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*そして君たち*
「ああ」と、それを見ていた彼は言った。「落ちちゃったよ」
そう言っている間にも、そのまま、老婆も倒れてしまった。老婆の方はきっと、事切れただろう。魔女の方はわからない。
生きているものは彼以外に無いのを知っていたので、私は何も言わず立ち上がって、老婆の方へ向かった。慌てて彼も付いてきて、言った。「危ないよ」
ある意味それを確かめに行くようなものなので、黙っていた。老婆の周りは、雪に染みていく血がその存在を主張している。その範囲を避け、足の方から順に追って、顔を確かめた。胸に刺さるそれは痛々しい。我々から見れば、とても大きいものだ。ひとたまりもないだろう。
死に顔はなんというか、なだらかだった。それは、魔女よりも先に落ちた男の、落ちていく瞬間のそれよりも、という意味だけれど。




