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パラレルフィスト~交差する拳~  作者: 黒主零
5章:パラレル交差する明日へ
125/158

124話「悪夢の眠る海の底・前編」

5:悪夢の眠る海の底・前編


・海底火山エルデ。

スカイサブマリンが到着して海底洞窟の中に入っていく。

「地図があってよかったですね。」

「うん。全く未知の場所じゃなくてよかったよ。」

陸地に着くとスカイサブマリンから降りて8人が内部を歩いていく。

かなり暑く3月の服装ではとてもじゃないが我慢できなかったため

すぐに車内に戻り薄着に着替えてから出直した。

「・・・こうして見るとさ。」

「はい?」

ラモンがじっとライラの胸元を見つめていた。

「・・・ライラもBはあるよね・・・?」

「・・・えっと、食べ過ぎるとBになるってところですかね・・・?」

「・・・あんたこの胸で男を装っていたの?

私より余裕であるじゃない。」

「そうだよねラモン。僕よりも大きいんだもん。

最初その体になった時はびっくりしたよ。

生えてるのに僕より胸が大きいんだから。」

ライラを見てラモンとユイムが何かモードチェンジを果たして

何とも言えない表情でひそひそ話を始める。

上手く返事ができず愛想しながらのライラが前へと進んでいく。

現在の整備された地では考えられないほど足場はゴツゴツしていて

ちょっと足を上げ損なうだけですぐに転んでしまう。

何より洞窟の中だからか空気が悪い。

話し声が反響することもあってか非常に気分が悪い。

完全に一般人なシキルどころか日頃部活で鍛えている7人でさえも

10分程度歩いただけで小休止を挟むほどだ。

「はあ・・・はあ・・・なんでこんなにきついの~~~?」

「むしろ現代の地上の地形が快適すぎるのかもしれないね。」

「基本平地だからね・・・。」

「ここで練習をすれば今度の全国は優勝を狙えそうですけど。」

「僕ストレスで魔力が暴走しそうだよ・・・。」

「ゆ、ユイムさん!頑張ってください!」

「シキル先輩は大丈夫ですか?」

「け、結構しんどいです・・・」

これだけ暑い環境でありながらシキルの表情は真っ青だった。

「・・・パルフェさん。ガイアスを貸してくれませんか?

そしてシキルさんを連れて車に戻っていてください。」

「分かりました。」

パルフェがガイアスを召喚し、シキルを連れてきた道を戻っていく。

「・・・本来私は持ち主以外には従えないのだが。」

「す、すみません。でもカオスを見つけるにはガイアスが必要ですし・・・。」

「・・・まあいい。彼奴の気配は確かに近くに在る。

この洞窟全体がまるで彼奴の胃袋の中のように充満している。

・・・しかし、妙だ。この洞窟の最奥には人の気配がある。

しかし、この気配はまるで・・・」

「・・・?どうしたんですか?」

「・・・行ってみれば分かるだろう。先を急ごう。」

「あ、もう少し休憩を~~~」

たったと歩くガイアスにティラとシュトラが泣きをこぼした。

それから疲れたらガイアスの背に乗るという形で

洞窟をひたすら進んでいく6人。

「ねえ先輩?」

ライラの脳内。ヒカリの声がした。

「ヒカリさん?」

「さっきのってパルフェ先輩だよね?」

「パルフェさんを知ってるんですか?」

「まあ、同じ中等部だったからね。

パラレル部ではマリアとマリナがタッグ戦の実力を優先されて

目立っていたけれど多分一騎打ちでは中等部で一番だよ。

中等部内のランキング戦では私が勝てなかった相手だし。」

「そうだったんですか?」

「私がただ先輩をストーキングしていただけだと思ってるんですか?」

「・・・ならどうしてパラレル部に入らなかったんですか?」

「中等部の募集が始まった頃にユイム先輩の方のストーキングしていたんで。

帰ってきてストーキング再開したら

あの日先輩に見つかってしまったわけですし。」

「ライラくん誰と話してるの?」

「え?・・・あ、」

ライラ個人としてはヒカリと話しているつもりだったが

傍から見れば独り言にしか見えなかった。

「ヒカリさんですよ。僕にしか声が聞こえないみたいです。」

「・・・そう言えばその体にいるんだよね。

・・・僕とライラくんがセックスした時もその体にいたんだよね?」

「・・・・えっと・・・・?」

「・・・私あの人超怖いからパス!」

「あ、ちょっと!!」

ユイムの穏やかじゃない表情でヒカリはすぐに気配をライラの奥底まで消した。

そう言えば帳消しになったとは言えユイムはヒカリに殺されていた。

そりゃヒカリに対してあまりいい感情は抱いていないだろう。

特にその隣にいるシュトラはとても乙女とは言えない危険な表情となっていた。

ライラは直接その件には関わっていないためあまり感情は湧いてこないが。

「・・・あ。」

やがて正面に開けた空間が見えた。

確かにそこにはいくつかの人影があった。

「・・・・・やはりか。」

同時にガイアスが口を開いた。どこか重たい声色。

7人の視線の先には4人の青年がいた。

背丈程もある大きな剣を背負った青年、

遥か昔存在していた中華民族のような服装の少年、

上半身裸で髪と背中から炎が噴き上がっている青年、

和服に身を包んだ長身の左腕のない青年。

「七星(しちせい)剣一(けんいち)、小李狼(しゃお・りらん)、

火村(ひむら)火之介(ひのすけ)、風行(かざゆき)無良正郎丸(むらまさろうまる)・・・!」

ガイアスがその名を呼ぶと4人が一斉に振り向いた。

「あれは・・・ガイアスか!」

剣一が大きな剣を地に突き刺しながら声を上げた。

「ガイアス、あの人達は・・・」

「・・・剣人のかつての仲間達だ。

剣人の終生のライバルである七星剣一、

ナイトメアカードの他にも陰陽道を使った初代カードハンターの小李狼、

単細胞(ドバカ)だが炎属性を極めた火村火之介、

そして剣人の兄であり史上最強の騎士と言われた

ムラマサこと風行無良正郎丸。」

「え、剣人さんの!?」

「で、でもそれおかしくない!?

だってあの人数百年以上前の人なんでしょ!?

その当時の仲間って言ったらもうとっくの昔に死んでるんじゃないの!?

それともあの人と同じように不老不死なの!?」

「いや、全員が700年前には死んでいるはずだ。

それにあれは当時と何一つ変わらない姿だ。

一体何がどうなっている・・・!?」

「ガイアス、今すぐ俺達を倒せ。」

「よくわかんねえけどよ、今の俺達は絶対に普通じゃねえ!」

「・・・・・・・」

相手4人がそれぞれ武器を構えだした。

「!お前達、何の真似だ!?」

「体が勝手に動くんだよ!どうにかしろ!!」

そして4人が一斉に走り出す。

「分身(ダブル)・サブマリン!!」

剣一が12人に分身して一斉に襲いかかる。

「ぬううう!!」

ガイアスが咄嗟に岩を切り上げて作り出した壁で攻撃を防ぐ。

「ガイアス!?」

「・・・構わない。こいつらの言うとおり今のこいつらはおかしい。

だが、全力で戦うんだ。手加減して勝てる相手ではない!」

「陰(オン)」

ガイアスの言葉が尽きるより先に李狼が1枚のカードを出す。

しかしそれはナイトメアカードではなかった。

護符のようなものだ。

その護符が輝くとガイアスが出した岩壁が一瞬で破壊された。

「ファイヤアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

次いで火之介が左右に無数の火炎弾を作り出して一斉に発射する。

比喩なく雨のように降り注ぐ無数の炎。

「水難(シプレック)・行使(サブマリン)!」

ライラがスク水姿となって5000リットルの水を作り出し

それで作り出した壁で全ての火炎弾を防ぐ。

その間にティラとラモンが手を繋ぎ二人でチャージを繰り返す。

「おい炎馬鹿。ここは見たところ洞窟だ。

こんなところでそんな派手な攻撃をするな。」

「あ!?だからっててめぇみたいにチマチマなんてしてられっかよ!!」

李狼が護符で少しずつライラの水壁を蒸発させていきながら

どんどん火炎弾を作り出して発射していく火之介を注意する。

「てめぇらうっせぇ!今は戦闘中だろうが!!」

その二人の頭を踏み台にして剣一が跳躍する。

一気に水壁を突破して無防備なライラに剣を振るう。

「レンゲル・行使(サブマリン)!」

それをギリギリでケーラが受け止め受け流す。

「棒術か。なら、槍破(ランス)・サブマリン!!」

剣一が剣を背中の鞘に戻すとその手にやはり長い槍を持った。

「俺は剣でも槍でも負けたことはほとんどねえぜ!!」

「・・・くっ!!」

剣一のデタラメだがあまりに鋭く、あまりに重い連撃に

ケーラは攻撃が出来ず防戦一方となっている。

「・・・確かに剣でも槍でも負けたことはほとんどないだろうが

勝負そのものに勝てたこともほとんどないだろうに。」

李狼がため息をついてから背中に刺した刀を抜く。

護符を地面に置きそれを刀で突き刺す。

「海撈(ハイラオ)」

すると、ライラの水壁が突如制御を奪われ李狼の前で人型となる。

「そんな・・・!?」

「悪いが水は俺の武器だ。扱いでは誰にも負けない。」

「なら威力はどう!?ダイダロス・行使(サブマリン)!」

と、そこへティラがダイダロスのカードを使い、

津波の塊が李狼向けて放たれる。

「覚えておくといい。真の実力者の前には質も量も意味を成さないと。」

李狼が一歩も動かずにハイラオが津波の塊を真正面から受け止め

それをすべて吸収してしまった。

「そんな・・・!?」

「・・・いい水量だ。本気でやれば街1つを沈めそうだ。

だがしかし俺がやれば国1つは沈められる。

・・・洞窟1つ沈められないこの状況ではこれくらいしか出来ないがな。」

ハイラオが今度は吸収した水を操って雲のようなものを

空間一帯に展開した。

そしてその雲が一瞬煌くとティラに電流が走った。

「え・・・・!?」

「知らなかったのか?雷は光と同じ速さだ。

回避や防御どころか反応すら出来ない。」

李狼の前でティラが感電して倒れた。

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