25話「決戦!ユイムVSライラ!!」
25:決戦!ユイムVSライラ!!
・控え室。
「あなたの目的は果たせたでしょう?」
ライラ側の控え室に訪問者。
「・・・リイラ・・・そ、それは・・・」
リイラの背後には葵、飛鳥に羽交い締めにされながらも
ぶすったれた表情の一人の少年が立っていた。
それこそまさにかつての自分、ライランド・円cryンだった。
「・・・・・・・」
「誰かは分からなかったけどこれは
あのエキシビジョンの事故の後ひょっこり帰ってきた。
でもまるで以前とは別人だった。
ウジウジしていた性格が打って変わって明るくなって
しかも女遊びまでするようになって家に帰ってこない日も
多かった。最初はあんた達があの日何かしたのだと思ってた。
だけどあの交流試合で分かった。
あんたからのメールでもっと分かった。
あの日以来あんた達はチェンジのカードで入れ替わっていたのよ!
姿を変えたのではなく、ね!」
リイラがライラの姿をしたその人物を睨む。
「い、入れ替わっていたってことはまさかあなたは・・・」
「・・・・・・・・・・。」
「十中八九そうでしょう。ユイム・M・X是無ハルト・・・!!」
直後。
「ブルー・解放!」
キリエが1枚のカードを発動させた。
それにより控え室が全て蒼い空間と変貌した。
「昔から変わらない。
都合が悪い時はそうやってそっぽを向いて何も喋らない・・・。
ようやく見つけたわ・・・ユイム・・・・!!!」
全力の殺気がユイムに向けられた。
「・・・相変わらずだねお姉ちゃん。」
やっとユイムが口を開いた。
その言葉は声はライラの物だが口調はユイム本人のものだった。
「ナイトメアカードに手を出し船を沈め数多の死傷者を出して
その上自分を慕う少年を利用して女遊びに明け暮れていたなんて
あなたはもうX是無ハルトではない・・・ただの罪人・・・!
いまここで私が跡形もなく葬り去ってやる・・・!」
「いいの?その子の体だよ?」
「・・・・っ!」
動揺。
僅かに生まれたその隙にユイムは自分を抑える二人を
払って部屋のドアを開けた。
「!?」
「ちゃあんと試合には出てあげる。
だから逃げないで来てね。ライランドくん。」
それだけ言ってユイムは部屋から去っていった。
「・・・まさか、私の世界から抜け出した・・・?」
キリエが唖然とし世界が元に戻っていく。
「・・・ユイムさん・・・」
・舞台。
「ではこれより第602回タイトルマッチを行います!
防衛者はユイム・M・X是無ハルトさん!!」
そう言って出てきたのは本当にユイムだった。
「え、あ、あ、あれちょっと、なにしてんですかライランドさん!」
「いいから続けてよ。そうすれば来るからさ。」
「はあ?は、はぁ・・・。
で、では挑戦者はライランド・円cryンさん!!」
そしてそこへライラが走ってきた。
「・・・はあ・・・はあ・・・・はあ・・・・」
「・・・それでこそ僕に対する挑戦者だよね。」
「えっと、何が何だか分かりませんが試合始めてもいいんでしょうか・・・?」
「あ、どぞどぞー。」
「あ、はい。・・・・こほん。
では、見合って見合って・・・試合開始っ!!」
アナウンス。
号令と号砲。
両者のカードが宙を切る。
「・・・まずは久しぶりだねライランドくん。」
「・・・ユイムさん・・・」
「サイレントを使っているから僕達の会話は聞こえない。
だから安心して話していいよ。」
「ユイムさん!どうしてこんなことを・・・!?」
「こんなこと?二人の体が入れ替わっちゃったことかな?」
「それもそうですし、もっと色々な・・・!」
「まあいいじゃん。
まずは挨拶代わりに、ガイザレス・行使!」
カードが発動され強大な魔力の塊が爪のような形となって放たれる。
「!?」
ライラがそれを回避する。
が、先程まで居た場所はまるで
超巨大なタカかトラに爪で引き裂かれたかのように破壊されていた。
「・・・この威力、ナイトメアカード・・・!」
「へえ、君もやっぱりナイトメア知ってるんだ。
でも僕も知ってるよ?君、僕のこと好きなんだって?」
「そ、それは・・・」
「君とチェンジで入れ替わってから周りの人達から
話を聞いたり君の部屋にあった録画ディスクから
嫌でも分かっちゃったよ。
僕も君のことは好きだよ?だってこんな素晴らしい体をくれたんだもの。」
2発目。
ライラは回避しきれず防御の構えを取る。
「ぐっ・・・・うああああああああああああ!!!」
舞台の半分以上が消し飛び、
その残骸にズタボロとなったライラが倒れる。
「あ~あ、もうちょっと上手く防いでよ。
一応僕の体なんだからね、それ。
それに今は君が僕の姿。僕が君の姿。
どっちが勝っても名誉的にか精神的にかの違いだけで
僕の勝ちではあるんだけど出来れば名誉的に勝ちたいんだよね。
だから君にはもうちょっと頑張ってもらわないと。」
「・・・・う、うううう・・・・」
「ほら立って立って。
もうとっくに僕の体には慣れてるんでしょ?
だから戦えないわけじゃないよね?」
「ゆ、ユイムさん・・・・」
「もう、君は戦う気がないのかな?
君が勝ったら僕は君のものになってあげるよ?
ま、その逆もまた然りだけど。」
「ど、どういうこと・・・?」
「ナイトメアカード。
多用すると自分一人の魔力じゃどうしても足りなくなるんだよね。
だから僕は君を倒して君の魔力を根こそぎ頂くよ。
元々僕の魔力なわけだしね。
逆に君が勝っても僕はチェンジのカードで元の姿を取り戻して
今僕が握っているこの魔力を貰うだけ。
ま、その場合は僕にはないアレを魔力で調達しなきゃいけないんだけどね。
シュトラから聞いてない?僕ってレズなんだよね。
家がアレで厳しくてさ。一回ヤってる事知られてすごい怒られて・・・。
だから今までの生活は僕にとっては黒歴史。
でも今は違う。傍から見たら男と女。アハッ!僕ってビッチ~!」
「・・・・・・・・」
「あれ?ひょっとして幻滅しちゃった?
もう僕のこと好きじゃない?キモイって思ってたりする?
でも残念。もう君は僕から逃げられない。
どっちにしろ今日ここで君は死ぬんだからね・・・!」
「・・・違う。」
「え?」
「あなたはユイムさんであってユイムさんじゃない。
今のあなたはユイムさんじゃない!ステップ・行使!」
脚力を強化して一瞬でユイムの背後を奪い、コブラツイスト。
「くっ・・・!またこれか・・・・!」
「君は魔力暴走体質だ。
そのせいで一度パラレル部の仲間達を怪我させて
それで責任を感じて独りになった。
でも、その後で追いかけてきたシュトラさんも
独りで部活を立て直そうとしていたケーラさんも、
ティラさんもラモンさんもあなたは見捨てなかった!
それなのにあなたが悪夢ごときであの4人を見捨てるはずがない!」
「な、なにを・・・・」
「だから・・・だから僕がここであなたの悪夢を終わらせる!
例えその悪夢の力を使って破滅の未来を引き寄せたとしても!」
直後ライラの手にビーストのカードが出現した。
「ビースト・行使!
ぐっ・・・・・うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
全身の血液が沸騰しそうなほど灼熱になり
血管を突き破るほどの莫大な魔力が赤い蒸気を纏って全身を包み込む。
その尋常じゃない熱気と魔力がユイムの、ライラの体にも伝わって来る。
「そ、そんなことをしたら・・・・君も・・・・・」
「はあああああああああああっ!!!」
そしてその状態でジャーマンスープレックスを叩き込む。
自分の体を硬い地面に亜音速で叩き込む。
「がはっ・・・!!」
まるでミサイルでも撃ち込まれたような爆音と衝撃。
「はあ・・・はあ・・・・はあ・・・・」
ライラが息を切らす。
両腕だけでなく全身から血煙が漂う。
対してユイムは生じたクレーターの中に倒れていた。
「い、今の内にチェンジのカードを・・・・」
ライラがよろよろとした足取りでユイムに近付く。
が、突如ユイムの、ライラの体が宙に浮かび上がり
ものすごい魔力をばら撒きながら移動を始めた。
「!?」
立つのがやっとなライラは簡単に弾き飛ばされてしまう。
「ユイム・・・!」
客席からキリエが飛び降りてそれを追いかける。
「お兄ちゃん!!」
続けて飛び降りてきたリイラがライラを抱き起こす。
「お、追わないと・・・・」
「でも!」
「は、早くしないと・・・・」
「・・・もう相変わらず馬鹿なんだから!!」
リイラがライラを担いで先を走るキリエを追いかける。
「・・・・えーっと、どうすればいいんでしょうかこれは。」
残ったのは困ったアナウンスだけだった。




