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パラレルフィスト~交差する拳~  作者: 黒主零
1章:交差する拳
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11話「Open your mind」

11:Open your mind


・バイトを始めて約一ヶ月。

そろそろ給料が入る頃だろう。

キリエから自分ライラ用の口座を別に

作ってもらってそこに給料が入る仕組みになっている。

また、バイトと並行してオープンのカードの使用許可を申請。

それにより自分自身で所有しているP3であれば

わざわざ申請せずとも使用することが許可されていると返事があった。

これでオープンは自由に使える。

とは言え1枚で使える回数は3回までで使用期限は購入してから半年以内。

「・・・まあ、使うのは1回だけだから別にいいけどね。」

部活を終えてバイトに向かう。

今日は5人揃うシフトで部活を早めに終えてシャワーを浴びてから行くことにした。

「・・・・本当に生えてないのね。」

「今更何言ってるんですか・・・。」

シュトラにチラ見される。

ユイムの体は本物と全く同じ。

チェンジのカードは本人しか使えない上外見及び人間であれば声しか

変えることはできないがその精度は本物だ。

実の姉であるキリエですらもし最初のあれがなくて本物だと嘘をついていたならば

見破れなかっただろう=あのまま殺されていただろう。

とは言えそのチェンジのカードはかなり希少価値が高く、

世界中を探しても数枚ほどしかないらしい。

当然オークションなどで購入しようとしても数百万から数千万ほどしてしまう。

それに現在ライラの姿をした存在がいないため

チェンジのカードを使用したところでライラの姿は元には戻らない。

その上発動には尋常じゃない魔力が必要であり

10年間カードを使い続け魔力を鍛え上げた人間でも二人いないと

発動は不可能だとされている。

「・・・同じカードがあればディスペルで無力化できるんだけどなぁ・・・。」

「でもそうしたら君はもうここにはいられないよ?」

「・・・うん。だからまだ戻らない。

僕が元の僕に戻るのは全部終わった後だ。


・バイト。

今日は店内での小さな大会が行われる日だ。

店員側からも何人か参加するため今日は

シュトラとケーラが参加することとなった。

「ティラさんとラモンさんはいいんですか?」

「えへへ、あたし達実はタイマン弱いんだぁ。」

「その分タッグマッチなら強い方だと思うよ?」

「へえ、それは珍しいタイプですね。

確か団体戦だとタッグマッチがあるんですよね。」

「そーだよ。」

「まあ、当日は見ていてよ。びっくりするんだから。」

「はい。でも今はあの二人を見ておきましょう。」

客席に座る3人が部屋の中央を見る。

やはり小さな大会だからか人数は少なく8人しかいない。

老若男女揃っての8人でこの間の大会よりも和やかなムードだった。

そう言えば、ライラはユイム以外の他人の試合を

ゆっくりじっくりと観戦したことはあまりなかった。

この2年間ユイムの試合を見るか

自分でトレーニングをするか以外の行動はほとんどしていなかった。

田舎での大会でも空いてる時間にはトレーニングを欠かしていなかった。

ただでさえ背が低いし体格が良くない自分では

体と体のぶつかり合いでは不利だと感じたからだ。

それを2年間突き詰めた結果ユイムに届いてしまった。

(・・・僕の中に本当にパラレルへの情熱ってあるんだろうか・・・?)

試合を見る。

どうやらいつの間にか準決勝まで行っていてシュトラとケーラが戦うようだった。

「エルブレイド・行使サブマリン

「レンゲル・行使サブマリン

刃付きガントレットと杖。

二人の少女がそれぞれ獲物を構えて正面から睨み合い

波紋のように静かに猛火のように激しく距離を殺し合っていく。

そして互の矛先がぶつかりあった時正しく電光石火のように

刃と杖が激突を繰り返す。

エルブレイドは握力に由来しない特殊な剣術を使う反面

リーチが圧倒的に狭くなっている。

対してレンゲルは他に変わった能力を持っていない反面

かなり頑丈で通常の棒術杖術をそのまま使える性能がある。

即ち武器同士の戦いではエルブレイドを駆るシュトラの方が不利であった。

距離をとって別のカードを使おうとしてもケーラもそれを分かっているため

距離を詰め続けてカードを握る暇を与えない。

それどころか逆に無理に距離を取ろうとしたシュトラの足を払って

転倒させてその間に自分がカードを出す。

「ミラー・行使サブマリン

次なるカードはミラーのカード。

これは互いに正面を向き合っている際に相手のみに

自分の姿を反射させる能力を持ったカードだ。

つまり互いに正面を向いている限りシュトラは自分の姿しか見えなくなる。

「くっ・・・!」

攻め手を倦ねているシュトラ。

その手を掴んだケーラは背負投る。

「がはっ・・・!!」

背中から受身もなしに床タイルの上に叩きつけられ、

タイルが何枚も割れた。

「・・・強い・・・。」

思わずライラはつぶやく。

カードの使い方も基本的な身体能力やそれを活かした体術も

圧倒的にケーラの方が上手だった。

そう言えばケーラは今まであまり自己主張をしてこなかった。

タッグを重視してかコンビネーションに集中したティラとラモン。

自分と同じくユイムだけを見続けて戦い方を学んだシュトラ。

彼女達と比べてケーラは自分だけのスタイルとして

基礎を怠らずにこの一ヶ月トレーニングし続けていた。

(・・・ほとんど同じトレーニングをしていたのに

基礎が違うだけでここまで戦い方がはっきり分かれるなんて・・・。)

「・・・くっ・・・参り・・・ました・・・」

シュトラが降参を表明した。

「ありがとうございました。」

そのままケーラは決勝戦でも勝利して無事優勝を果たした。

そう言えば自分以外の4人は以前からパラレル部に所属していた。

と言うか他人から見たら5人全員パラレル部のままだ。

(・・・ちょっと空気が違うかも・・・。)

その後バイトが終わり給料が入った。

一度ATMで給料を受け取ってから店に戻り

オープンのカードを購入した。

やや焦ったペースでスカイカーを呼び家に戻り

食事を済ませシャワーを浴びて、

キリエがシャワーを浴びている間にオープンのカードを発動した。

「オープン・行使サブマリン

発動したカードをP3へと向ける。

と、パスワードが解除されてメニューが開かれた。

たくさんのメールが受信されていた。

ティラやラモン、MMからのメールが多い。

文面を流し読みすると心配するようなメールが多かった。

「・・・あれ?」

そのかなり初期のメール。

1つだけ登録されていないアドレスからメールがあった。

そこには、ナイトメアカードのつくり方と言う文章があった。


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