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デイ・ノートの魔女  作者: 志茂川こるこる
エピローグ:終わった後に
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改めて見れば…

 改めて見ればほんの一回りだけ、魔女の家は大きくなった。ペトラが修理を手伝いに来て、寝泊まりに作った小さな部屋へそのまま住むことになった。彼がもともと住んでいた家は、一人で住むには大きすぎた。シャーノとルシェがそちらへ移っても良かったのだが、あのあたりは土地が平で、半地下の調合室を作ることができない。


 調合室の隠し通路は、もともと巨大な炉の一部だったらしい。魔女の家が本格的にその名を馳せるずっと前、木工作で使えない材料を炭にするための炭焼き窯だったのだ。魔女の家は丁度、それぞれの工房の中心にあり、そこへ持ち運ばれた材料は奥の小部屋へ運ばれる。小部屋の上は霊標のある場所だった。それらを生業にしていた彼らの、象徴的な場所でもある。あの広場に建てられるのは、至って自然なことだった。シャーノとルシェも流石に霊標そのものを倒すことはしなかったので、外から見ても気付くことができなかったようだ。


 定期的に小気味の良い音が聞こえた。それは2つあって、それぞれ競うような、それほど急いでない音だった。家の影から、薪木が一定の間をもって飛んでくる。山なりに放られたそれは、家の脇に山積みになっていた。ルシェの背の高さくらいまでは積み上がっている。


 薪木が飛んでくるほうから、ちらりとペトラが顔を出した。幾つかの荷物を背負って歩いたルシェでさえ寒いというのに、彼は薄手の半袖で、汗が張り付いている。薪木の匂いもしてくるので、かなり長い時間、薪を積んでいたらしい。片手を上げて、こちらに挨拶をした。ルシェも同じようにして答える。冬越しのための薪は、いつもより多かった。今年は随分と寒さが早まって、遠くの山間もとうとう白くなってしまっている。



 玄関を潜る頃には、いつも通り、出迎えで溢れていた。それぞれの名前を言いながら、ルシェは少しよろめきつつ歩く。新しくなった通路の方からも、何匹か小走りに駆け寄ってきた。あちこちから現れて、ルシェの足跡を追う。


 その内何匹かがこちらを見て、ニャーと鳴いた。おそらく、私だけが抱かれていることが気に食わないのかもしれない。



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