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パラレルフィスト~交差する拳~  作者: 黒主零
5章:パラレル交差する明日へ
131/158

130話「Don't lose the figure of our sprits to became one」

11:Don't lose the figure of our sprits to became one


・ラウラの凶爪が動けないライラに迫る。

が、

ウォール行使サブマリン!」

二人の間に突如岩壁が出現し、ラウラの爪がそれを粉砕する。

「フレイム・行使サブマリン!」

次の火炎弾が飛来してライラの動きを封じる氷を溶かし、

「サンダー・行使サブマリン!」

電撃がライラの背後の大木を粉砕する。

「ガイザレス・行使サブマリン!」

「アクア・行使サブマリン!」

爪型の魔力の塊と水の塊がラウラを弾く。

「・・・まさか、」

ラウラが距離を取りながら目を見張る。

正面。

ライラを囲むようにラモン、ケーラ、シュトラ、ユイム、ティラが立っていた。

「皆さん・・・!!」

「大丈夫!?ライラくん!!」

「ラウラ!随分な格好になっちゃったわね!」

ティラがライラを支え、ラモンがラウラを見やる。

「・・・建物ごと押しつぶすつもりだったブリザードをどうやって・・・」

「そりゃ私のこのカードの力に決まってるでしょ。」

と、今度は6人の傍らにヒカリが出現した。

その手には転移テレポートのカードがあった。

「ヒカリ・・・!」

「ラウラ、ついに天死としての力を使うようになったってわけね。

かつては私を殺したいほど憎んでいたみたいだけど

それを実行する時が来たということかしら?」

「・・・ヒカリがいたことは計算外だった。

けど、退いてくれたら助かる。」

「出来ると思う?

幼馴染がそんな姿になって仲間を襲おうとしているってのに。」

「・・・ならせめてこの手で。」

「待ってください!」

と、ヒカリの前にライラが立った。

「ラウラさんは僕と対になっている天死・・・。

そして彼女があのような姿になってしまったのは僕一人の責任です。

僕はみなさんを巻き込みたくは・・・」

「馬鹿!」

乾いた音はシュトラがその頬をひっ叩いた音だ。

「もうとっくに私達はあなたの人生に巻き込まれているのよ!

でも私達はそれをたった一度でも迷惑がったことなんてないわ!

それなのに独りで戦い続けて何を残せるって言うの!?」

「・・・シュトラさん・・・」

「ライラくん、みんなで戦おうよ。」

「独りでは乗り越えられない壁もみんなが力を合わせれば。」

「頼りないかもしれないけどそれでも力にはなれる。」

「だから最後まで諦めちゃダメだよ、ライラくん。」

「・・・ティラさん、ケーラさん、ラモンさん、ユイムさんも・・・」

ライラの顔が綻ぶ。

そしてそれを見やるラウラの顔はより一層の憎悪が滲む。

「ひどい顔だね、ラウラ。

天死じぶんの殻を破って何でも話せるようになれた先輩達がそんなに羨ましい?」

「・・・それでも僕は、許せない!」

激昂。そして再び雪崩が押し寄せる。

「ヴォルカニック・行使サブマリン!」

ライラがカードを発動させると雪原から火柱が吹き上がり

雪崩と真っ向からぶつかり合う。

急激な低温と高温の衝突が気流を著しく変化させ吹雪は雷雨となる。

「ラウラさん!僕はみんなと一緒に天死である僕を超えます!

だからあなたも天死であるラウラさんを超えてください!」

「黙れ!」

翼を広げラウラが猛スピードで迫り来る。

「クイック・行使サブマリン

「エルブレイド・行使サブマリン!」

空中で突如顔を水の塊が襲いバランスを崩したラウラをシュトラが殴り倒す。

「チャージ!」

その間にティラがラモンと共に魔力を高め、

「ユイムちゃん!」

「ガッテン!」

海のカードを3人で掴む。

「「「ダイダロス行使サブマリン!!!」」」

3人の魔力を吸って強大となった瀑布が雪原を押し流す。

「ステップ・行使サブマリン!」

ライラが脚力を強化して雪の地を蹴る。

夜空の一点。

そこに攻撃を回避したラウラが舞っていた。

そこへライラが飛び込んでいく。

「僕はお前のせいでもう人間じゃない!

こんな怪物の姿になってしまったんだ!!」

ライラの前蹴りを払いその顔を怪物の腕で掴む。

「ぐうううううううう・・・・・!!!」

数百キロにもなる握力がライラの頭を押しつぶそうとベクトルを働かせる。

が、潰れる前にライラがその腕を蹴り払い落ちていく。

だがその自然落下を待つラウラではない。

一度急上昇してからその爪を空中で身動きがとれないライラに向けて急降下する。

破滅スライト水難シプレック双行使ツインエミッション!!」

迫るより早くライラは2枚のカードを発動。

ラウラの爪めがけて銃弾を放った。

雷雨の中でラウラの爪と破滅が込められた弾丸がぶつかり合う。

結果弾丸はラウラの爪を打ち破り、さらに彼の左翼を貫く。

「ぐうううううううううっ!!!」

翼を失いラウラが落下を始めた。

急降下のスピードも合わさりライラより先に雪の中に叩きつけられる。

「あなたと僕のリンクを破滅させました。

これでもう僕のせいであなたが苦しむことはありません。」

「・・・そんなものじゃもう止められない・・・止められないんだ!!」

立ち上がったラウラ。

その手には3枚のカード。

「あれは・・・!」

破滅スライト水難シプレック野獣ビースト三位一体カラミティシフト!!」

3枚のカードが同時に発動されラウラの体が大きく弾む。

「うがあああああああああああああああああああああああああ!!!!」

失ったはずの爪と翼が再生しどんどん膨張していく。

手首のあたりからライフルが生えてきて全身が青く染まる。

その青とは正反対の真紅の瞳がこちらを睨む。

いや、その緋瞳が正確に見やっているのは自分ではない。

「・・・まさか!!」

「お前も仲間を眼前で失うがいい!!自らの力を以て!!」

両腕のライフルから破滅を込められた魔力がビームのように発射された。

それはライラにではなく、右後ろにいた5人に向かう。

「間に合え・・・!!」

ライラが光の速さで5人の前に移動して可能な限りの水と銃弾を放つ。

が、いくら相殺してもなお限りのない破滅の光がついにライラを貫いた。

「ライラくん!!」

さらにはその光は後ろで庇ったはずの5人さえも包み込んだ。

「先輩!!」

ヒカリがテレポートで近くまでやってくるがその時には

もう無惨に散った6人のカードしか残っていなかった。

無数のカードの残骸の中央には6枚に引き裂かれた希望のカードが落ちていた。

「・・・・そんな・・・・」

「・・・やっと終わった。・・・ぐうううううう!!」

今まで理性を保っていたラウラが気を抜いた瞬間

あまりにも強化されすぎた天死としての力にその意識が飲み込まれ始める。

「ラウラ!!」

そこへヒカリによって安全な場所に移動させられていたシキルとキリエ、

リイラ、来斗、升子がやってきた。

シキルはラウラしか見えていないがそれ以外の3人は

膝を折るヒカリの視線の先にあるカードの残骸を見やった。

「・・・あれは・・・まさか・・・」

「嘘でしょ・・・お兄ちゃん・・・」

「ライラが・・・ライラがそんなこと・・・!!」

3人が危険も顧みずにヒカリの傍らに走る。

そして引き裂かれたカード達をその眼窩に入れた。

よく見ればその周囲には6人が着ていた服の残骸も落ちていた。


ここはどこでもない世界。

肉体を失ったライラは意識もなくただ無の海を漂っていた。

「・・・そうか・・・僕は死んだのか・・・。

偉そうなことを言いながら誰も守れずに・・・」

どこまでも暗い海底に落ちていく感覚。

悔恨の念が洗い落とされたようにもはやどうでもよく感じられる。

「・・・・?」

手に何かが触れた気がした。

それは6枚に散らばった希望のカードの一部。

「・・・希望・・・もう僕に希望なんて・・・」

「ライラくん・・・」

声。

姿は見えない。だけどその声はユイムの物だった。

いや、ユイムだけじゃない。

姿は見えなくとも自分の周りにはティラ、ラモン、シュトラ、ケーラがいた。

「皆さん、ごめんなさい。僕はみなさんを守れなかった・・・」

「確かにそうかもしれないけどそれだけじゃないよね。」

「え・・・?」

「手元を見てみなよ。あんたはまだわずかながら希望を握っている。」

「耳を澄ませてみなよ。誰かのすすり泣く声が聞こえるでしょ?」

「私達のために流させてしまった絶望の泪。」

「それを聞いた時僕達の手にも希望が握られていた。」

「・・・希望・・・」

「僕が言うのもなんだけど僕達はありえない出会い方をした。

そのせいでみんなにいっぱい迷惑をかけてしまった。」

「でも。そのおかげであたし達は出会えたんだよ!」

「そしてそこから私達は未来に進めた。」

「今まで感じたことのない幸せも掴めた。」

「今までの自分よりも強くなれた。」

「・・・僕達の出会いは決して無駄じゃない。

そしてそこから続く道はまだ終わってなんかいない!

だって僕達にはまだ希望が残っているんだから!」

6人がそれぞれ散った希望のカードを集める。

「希望・・・交差する道・・・パラレル・・・!!」


雪原。

膝を折り泣き続けるキリエ達。

その正面で散らばったカード達が螺旋を描くように宙を舞い始めた。

その中心には6枚に散ったはずの希望のカードが1つに合わさっていた。

「これは・・・」

ラウラ含めた全員が確かに見た。

希望を取り囲むように手を繋ぐライラ達6人の姿を。

「パラレル・行使サブマリン!!」

そしてライラ達6人も無数に宙を舞うカード達も希望も全てが1つとなる。

無数のカードが人の形を作り出す。

まるで壁のようなたくましい手足、

まるで海のように蒼白の体、

まるで刃のように鋭い両腕、

まるで鷲のように鋭い眼光、

まるで雷のように輝く姿。

最後に希望のカードが形を変えてその輪郭に正しき姿を与える。

「馬鹿な・・・!?」

ラウラが驚く。

その正面。

ライラが、ユイムが、ティラが、ラモンが、シュトラが、ケーラが

一人になってここにいる。

6つの道が交差した姿・希望パラレルとして。

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