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パラレルフィスト~交差する拳~  作者: 黒主零
5章:パラレル交差する明日へ
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147話「The last element」

28:The last element


・今までに長い歴史が地上を動かし続けてきた。

文明が生まれ育つ中には当然報われた命ばかりではない。

名前すら与えられずに地上を去った命が無数にあるだろう。

何1つ不自由なく育っていながらも惨めに殺された存在だってあっただろう。

それらの全てが虚無へと落ちていく中で最後に募らせた万感が

形となったねがい達をブランチは自らの力のため、贄としている。

そうして得た力で文明を貪り尽くして更なる力を得ていく。

いつしか地上の物は歴史も文明も命も全てがブランチの贄となっていた。

今、この文明もまたその歴史に幕を下ろそうとしていた。

虚無へと還されそうになっていた。

しかし、最後に残った者達が牙を上げ姿を見せた。

「・・・まだ足掻いて見せるか。」

口なき物体が空気を震わせ声を上げる。

「僕達はまだ誰も諦めていない。」

ライランド・M・X是無ハルト。

「力っていうのは自分のために使うものじゃないよ。」

ユイム・M・X是無ハルト。

「何かを守りたいって時に使うものだよ。」

ティライム・KYM。

「その守りたいものが狭く少なく弱い奴ほど器もまた小さいのよ。」

赤羅門・ミドリュエスカラナイト。

「愛した人のためとかね。」

シュトライクス@・YM・X是無ハルト。

「それに力とは強さの一部でしかありません。」

ケーラ・ナッ津ミLク。

「心技体、全てを持った者こそ強さを持てるのです。」

キリエ・R・X是無ハルト。

「心も技も体も借り物のてめぇに強さが宿るわけねえよな?」

風行剣人。

「そんな愚物に人類の進化の邪魔などさせはしない。」

パラディン。

その9人が静かにブランチへと向かっていた。

「ふん、脆弱な者共が。それが最期の言葉か・・・!?」

嗤い、魔力の塊が発射された。

煌牙キマイラ大地ガイアス純闇カオス!!」

転移テレポート

それぞれカードを使った剣人とパラディンが攻撃を回避。

ガイアスがキリエを抱えて大地を走る。

そして、魔力の塊が残った6人を飲み込んだ。

直後。

希望パラレル行使サブマリン)!!」

闇が消し飛び、6人が1つになった姿・パラレルが姿を現した。

「・・・何だと・・・!?」

「行くぞ!ブランチ!!」

さらにパラレルは背中から翼を生やし、その両目を真紅に変える。

交差した未来の到達点、パラレル・ジュネッス。

彼女が闇を払いながら飛翔する。

「・・・ありえない・・・!

複数の魂が1つになるなど・・・!?」

「それがお前の、一人の限界なんだ!!」

パラレルが直径100メートルの火炎弾を2000以上生み出して

それらを一気にブランチ集合体めがけて発射する。

それらの多くは地面から生えた強大な腕によって阻まれた。

が、生まれ続けた炎が次々と阻もうとする腕に突っ込んでいき、

ついには貫通してブランチ集合体に命中する。

「・・・想像以上だ・・・」

「確かに。」

初めてパラレルを見た剣人とパラディンは正直に感嘆した。

そしてその下にいたキリエは何故か得意そうに。

「ガイアス、ドームを。」

「・・・分かった。」

予め可能な限りチャージを使っていたティラ達によってガイアスには

膨大な魔力が溜められていた。

その魔力を用いてブランチ集合体を覆うほどの岩の膜を作り出す。

「多少強引ですがこれでここは密室へと変わりましたわ。」

キリエが懐から1枚のカードを取り出す。

「行きますわよ!ブルー行使サブマリン)!!」

カードが発動され、世界が蒼き闇に包まれていく。

「これは・・・・!」

ブランチ集合体の動きが鈍くなり、心なしか苦しそうでもあった。

「空間支配系か。ここまでの規模は初めて見る。」

「お褒めに預かり光栄ですわ。ですが長くは持ちませんので・・・!」

キリエが支配を維持しながら地面に降りた。

そして3体の獣が剣人へと向かっていく。

「剣人!」

「ああ!分かってる!

煌牙キマイラ大地ガイアス純闇カオス・カラミティシフト!!」

剣人が一気に3枚のカードを発動させる。

その体を大地の鎧が纏い、闇の翼が背中から生え、

その手には黄金の剣が与えられる。

「では、私も。進化エボリューション・サブマリン!!」

パラディンも1枚のカードを発動させ背中から白銀の翼が生え、

その手に大きなライフルが握られる。

「行くぜ!!八又轟閃!!」

「白き滅びを!!」

剣人がすべてのナイトメアカードの力を集結させた剣を振るい、

パラディンがすべてのナイトメアカードの力を込めた弾丸を発射する。

その両方の攻撃がブランチ集合体の一点に叩き込まれた。

ブルーによる支配で出力が削られたところへ

二人の司界者が数百年以上もの年月をかけて鍛え上げた最強の技が撃ち込まれる。

そしてさらにそこへ、

「はあああああああああああああああ!!!」

翼を広げたパラレルが突撃していく。

強引にこじ開けられた闇の中をパラレルが突き進み、

ついにその最奥・ブランチのコアへとたどり着いた。

「お前がブランチの本体だな・・・!」

それはまるで中途半端に羽化しかかっていた蛹のようだった。

膜からは未完成な翅や節足が力なくはみ出している。

しかし、それはどうみてももう・・・。

「見たな・・・見てしまったな・・・!

このブランチの本当の姿を!!」

「お前は・・・ただ自分が進化したかっただけだというのか・・・!?

全ての命を嗤い、自分のために餌としてまで・・・!」

「それの何が悪い!?私は生まれいでる事すら出来なかった出来損ないだ!

見ろ!この醜い姿を!この醜態を咲かせるために貴様は糧となるのだ!」

ブランチの初めての怒声が響き、周囲の闇がパラレルを潰すため全方位から迫る。

「くっ・・・!」

パラレルが大出力の暴風雨を発生させ闇を削っていくが

それでも体積はほとんど変わらない。

「こうなったらイチかバチか!

破滅スライト水難シプレック野獣ビースト・カラミティシフト!!!」

パラレル・ジュネッスの状態で3枚のナイトメアカードを発動させた。

体に青いラインが走り手足の筋肉は膨れ上がりその両手に破滅の拳銃が2つ握られる。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

引き金を強く握り全方位に破滅の弾丸をフルバーストしながら

500リットルの水の塊を無数に撒き散らす。

体の負担を一切考えずに放った全方位爆撃。

それは確かにブランチの闇を葬り去っていった。

残されたのはパラレルとブランチだけ。

「馬鹿な・・・!?既に破滅を迎えている闇に

ナイトメアカードの力が通用するはずが・・・」

「もう破滅を迎えているからこそ、もう終わりにしたいんだ。

そして、私がこの手で終わらせる。」

パラレルが虚空を蹴って一気に距離を縮めた。

「はあああああああっ!!」

強く握った拳をブランチの未完成なボディに叩き込む。

「ぐううううううううううう・・・・!!まだだ・・・・!!」

「!?」

パラレルの拳がブランチを貫いたと同時に

ブランチの死んだ瞳からビームが放たれた。

そのビームは無防備だったパラレルを吹き飛ばし跡形もなく消し飛ばした。

「これでまた世界は闇に戻る・・・」

「戻りはしない。」

声。

見れば跡形も残らずに消えたはずのパラレルが居た場所に希望のカードが浮いていた。

そしてその背後にはライラ達6人がいた。

「どんな闇の中でも、最後に輝くのは希望の光なんだから。」

「希望の光・・・!?」

驚くブランチを前に6人は1枚のカードを握っていた。

「行こう!みんな!」

「「「「「ええ!!!!!」」」」」

6人全員で魔力を集中させてそれを発動した。

サンダー行使サブマリン)!!!」

6人の力が1つになって生み出された電撃の塊が電光を迸らせながら今放たれる。

そして真っ直ぐに残骸ブランチに吸い込まれていきやがて大爆発を起こした。


「・・・終わったか。」

蒼き闇の中。

ぐったりと倒れながら剣人が空を見上げる。

蒼空の中プカプカと浮いていた球体が炎を上げて散っていく。

「・・・っ!」

キリエが魔力を振り絞りその炎を消した。

同時に魔力が尽きてしまいブルーが解除され元の空間に戻る。

ブランチの姿は欠片ほども残っていない。

轟々と燃えていた闇も自然と消滅した。

それは、戦いが終わったことを意味していた。

「・・・あ!」

キリエが走る。

剣人も立ち上がって走った。

焼き尽くされた森の中。

そこにボロボロの姿となった6人が倒れていた。

キリエ達が来たことにも反応せず全ての力を使い果たしたかのように

ただひたすらに怖いくらい静かに眠りについていた。

寝息が聞こえる。

それを聞いて安堵の表情を浮かべたキリエと剣人もまた

体力の限界が来たのかその場に倒れ伏して無様に眠りに就いた。

数時間後にマサムネ率いる警官隊によって8人は保護、回収された。

マサムネが来た時には倒れていた8人の中央には希望のカードが落ちていた。

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