の
長女だとは思えない生活だったんだもん。
それで15年と355日過ごしてきてもう今更ブルジョワに
なれるって言われてもあたし興味なんて欠片もないんだよ?」
「し、しかし・・・」
「とにかくそんな試合あたしはパスするからね。
今週末の臨海学校の準備とかしないといけないし。」
「ぬ、ぬう・・・!だがラモンはどうなる?
言っておくが私だからミドリュエスカラナイトの家の者を
ここに置いているのだぞ?
他の後継者がそれを許すかどうかはまだわからんぞ!?」
「許さなかったらあたしラモン連れて家出するもん!」
「ぬ、ぬうう・・・」
「・・・・・。」
何となくだがティラの姿がユイムと被ったような気がした。
しかしさすがにこの状況では口を挟めない。
と言うかどうして自分が呼ばれたのだろうか。
「・・・ティラ、もういいよ。」
「ラモン・・・?」
「お父様、この勝負出ようと思います。
私を拾ってくれたその恩はティラを
後継者にすることで果たそうと思います。」
「おお!ラモン・・・お前という奴は・・・」
「で、その試合というのは・・・?」
「うむ。私の弟の娘が三つ子でな。3人で後継者になりたいというのだ。
だから明日3対3対3対3対3の試合を行いたいそうだ。
そこでユイムさん。あなたにはティラ、ラモンと共に試合に出てもらいたい。」
「え?僕ですか?試合ってパラレルですよね・・・?」
「そのとおり。あなたの実力が如何程なものかはよく存じ上げています。
お礼の方は何なりと致しますのでどうか私の娘達の未来を・・・」
「・・・」
ティラの方を見る。困ったような顔をしている。
ラモンの方を見る。自分にすべてを任せるとでも言いたそうな表情だ。
「・・・ティラさん。
僕はあなたがどうしても後継者になりたくないというのなら
あなたの意思を尊重してお断りさせてもらう所存です。
でも、あなたが後継者になってもいいと
いうのなら僕は力を惜しみません。」
「・・・ユイムちゃん・・・。・・・うん、分かったよ。
あたしも後継者になったらみんなの力になれるかも知れない。
なれるんだったらあたし、後継者になってみんなの力になりたい!」
「・・・よく言った。
その想いがあれば財力への欲望などに負けはしないだろう。」
それから一度ライラはX是無ハルトの家に戻った。
「じゃ、明日迎えに来るからね。」
「はい。・・・頑張りましょうね。」
「うん!」
そうして今日は一度別れることになった。




