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六話

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 ・九楽明

 ・17

 ・肉体Lv2/3

 ・加護/自然治癒0/1

 ・覚悟

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 冒険者ギルドの待合室でぼーっとしていると、頭にステータスが浮かび上がり、俺は「おおっ。ん?」と声を出した。

 驚いた事に、前日に表記されていた数字とは別の数字に変わっていた。

 それだけでは無く、頭の中でステータスに意識を集中すると、新たな文字が浮かび上がった。


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 ・九楽明

 ・17

 ・肉体Lv2/3

 《身体的能力の上昇》

 ・加護/自然治癒0/1

 《回復速度上昇》

 ・覚悟

 《身体技能促進》

 《精神安定》

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 肉体LvがMAX2→3に変わり、自然治癒に新しく数値が表示されるようになった。


「覚悟……? あの時の事が関係しているのか?」


 あの時とはもちろん対蜂戦の時だ。

確かに闘うという覚悟があった。表示されている効果を見れば、そんな感じがした気がした。

コンコン。

ドアがノックされ、メガネを掛けた一人の男性が入室して来た。


「お待たせしました、クウラギアキラさん。こちらが冒険者プレートです」

「はい! ありがとうございます!」


 待合室に入って来たギルドの職員から、俺は小さなプレートを興奮気味に受け取った。

 受け取ったプレートには5という数字と、クウラギ・アキラと書かれていた。


「依頼を受ける場合は必ずお持ちください。一度紛失すると100ゴル頂き再度発行する事になります」

「分かりました! あの、この5っていうのはランク、みたいなものですか?」

「はい。上から1.2.3.4.5級とあり、五つのクラスに分かれています。これにより受けられる依頼の種類が大きく変わってきますので、クウラギアキラさんの5級だと薬草採取に町の雑用と、町の側の草原の下級魔物(モンスター)の討伐が主になります。補足ですが、1級クラスの冒険者は帝国広しと言えど四人しか存在していません。是非五人目を目指して頑張ってください」

「なるほど……分かりました。ありがとうございます!」

「もしこのまま依頼を受けるのなら、ボードの依頼書を受付までお持ちください。当ギルドの受付嬢が担当しますので」


 その他ギルドの方針や依頼の報酬などの説明を終えて部屋を出ると、役目を終えた職員は「では私はこれで失礼します」と言って事務へと戻って行った。

 早速俺は依頼を受ける事にして、ボードに足を運んだ。


「さーて、どんなのがあるのかなっと」


 ボードに貼られた紙を一枚一枚眺めていく。

 薬草採取や町周辺のモンスターの討伐に、商隊の護衛、盗賊団の撃退、酒場通りの巡回(パーティー限定)。

 多種多様な依頼が貼られていた。

 俺がこの中で受けられるのは南の森での薬草採取と、草原にいる下級の魔物討伐の二種類だけ。

 薬草採取は、なんだか地味だな……下級の魔物なら多分大丈夫だろう。

 報酬はゴブリン20体で10ゴル、グリーンウルフという魔物10体で15ゴルに+で素材などの買取諸々含めて30ゴルちょっとになる計算だった。

 ということで、俺は草原の魔物の討伐と書かれた依頼書を剥がし受け付けに持って行った。


「草原のモンスターの討伐ですね。……先程冒険者になった方ですよね? 見たところ装備などは……」

「えっ? あ、はい。まだ装備とかは……お金が……」

「あぁ、そういう事ですね。金銭関係で冒険者になる人は少なくありませんし、気にしなくても大丈夫ですよ。ただ、それなら薬草採取をお勧めしますが……」


 受付嬢の視線が俺の体――、衣服に向いていた。

 今の俺の格好は高校の制服のままで、冒険者達が装備しているような鎧や剣などの装備をしていない。

 危険と判断して、勧めてくれたのだろう。 相手は仕事ととは言え女の人に心配されるのは悪い気分では無かった。


「一応、スキル? みたいなのもあるので、多分大丈夫です」

「もうスキルを所持しているんですか!?あっ ……ッ! も、申し訳ありません……」


 驚いた表情を浮かべ、声を少し上げてしまい、一瞬、周りから視線が集まり、ハッとした受付嬢が慌てて謝った。

 その意味が分からなかった俺はとりあえず礼を言っておいた。


「は、はぁ。ありがとうございます……?」

「アイテムポーチはもうお持ちですか? その、胸に何か……」

「えっ!? あっ、こ、これは昨日手に入れたアイテム、なんですかね?」


 昨日からずっと懐に忍ばせていた蜂の針を取り出し、受付嬢に差し出した。


「これは……キラービーの針……」

「昨日森で襲われた時に倒したら落としたんですけど……」

「た、倒しんたんですか? お一人で?」

「え、ええ。ギリギリでしたけど」

「信じられない……はっ……! い、今のはそういう意味ではなくっ、 し、新人の方が一人で倒せるような魔物では無いので、驚いてしまって……」


 オロオロしだす受付嬢は、また取り乱した事に謝罪した。

 情緒不安定という言葉が頭の中を流れて来たが拾わなかった。多分、性格なのだろう。

 俺が蜂の魔物について質問をしたら細かく説明してくれた。


「キラービーは飛行型の魔物で、強靭な顎と毒針、素早さで襲って来ます。それらを踏まえ、単独での討伐はギルドでは危険度3の魔物に位置付けられています。単純な強さでは1級の魔物と大差無いですが、その素早さから繰り出される毒針は致死毒で、直ぐに解毒しなければ死に至ります。なので本来新人の方が、それも単独で倒すなんて聞いた事が無いです。それに、既にスキル持ちだというだけでもとても珍しいんですよ」

「そうだったんですね。でも最後は運みたいなものでしたし。その針は何かに使えたりするんですか?」

「加工すれば武器の素材にもなりますし、売買も可能です。ギルドでも買取はしていますが、どうなされますか?」

「じゃあお願いします。正直ずっと持ち歩くのは邪魔だったので。あはは」

「なら、この先アイテムポーチの購入をお勧めしますよ。ギルドで販売しているマジックアイテムで、一定量の物を収納する事が可能なんです。2000ゴルで販売しています!」

「あ、ありがとうございます。今は手持ちが無いのでって、ち、近い……その内お願いします」

「はい。その時は是非、私の所へお越しください。……よろしくお願いしますね?」


 途端グイグイ来た受付嬢に顔を引き攣らせながらも対応して、キラービーの針を買い取って貰った。

 上目遣いから放たれたそれは、中々にパンチを効かせた一撃だった。危うくノックアウトするところだった。

 女性の武器の一部を垣間見た気がした。


(金が無いのに買いますって言うところだったぜ。危ねえ……)


 何故か他の受付嬢達に俺を担当していた受付嬢が恨みがましく睨まれていた。買取を済ませた俺は依頼を受けて草原へと繰り出した。

 後で知った事だが、ギルドの主な収入源であるアイテムポーチの売り上げの一部が受付嬢の給付としてボーナスが付くそうだ。

 ちなみに針の取金額は60ゴルだった。

 町を出る前に屋台で一本3ゴルで売られていた串肉を6本買って腹を満たした。日本円にすると一本200円くらいか。

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