118話「未来への一途」
31:未来への一途
・泉湯王国中の天死は剣人によって倒された。
シュトラとケーラによって無事シキルは救出されラウラによって
6人は回収されすぐさまスカイカーで泉湯王国を離れる。
「結局またあの人が美味しいところを持っていったわけぇ?」
シュトラが口を開く。
当然に色々と恨みが募ったような声と表情をしている。
「はい・・・。でも僕のことは信頼してくれているようです。
タキオンで止めた時間内に僕にも来斗にもユイムさんにも
手出しをしなかったわけですから。それにこれを。」
ライラがポケットからチェンジのカードを取り出した。
「それって・・・」
ユイムが懐かしそうに見る。
「はい。交換のカードです。
きっと剣人さんが入れて行ってくれたんだと思います。」
「何よあの人ツンデレよねぇ!」
一気に表情の明暗が変わって微笑むシュトラ。
「やっとこの体をお返しできます。ユイムさん。」
「・・・うん、ありがとうライラくん。」
「ですがそれを使う前にまずは議会に
今回のことを報告する必要がありますわよ。」
「もうお姉ちゃんはいいムードだったのに邪魔して。」
「発端となったあなたが邪魔とかお門違いですわ。」
「何を~~~!?」
「ユイムさんもキリエさんも落ち着いてください。
狭い車内で喧嘩をなさらないでくださいよ~。」
それからスカイカーは政府議会へと向かい、
キリエが今回の出来事を話すために緊急の会議を開いた。
その間ライラ達が一応確認するがやはりもう全国大会は
山TO氏が試合会場に現れらなかったことによる遅刻で
決勝不戦敗となっていた。
こればかりは議会の権力でもどうにもならない。
「まあ、来年もあるからね。」
「今日今から出来たとしてももうクタクタだよ。」
「早くユイムさんと寝た~~い!!」
「すみません、私のせいで・・・。」
また、キリエがチェンジのカードの事を話すと
そちらは問題なく使用の許可が下りた。
ただ元の姿に戻ったユイムもライラも体の調査をする必要があるため
その準備が整い次第始めて欲しいとのことだ。
そしてそれは今日ではなく数日後のこと。
「丁度お正月くらいの時期ですね。」
「それまではこの姿でまだいられるってわけだよね。
シュトラ、後でまたやろうね。」
「はい!ユイムさん!」
「・・・あなた達は・・・!」
姉妹喧嘩をよそにX是無ハルト邸には新しくシキルが住まうことになった。
泉湯王国は調査のためしばらく立ち入り禁止となったためだ。
本当はラウラも引き取る予定だったのだがいつの間にかいなくなっていた。
「えぇぇぇ~!?ライラさん女の子だったんですか!?」
引越し作業中にあれから起きた多過ぎる出来事をシキルに話すと
案の定驚かれた。ラウラが知っていたから
ライラの事も知っていると思っていたが。
いや、ラウラも天死であることだけで性別までは言及していなかったか。
シキルが住むようになった数日後。
思ったより早く準備が出来たからか年末大晦日に招集がされた。
ライラとユイムがキリエの引率で議会にやってきた。
あとその瞬間を見たいということでどこからかシュトラもやってきた。
「・・・緊張しますね。」
「ホントだよ。こんな意味不明なステージ用意しちゃってさ。」
まるで裁判所の法廷のような場所にライラとユイム。
それを囲むようにキリエ含んだ7人の大臣とシュトラや
もしもの時のためにマサムネ率いる警官隊が座っている。
「・・・じゃ、やろっか。」
まるで夜の誘いをするようにユイムは告げた。
「・・・はい。」
それに対するライラの返答も不意に似てしまった。
そしてライラが懐から交換のカードを出す。
「交換・行使!」
カードが発動され二人の体が光に包まれる。
そして、次の瞬間には。
「・・・あ。」
二人の目の色や仕草が変わっていた。
「成功しましたの?」
「はい、キリエさん。」
ライラは自分の体と声でいつもの仕草で答えた。
対してユイムの方は多少嫌そうにしていながらもやや笑顔で応えた。
「・・・成功のようですね。」
ほっとため息をついたキリエ。その隣で目を輝かすシュトラ。
「・・・自分の体なのに、
まだ1年も経っていないのに違和感が有るなんて不思議ですね。」
「確かにそうだね。この全身に力がみなぎる感覚、なつかしいよ。」
ユイムが軽く手を握るだけで手首から先に魔力の火花が散る。
対してライラも手を軽く振るだけで天死の異形な腕へと一瞬変貌した。
「まずはお互い体を慣らすところから始めないといけませんね。」
「そうだね。このままじゃセックスも出来ないよ。」
「こらユイム。神聖なる議会で下品な言葉を発さない。」
それから二人の体の検査が行われた。
なお、円cryン家でチェンジの効果が切れてもう既に何回か戻っていたことは
誰も報告していなかったからかキリエもろともすごく怒られた。
半日掛けた検査の末チェンジ使用前と特に異常がない事が判明したため
夕方には解放され4人はX是無ハルト邸に戻る。
「あの、僕まで一緒でいいんですか?」
「何言ってるのライラくん。もう僕達夫婦みたいなもんなんだよ?」
「今更追い出したりなんてしませんから妹さんも連れてきなさい。」
それから円cryン家に戻りリイラを連れてX是無ハルト邸にやってきた。
ライラはリイラとだけでなく
キリエ、ユイム、シュトラ、升子、来斗、シキルと共に
怒涛の一年の終末を迎えるのだった。