*私達も魔女も、選ぶことができる*
ずらりと肩を並べて、私達は黙ってその声を聞いていた。
沈黙を破ったそれは疑問に満ちていた。そうして私達はついに、選ぶ時が来てしまったことを悟った。
「魔女は」年老いた彼は言った。「魔女はもう、この地に未練がないらしい。我々が請け負った遠い約束は、かの持ち主によって違えられてしまった。ここに我々が居る理由は潰えたと言っても良いだろう…しかし、行く先はない。当てもなく彷徨うものも、遠くから来るものも、引き入れられたものも…随分と長い年月を過ごしてきた。だから、魔女と違って、我々には未練がある」
彼はそこで、言葉を切った。しばらくじっと目を瞑り、そして彼は言った。
「だが、ワシには未練がない。…ワシはこの地を去るだろう。あの紙の束に、それほどの魅力がないからだ」
幾つかの驚きと悲しみが、その場を少しの間、交差した。彼はそれを見届けると、私の方を向いた。
「以後の事は、お前が決めなさい。我々がどうするかを、老いた私ではなく、未来ある若者に託す」
私は彼の深い瞳をじっと見つめた。彼は諦めたようにそっと目を閉じて、暗い天井を見上げた。
「気まぐれで約束を得て、我々は仲間を集い、こうして大所帯となった。その中で、お前が一番、目を張り巡らせるのが上手い。お前と一緒に来た者も、最初に比べれば随分と上手くなった。無鉄砲なところもなく、いつだって飄々としている。…妥当なところだろう」
「しかし」私は言った。「しかし、約束も無き今、我々は何を選ぶというのですか?」
「脅威が迫っている。それは間違いなく、とても強大な意志の力によるものだろう」年老いた彼はため息を吐いて、言った。「1日か2日間は、目を張る余裕はないだろう」




