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パラレルフィスト~交差する拳~  作者: 黒主零
4章:遠き日より来りて
114/158

113話「激戦の準決勝・前編」

26:激戦の準決勝・前編


・そして夜が明けてついに準決勝当日となった。

ここで勝利した2チームが決勝に参加出来る。

同時に敗北した2チームで3位決定戦を行う。

勝っても負けても2連戦となる難関である。

山TO氏の対戦相手は嘉手納高校シャーマン部だ。

「・・・またパラレル部以外の意味不明サークルが・・・」

「だが油断していい相手じゃないからな。全員気張ってこい!」

それから控え室に向かいティラとラモンが準備に取り掛かる。

なお既にもう対戦相手の二人は舞台に立っていて

何やら仮面をつけて奇っ怪な踊りを踊っている。

「・・・なんかあたし達の相手って変なの多いよね。」

「・・・まあそう言わないで。

そういう奴らに限って意味わからんほど強いから。」

二人がため息をつきながらしかし意気揚々と控え室を後にした。

「それでは!これより準決勝を始めたいと思います!

嘉手納高校シャーマン部からは

クラーク・祝詞・枕錦選手とシャクシャイン・常磐・千代錦選手です!

そして山TO氏高校からは

ティライム・KYM選手と赤羅門・ミドリュエスカラナイト選手です!」

ティラとラモンが舞台に上がると、

同時に相手二人のダンスがより激しくなった。

「・・・文化通じてるのかな?」

「一応失礼だから言わないでおこうよ。」

「それでは!見合って見合って・・・はじめっ!!」

号令と号砲。同時に4枚のカードが宙を切る。

レインド・レイン行使サブマリン!」

ティラがカードを発動して舞台一面に体力と魔力を吸う雨が降り出す。

ウォール行使サブマリン!」

そしてラモンが2枚の壁を出して1枚を傘代わりにして

もう1枚をブーメランのようにして相手に放つ。

相手二人は雨に力を吸い取られた状態で

壁のブーメランを受けて吹っ飛ばされた。

続けてラモンが意識すると飛ぶ壁が8枚に分かれて

文字通り八方から相手二人を狙って迫っていく。

20センチほどの小さな壁が高速回転しながら

4個ずつ相手の全身を穿っていく。

「・・・呆気ない・・・?」

相手二人が1枚もカードを使わないまま舞台に

倒れ体を痙攣している様子を見て

ティラが思わず口にしてしまう。

相手二人は仮面を被ったまま一言も喋らない。

それなのにこうもあっさりと両膝を地に付けて震えている。

はっきり言って不気味以外の何者でもない。

なるべく冷静を装いつつラモンはそのまま

壁での攻撃を続けさらに二人を殴り続ける。

既に30秒以上、60回以上は殴り続けている。

その間も相手二人は吐息一つ漏らすことなく

無防備に攻撃を受け続けている。

そして雨によって体力も魔力も奪われているため

高確率で抵抗できないほど消耗しているはずだった。

しかし、警戒のために一度レインを解除して壁を元の1枚に戻して

ラモンの手前に戻すと相手二人はさも当然のように平然と立ち上がった。

「え・・・!?」

「まるでダメージを受けていないとでも・・・!?」

驚く二人の前で相手二人はそれぞれカードを取り出した。

「祝(curse)・行使(sb-marine)」

「呪(celebration)・行使(sb-marine)」

男とも女ともつかない声で名前が告げられた。

すると今まで二人が失った体力と魔力が回復されさらに

同じ分だけの魔力が二人の頭上に集約して雲のようになっていた。

その雲の上で二人がまた奇っ怪な踊りを踊ると

どんどん雲が大きくなっていく。

「魔(angel)・行使(sb-marine)」

「信(devil)・行使(sb-marine)」

そしてさらなるカードが発動されるとやがて魔力の塊である暗雲から

まるで金剛力士像のような物体が逆さに出現する。

「「裁(Babylon)!!」」

3枚目のカードが発動されると金剛力士像のような物体の目が開かれ

同時に舞台の全てが白き闇に包み込まれた。

そして数秒後に白い闇が晴れるとそこには真っ白に燃え尽きて

倒れ伏すティラとラモンの姿があった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「こ、これはどういうことでしょうか!?

まるで見たこともないカードの力で山TO氏の二人がダウン!

メーターを見てみますと体力と魔力を根こそぎ奪われています!

これはもう立てないでしょう!よって勝者・嘉手納高校!!」

アナウンスがかかるとライフの効果が切れて

やっと二人が立てるようになった。

「・・・やっぱり意味不明だよ・・・」

「まるで理屈がわからない・・・。」

ブツブツ言いながら二人が舞台をあとにした。

一方。控え室。

「え!?私がまた出るんですか!?」

パルフェが大声を上げた。

「あなた、何のために昨日一日ライランドくんと寝かせたと

思ってるんですの。」

「で、でもキリエさんもう義手直ってますし・・・」

「また一昨日のようなことがないように私は

警官隊と行動をともにしなくてはなりませんの。

それに昨日一昨日と私は調査のためとは言え

他のチームの控え室に行っていますわ。

これは選手であれば重大なルール違反。今更選手には戻れませんわ。

またブランチの息がかかった選手がライランドくんを殺しにかからないとも

限りません。その時はあなたやガイアスがライランドくんを守るのです。

何も私はあなたを緊張の只中に

放り込んで楽しんでいるわけではないのですよ?」

「そ、それはわかっていますが・・・はい、分かりました。」

仕方なく承諾してライラと共に控え室を出る。

「・・・ミネルヴァさん、ここは頼みましたよ。」

「ああ。行ってきな。」

そしてミネルヴァに控え室を任せるとキリエも控え室を後にした。

舞台。

ティラとラモンからバトンを譲り受けたライラとパルフェが入場する。

「パルフェさん、落ち着いてくださいね。」

「は、はい。・・・先輩と一緒にいると安心します。

やっぱりずっとしてたからでしょうか・・・?」

「そ、そういうのをここで言われるとちょっと・・・」

「あ、すみません・・・。」

互いに昨日一昨日の事を思い出して赤面する。

「ではタッグ戦2を行います!!」

アナウンスが入り、相手選手も入場を果たした。

今度はまるで19世紀頃の軍人のような服装をした男子二人だった。

「嘉手納高校からは五十六・風船葛・イエティ選手と

魔宵牙閃まよいがせん・はっちぽっちst・グランナイツ選手です!

山TO氏高校からはユイム・M・X是無ハルト選手とパルフェ・可憐DOW選手!

それでは!見合って見合って・・・はじめっ!」

号令と号砲。同時に4枚のカードが宙を切る。

テンペスト行使サブマリン!」

パルフェがカードを発動して舞台に暴風雨を起こす。

劇的に魔力が増強されたからかその威力はライラが発動するモノより

さらに数倍以上にまで強化されていて

身長190を超える相手二人であっても

吹き飛ばされないようにするために足を踏ん張っていて

身動きがとれずにいる。

やがて手に持っていたカードが吹き飛ばされてしまい

相手二人はニュースキャスターのように

風速に耐えるだけの人形と化していた。

「ステップ・行使サブマリン!」

そして脚力を強化したライラが走り込み、相手二人を蹴り倒す。

風圧に耐えるだけで精一杯なのに的確に鳩尾と後頭部を蹴られた

相手二人は激痛を誤魔化す余力もないまま吹き飛ばされていき、

二人して電柱の10メートル近くの高さに激突して気絶した。

「そこまで~~~っ!勝者・山TO氏!!」

アナウンスがかかり、暴風雨が止んで相手二人が

落下してくると同時にライフの効果が切れ、

ライラとパルフェが舞台を後にした。

「・・・・・平気そうですね。」

一応パルフェが相手二人を見ていたが相手は涙目で寒風摩擦しながら

大人しく舞台を後にしていた。

「・・・全国って変わった人が多いんですね。」

「う~ん、ああいう人達ほど無駄に強いから

自然とそうなるのかも知れませんね。」

パラレルは変人ほど強い。

パルフェは今日また1つ必要事項を学んだ。

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