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パラレルフィスト~交差する拳~  作者: 黒主零
1章:交差する拳
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18話「水の楽園?それとも悪夢?」

18:水の楽園?それとも悪夢?


・MMも顧問として就いて新入部員も入り、

25人用の練習メニューも完成して無事始動し始めたパラレル部。

何だかんだでそれなり以上に部活として目立ってきていた。

「え?プール掃除ですか?」

ライラが聞き返した。

「そう。本来プール掃除は毎年いくつかの部活が

担当するんですけどうちは2年連続で人数不足で

出来なかったこともあって今回は25人もいるということで

私達だけで掃除をすることになりました。

掃除自体は2時間もあれば終わるでしょう。

その後は一番風呂ならぬ一番プールを満喫していいそうです。」

部室。

今日のメニューが急遽変更となった。

中等部の子達はみんなキャーキャー言いながら更衣室へと向かう。

「体操着で行うんですか?」

「いや、水着です。」

「え、でも僕水着なんて持ってきてませんよ?」

「へ?・・・ああ、そう言えば知らないんでしたっけ。」

「ユイムちゃん。この学校は自動で水着が無限に出てくるんだよ。」

「・・・・は?自動で無限に水着?」

「そう。まあ、百聞は一見に如かずだよ。」

その流れで高等部の5人も更衣室に向かう。

「・・・変な気起こさないでね。」

「・・・いちいち言われなくても・・・」

シュトラに耳打ちされた。

どこまで信用がないのだろうか。

まあ、一人だけ男なのだからしょうがないといえばしょうがないか。

それからみんなでプール前の更衣室へ行くとなるほど。

自販機の傍にあるゴミ箱のような機械の前に立つと、

自動で体格が読み取られてそれに最適なサイズの水着が

まるで印刷したプリンタのように出てきた。

それがここの更衣室には20機ほどあった。

早くも中等部の子達は水着を出して着替え始めていた。

当然水着になるのだから下着も脱ぐわけで・・・。

「・・・ユイムちゃん?」

「あ、ううん!何でもないよ!?」

思わず鼻の下が伸びたところをティラに注意されてしまった。

不意打ちだったからか少し声が裏返った。

そして当然のようにシュトラから睨まれる。

それから5人も専用の水着を出されて着替えることに。

自らも一切の服を脱ぐという状況下で

同じ部屋で年下の女の子達があられもない姿できゃっきゃきゃっきゃと

はしゃぐ姿を見させられてはもはや勃起の幻覚が起きても不思議ではない。

(・・・やっぱり探そっかな。下半身だけ元の姿に戻れるカード。)

「何を不埒な考えをしているんですの?」

「いや、何もそんなことは・・・・って」

声。

慌てて振り向くとそこには水着姿のキリエがいた。

「きり・・・お姉さま!?どうしてここに!?」

「今日はMM先生が職員会議のため

あなた方を担うことが出来ないようなので私が代わりに

監督を任されましたわ。

当然私も生徒なので掃除に参加することになりましたが。」

突然のキリエの登場にはシュトラも驚いた。

そう言えばライラの素性を知ってからキリエと会うのは初めてだ。

その上キリエには自分が事情ライラを知っていることを

知られてはいけない。

つまり今日はライラをユイムとして扱わないといけないということだ。

(・・・上手くいくのかな・・・?

本物のユイムさんならたとえ記憶喪失であっても

いつもどおり平静を保つことは出来ても事情を知って

今のユイムさんが実は’男の子’のライラくんだって頭が

認識しちゃってる今の状態であのキリエさんを相手に

演技ができるのか・・・・?)

「・・・どうかされまして?イグレットワールドさん。」

「あ、いえ、何でもないです!」

(とにかく今日はあまりライラくんと関わらないほうがいいわね・・・。)

しかしそう思っても隣でライラは着替えていた。

イコールで自分もライラの隣で着替えなくてはならない。

水着にだから全裸になる必要がある。

そして周りに誰も自分の体を隠そうとしている子はいない。

だからここで自分が体を隠すのは不自然。

つまり、

(・・・ライラくんに裸を見せないといけないの~~~!?)

素性を知ってからはたとえシャワーを浴びる時でも

タオルで隠していたり離れていたりでずっと見せないでいた。

それを、今日、ここで、初めて解き放たないといけないということなのか・・・!?

「・・・・ううう、」

赤面に涙目、ガクガク震えながらゆっくりと制服のボタンを外していく。

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・キッ!」

尻目で覗こうとしていたライラに睨みを効かせる。

慌ててライラがそっぽを向くと同時にワイシャツを脱ぐ。

スカートを下ろし、ブラジャーを外してそしてパンツを・・・。

「・・・・・あ、」

やっぱりライラがこちらを見ていた。

自分も着替えながらなるべく不自然にならないようにしているであろうが

その上でチラチラとこちらを見ていた。

・・・既に胸は見られている。

咄嗟に隠そうともしたけど背中に感じるような気がする視線のためにそれをしない。

(・・・・見られてる。すごい見られてる。

ライラくんに私のお、お、おっぱい見られてる・・・。

も、もう!私の体はユイムさんだけのモノなのに・・・!)

そのまま今度は取り残された最後のショーツに手をかけた。

そしてゆっくりと下に下ろす。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ついにショーツを下ろしきり、完全に脱いだ。

今、完全に生まれたままの姿をライラに晒している。

(・・・・ううう~~~、あ、熱いよ~~~~。

体中がのぼせそう・・・。

ほ、本当に全部脱いじゃった・・・・。

本当にライラくんに・・・全部見せちゃった・・・。

・・・・・あ、そうだ。)

「もうユイムちゃんったらさっきからジロジロ見すぎだよ?」

「ふぇ・・・!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ライラがたじろぐ。

それはシュトラに指摘されたからではない。

その背後。

あらゆる悪鬼羅刹をもそれだけで殲滅しそうな形相の

キリエが一縷のよそ見もなしにその視線の全てをこちらに向けていたからだ。

その事実にガクガク震えている間にシュトラはさっさと水着に着替えた。

「じゃ、お先に。」

シュトラがあっかんべーをしてから部屋を後にすると、

これでもう更衣室にはライラとキリエだけになった。

「・・・何か言いたいことはありますか?」

笑顔!笑顔だった!

それは見る人によっては癒されること間違いないだろう。

だが、これまた見る人によってはそれはどんな恐怖映像よりも

著しく肝をがっちりと掴まれそのまま握りつぶされるかのような

見えない力を感じてしまうような笑顔だった。

「お、お、お姉さま・・・?」

「はい、なんでしょうか?」

「・・・僕、もう少し長生きがしたいです。」

「そうですか。そちらをお望みなのですわね。」

「ひっ!」


・それから数十分後にキリエと

何故かズタボロになったライラがプールサイドにやってきた。

同時に部員全員でプール掃除が始まった。

「・・・自業自得よ。・・・って言いたいところだけど大丈夫?」

「・・・僕は今日初めて誰かを恨む気持ちと

逆に絶対に逆らえない存在があるってことを知ったよ。」

ブラシで床を磨くシュトラと雑巾のように絞られた腕でライラがモップで洗う。

最初にケーラが言った通り2時間程度で掃除は終わり

給水をしてからみんなでプールで遊んだ。

「ユイム、あなたはプールサイドの掃除をしてから終わりなさい。」

「は、はい・・・お姉さま。」

1時間ほど遊びすっかり日も落ちてきた頃。

キリエはユイムにそれだけ告げて他のみんなは更衣室に戻っていった。

今日は酷い目にあった。

けど今日は初めてシュトラの裸を見れた。

「・・・後で何言われるか分かったもんじゃないけれど・・・。」

とにかくなるべく時間をかけて他のみんなが着替え終わった頃に

こっそりと更衣室に戻って着替えた。


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