21話「可能性という名のチカラ」
21:可能性という名のチカラ
・山TO氏パラレル部VS萬家高校チーム風。
タッグ2戦目。
チーム風からは小濱飛鳥とリトル・レディレディ・ジュリエット。
対して山TO氏はマリナとマリア。
「シンクロとバレット・・・!」
飛鳥が身構える。
と、マリアとマリナが走り出した。
まだ高等部5人ほどの身体能力はない。
だが、走り込みは得意だった。
「フレイム・行使」
飛鳥がカードを使って爆炎を呼び起こし、放つ。
「うああああああああああ!!」
その爆炎の中をまるで古いアクション映画のように
全速力で走り抜ける二人。
そして相手方の周りを円を描くように走り出した。
そのままバレットの効果で体中から魔力の弾丸を発射する。
ただのバレットではない。
マリアの使ったシンクロによりマリアもその力を使えるようになっている。
よって二人は円を描くように走り回りながら
全方位から魔力の弾丸を二人して連射しまくっているのだ。
純粋に弾幕の量は2倍。
しかも相手方には分かりづらいがマリナのバレットは
威力が低い反面速度が速く、
マリアのバレットは速度が遅い分威力が高くなっている。
「くっ・・・!」
「わわっ!」
その全方位からの弾幕を前に飛鳥は
フレイムを一度中断してリトルを担いで走り出した。
「ロケット・行使!」
カードを発動して両足がロケットのようになり
ジェットエンジンで二人の間を抜けて円の外に出た。
「う、」
「抜けられた・・・・!?」
「リトル!準備は?」
「はい、出来ています!使いますか!?」
「今すぐに!」
「はい!」
と、リトルが1枚のカードを取り出す。
そのカードには尋常じゃない魔力が込められていた。
「あれは・・・!?」
ライラが身を乗り出した。
直後、
「エアリアル・解放」
カードを中心に景色が変わった。
「な、何これ・・・!?」
「そ、空が・・・・!!」
そして一瞬で景色すべてが青空に変わった。
上も下もない重力の全てから解放された全方位の青空。
「・・・そんな、あれを、あれの封印を解ける人がいたなんて・・・・!」
「どういうこと?」
「あれは旧帝都タワーに封印されていた空間支配系カード・・・!
150年以上前に朗先生が100人分の魔力を込めて封印した、
伝説のカード・・・・!」
「100人分の魔力・・・!?」
ライラとシュトラが驚く。
「わ、わわわっ・・・・!!」
重力から解放されてマリナとマリアがまるで宇宙にいるように
その場で回転を始めてしまった。
「と、止まらないよぉ~!!」
「はあ・・・・・・はあ・・・・・・・・・・・はあ・・・・・・・」
「リトル、大丈夫か?」
「は、はい。まだ制御できています。
でも、もしもの時は・・・」
「ああ、俺が止めてやる。
だから今はシミュレーション通りにやるんだ。」
「・・・・・・・はい・・・・・・!」
リトルの目が光ると、
マリアとマリナは突如見えないジェットコースターにでも
攫われたように全方位の空を猛スピードで移動し始めた。
「きゃあああああああああああああ!!!」
「ひゃあああああああああああああああ!!」
「・・・・はあああっ!!」
そして急激に角度を変える。
当然ものすごいGが二人を襲う。
きっとライフで守られていなければ激しく嘔吐していただろう。
しかし消耗が激しいのはリトルも同じだった。
空間支配系カードを扱うには常人の3倍以上の魔力が必要だ。
それに強力すぎるため制御にもかなりの魔力や体力を消費する。
今リトルは最初から最後まで全力疾走でフルマラソンをしているような状態だ。
「はあ・・・・・はあ・・・・・・・はあ・・・・・・・うううっ・・・・!」
「リトル、もう限界だ。解除しろ。」
「は、はい・・・・・うっ!!」
しかしそこでリトルは気絶してしまった。
本来発動者が気絶すればカードは中断される。
だが、空間支配系は違う。
飽くまでも空間支配系にとって発動者は動力源であり
舵に過ぎないのだ。
だから意識を失っても本人の魔力が尽きてしまうまで
永劫止まることがない悪夢の空となってしまったのだ。
最悪このままリトルの体力も魔力も吸い尽くされてしまえば
ライフの上からでもその命の灯火が消えてしまい、
そうなればもはや誰にもこのカードを止めることは出来なくなってしまう。
当然既に試合どころではない。
のだが、
「・・・・えいっ!!」
マリアとマリナがリトルにしがみついた。
「お前達何を・・・・」
「シンクロ!」
「シンクロ!」
「「シンクロ・双行使!!!」」
二人同時に改めてシンクロを発動する。
それによりリトルが一人で負担していたエアリアルの制御を
この二人で補う事となった。
が、それでも魔力がものすごい速度で吸われていく。
「ま、負けない・・・・!」
「ど、どんな人にだって可能性があるのなら・・・!」
「「私達はその可能性を最後まで諦めない!!」」
二人のシンクロにより少しずつエアリアルが制御されていく。
そして、ついに景色が元に戻った。
「・・・やった・・・のか・・・?」
飛鳥が周囲を見渡す。
数分程度しか離れていなかったというのに
妙に懐かしく感じてしまう本来の舞台。
そして、
「・・・・・・・・はあ・・・・・・はあ・・・・・・・」
カードを握ったまま気絶していたマリアとマリナ。
「・・・おいおい、まさか・・・」
飛鳥が慌ててエアリアルのカードを見る。
そしてそのパスを辿るとカードの持ち主が
リトルからこの二人に変わっていた。
「・・・で、これどうなの?」
飛鳥が周囲を見渡す。
自分以外は全員気絶していた。
「馬鹿者。お前の負けに決まっておろうが。」
と、顧問に言われ潔く手を上げた。
試合が終わってすぐ3人は担架で医務室に運ばれていった。
「・・・結局俺は何も出来ていないわけなんだがなぁ・・・。」
おどけたような仕草を見せてから飛鳥は控室に戻っていった。
「中等部の皆さんは医務室に行ってあげてください。」
ケーラが言い、18人の中等部メンバーが急いで控え室を去っていく。
「・・・じゃあケーラさん。次は任せたわよ。」
「はい。部長としてこのまま無敗を続けるつもりです。」
シュトラとケーラがハイタッチをしてケーラが控え室を後にする。
「・・・で、ライラくん。次の相手は誰だと思う?」
「この構成なら恐らく僕の次に強かったあの人だと思う。
僕より1つ年上でチームのリーダー格である俣野葵・・・!」
・舞台。
先程まで青空一面だったが今は何の変哲もない
芝生の上の広場。
そこにケーラがやってきた。
そして相手方も俣野葵がやってきた。
背の高い中性的な男子高校生。
今時珍しい名前が漢字だけの人物。
「では、第三回戦!
山TO氏パラレル部所属ケーラ・ナッ津ミLク選手と
チーム風所属俣野葵選手の試合を始めたいと思います!」
アナウンス。
互いに口を開かぬまま懐のカードに手をやる。
「では、試合開始っ!」
号令と号砲。
同時にカードが宙を切る。
「ポール・行使」
「タキオン・行使」
互いにカードを発動し、ケーラがポールを振り回す。
「・・・・」
葵は動かぬままそれを見やる。
と、突如葵がしゃがみその頭上を何かが通り過ぎた。
「!?まさか今のを・・・!?」
「・・・なるほど。
ただの棒かと思ったら先端に見えない鉄球が付いてるのか。
その上振り回すことで先端から鎖が伸びて鉄球が遠くまで届く。
つまり棒ではなくモーニングスター。」
「・・・まさか、初見で見破られるとは・・・!」
「だけじゃない。」
直後。
葵はケーラの背後に立っていた。
「!?」
「いい反応だ。しかし遅い。」
後ろからポールを掴まれ首に引き付けられた。
「・・・・くっ、」
首が絞まる前にポールをカードに戻して距離を取る。
が、距離をとったはずなのに気付けば葵がまた背後に立っていた。
「そんな・・・!?」
「サンダー・行使!!」
そして抜いたカードから電撃が放たれケーラを背後から穿つ。
「ううううううううううううううううううううう!!!!」
電撃に打たれながら懐からカードを取り出す。
「クイック・行使!」
発動、同時に葵の全身がバケツを被ったようにびしょ濡れになった。
「な・・・!?」
そして手に持ったサンダーのカードからの電撃が自分にも襲いかかる。
「タキオン・行使!」
が、それが命中するより先に葵は眼前から消えた。
「・・・やはり、」
前方。10メートルほど離れた場所に無傷の葵が立っていた。
「回数制限と時間制限がある超高速移動・・・!」
「ご名答。このタキオンのカードは時間より速い。
1回3秒で3回しか効果がないが
発動した瞬間にはもう俺の体は時間より速く動けるのさ。」
葵がタキオンのカードを見せる。
「・・・だから光よりも速い・・・か。
ですが、どんなに速く動けようとも私は負けるつもりはありません。」
ケーラがカードを握る。




