表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラレルフィスト~交差する拳~  作者: 黒主零
1章:交差する拳
14/158

14話「白熱!3回戦・前編」

14:白熱!3回戦・前編


・そして3回戦が始まった。

ティラ、ラモンが舞台に向かう。

当たり前だが一日で全ての試合を行うトーナメント方式は

勝ち進めば勝ち進むほどコンディションは悪くなる。

特にライラ達は5人しかいないお陰でシュトラとライラはアンカーだ。

体力も魔力も消費が激しい。

ライラはまだしもシュトラは2回戦でそれなりに消耗している。

出来ればライラが庇ってやりたいが自分もアンカー。

あまり無理は出来ない。

出来る事といえば観戦しながら出来るだけ体力と魔力を回復させることくらいだ。

・・・きっと3回戦はストレート勝ち出来ないだろう。

「では、これより3回戦。

山TO氏高校のティライム・KYM&赤羅門・ミドリュエスカラナイトと

バリリANT高校のルセ・流星・ちょっとKEY&ルカ・龍乱・ちょっとKEYの試合を始めます。」

アナウンス。

4名が舞台の中央でカードを構える。

なるべく息を殺しているものの全員疲れが見える。

「では、試合開始!!」

号令と号砲。

同時に4人がカードを取り出す。

「ウォール・行使サブマリン!」

「バイブ・行使サブマリン!」

ティラが壁を出してラモンがそれをカードの効果で超振動させる。

超振動した壁はどんどん見えなくなっていく。

「フライ・行使サブマリン!」

ルセが背中から翼を生やしてルカを担いで飛翔。

「セッコ・行使サブマリン!」

そしてルカがカードを発動して地面全域を流砂へと変えた。

「わ、わわわっ!!」

突如足場を崩されてティラとラモンが横転。

中央の蟻地獄に流されていってしまう。

「仕方ない・・・!バイブ・中断キャンセル!」

「!そこっ!!」

ルセがルカを投げ飛ばし、ルカがラモンに飛びかかった。

「な・・・!?」

「格闘術を使うのは君達だけじゃないよ。」

ルカがラモンに跨り首を絞める。

「ラモン!!」

ティラがカードに集中して壁を引き寄せる。

と、ルセがその壁の上に着地する。

「バブル・行使(サブマリン」

そしてカードの力で出した泡がティラの首から上を包み込んだ。

「ごぼっ・・・・・!!」

集中が切れてしまい壁が止まる。

そこへさらにルセの廻し蹴りがティラの腹を穿つ。

「~~~~~!!!」

ティラもラモンも窒息を狙われる。

死ぬことはないが酸素がなくなれば気絶して敗北となってしまう。

「・・・って思ったか?」

「え?」

ラモンがルカの腕を払って逆にコブラツイストに掛ける。

「ぐううううう・・・・!」

(ユイムちゃんの言ったとおりだね・・・。

今までの2戦で私達の能力がコンビネーションに特化していて

本人単体はあまり強くないと露呈している。

だから相手はタイマンを持ち込んでくる可能性があるって。

けど、そのユイムちゃんの特訓をこの一ヶ月受け続けたんだ。

少しはタイマンだって出来る。当然プロレスだって・・・!)

完全にラモンのコブラツイストが決まってルカが悶絶を始めた。

「ルカ!」

「がばにゃ・・・・!」

ルカの助けに行こうとしたルセの腕をティラが掴んだ。

「へ?」

「べべ~のっ!!」

首から上を泡で覆われながらもティラはルカを一本背負い。

「ぐはっ!!」

背中に強靭な一撃を食らって集中が切れてしまい、

バブルが弾けてティラが解放される。

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・・」

呼吸を乱しながらもぐったりと倒れたルカにまたがってキャメルクラッチ。

「~~~~!!!」

「ユイムちゃん仕込のプロレスパラレル・・・!」

「ただのパラレルとは一味違う・・・!」

ティラとラモンの手にさらに力が加わり、

ルカとルセは申し合わせたように同時に気絶した。

「そこまで~!勝者・山TO氏高校!!」

アナウンスが入りティラとラモンがハイタッチする。

勝負が終わりライフのカードの効果が切れると同時に

ルカとルセも目を覚ます。

そして、

「はにゃ~ん、」

一気に疲労に襲われてティラが崩れ落ちた。

「さ、流石に疲れたよ~。」

「魔力を節約したら体力を使うしかない。

・・・分かっていてもハードな肉体労働だよね・・・。」

ラモンがティラに肩を貸して舞台を後にした。

「4回戦が明日でよかったね・・・。」

「まあね。あとはあの3人を信じて休もう。」

廊下。

ふらつきながら二人が歩いている。

どんどん足元がおぼつかなくなっていき、

ついには倒れそうになったその時。

「・・・お疲れ様。」

二人同時にケーラに支えられた。

「あとはゆっくり休んでいて。」

ケーラの隣をライラとシュトラが通り抜ける。

舞台に立つと相手側も同じように舞台に立った。

「・・・・あ、」

ライラが軽くつぶやく。

「どうしたの?」

「・・・あの右の人、前に一度戦ったことがある。

ユイムさんと戦うエキシビジョンの対戦相手決定トーナメントで・・・。」

「で、どうだったの?」

「僕が勝ちました。でも、あの人は強いですよ。」

「それでは第二回戦を始めます!

山TO氏高校のユイム・M・X是無ハルト&シュトライクス@・イグレットワールドと

バリリANT高校の岩窟景蓮・EX&パンシー・リゼロッT・丸ニアスの試合を始めます!」

4人がカードを構える。

「では、試合開始!!」

号令と号砲。

同時にライラがカードを取り出す。その時。

「やはりな。」

眼前に岩窟景蓮が接近していた。

「え・・・・・」

「その戦い方、見覚えが有る。

・・・とんだ台本だな。ラッシュ・行使サブマリン!!」

そしてカードの効果で

10倍のスピードとなった岩窟景蓮のパンチラッシュがライラを襲う。

「ぐうううううううううううううう・・・・!!!」

「最初に広範囲の自然干渉系カードで相手の隙を誘い、

そこから肉体強化してからの接近戦!

まさか2度戦えるとは思っていなかったぞ!!

そして今度は勝つ!!!」

「まずい・・・!グリップ・サブ・・・」

「君の相手はまだ先✩」

カードを握るシュトラのその手をパンシーが握った。

「ボンド・行使サブマリン!」

そしてパンシーのカードが発動して4人の足が

くるぶしまで地面に埋め込まれて固定された。

「くっ・・・これじゃ・・・!」

「そう。如何にユイム・M・X是無ハルトが強くても

足を封じられた状態から至近距離で強化されたパンチラッシュを

受け続けてはそう何秒も持たないはず。

そして君も僕がこうして手を掴んで止めている限り

彼女を助けるためのカードは使えない。

チェックメイトだよ。エースアタッカーさん。」

パンシーが笑い、シュトラが表情を歪める。

このままでは本気でまずい。

心のどこかでライラがいれば負けることはないと思っていた。

でも、それは甘えだった!

もしここで自分達二人が倒されてしまえば

シングル戦でまともに戦えるはずがない。

そしてそうなれば必然的にここで

一気に3敗が確定してチームの敗北となってしまう。

ここで倒されてしまったら文字通り全部おしまいだ・・・!

「・・・フェイク・行使サブマリン

と、そこでライラが殴られながら1枚のカードを発動した。

それはフェイクのカード。

他のカード1枚の効果を劣化しつつもコピーして発動するカードだ。

しかしこの状況でラッシュの劣化コピーもボンドの劣化コピーも

使って意味はないだろう。

だが、ライラが劣化コピーしたのは全く違うカードだった。

それは、

「!?」

「・・・僕は負けられない。だから・・・・!!」

本来カードの中の回路を燃やして発動させる魔力。

今、そのライラの魔力がカードを通さずに彼の体そのものを燃焼させていた。

「!?何だこれは・・・!?」

「うあああああああああああ・・・・!!」

そして力任せに両足を引っこ抜いてローキック。

眼にも止まらぬ速さで、そして電柱すら粉砕するような衝撃が

岩窟景蓮の両足を襲った。

「ぬぐううううううううううううう!?」

「はあああああああああああっ!!」

膝から崩れ落ちて中腰の姿勢となった岩窟景蓮に

今度はライラが怒涛のラッシュを叩き込み始めた。

ラッシュのカードを使っていないのにそれと互角程度の

スピードとパワーのパンチラッシュが放たれる。

そして10秒ほどで岩窟景蓮は倒れて動かなくなった。

「はあ・・・はあ・・・・」

ラッシュを終えて両腕から煙を出しながらも

ライラのその手には1枚のカードが握られていた。

それはたった今岩窟景蓮の懐から抜いたカードだった。

「ストリーム・行使サブマリン!」

カードから魔力がビームあるいは川の流れのように放たれる。

「うわああああああああああああ!?」

「きゃあああああああああああ!」

それが瞬く間にパンシーとシュトラを飲み込んだ。

「・・・あ!」

それを目視したライラはすぐにカードの発動を止める。

「・・・・・ぐ、ぐううううううう・・・・・・!」

「・・・はあ・・・・はあ・・・・・ううううっ!」

しかし前方には苦しそうに倒れ伏す二人の姿。

やがて10カウントが施行されライラ以外の3人はKOと判定された。

よってこの勝負は山TO氏の勝利となった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ライフの上から負傷した3人。

ライフを解除したら3人は眠るように気絶した。

当然その傷は刻まれたまま。

ライラは担架で運ばれていく3人をただ眺めることしか出来なかった。

その懐にビーストのカードを抱きながら。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ