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*根と芽吹きすら実を持ち得ない*
「彼は何とか逃げ出したみたいだよ。まったく、最後まで見届けなきゃあ、ダメじゃないか」へばりつく雪を落としながら、私は言った。「さすがに彼自身が戻ってくることはないと思うけど」
「いやぁ、丸焼きは、ねえ?…怖い怖い。いつ僕らも魔女の気まぐれで、ああなるかはわからないし。お、どうやら来たみたいだよ」
「失敗したのね」
「ええ、まぁ、魔女の周囲を探れただけでも、随分マシなんじゃないかと思いますよ」
「そうね」
「随分焦っているようですね」
「私の想像以上に、上手く行かないものね。3代目はもう芽が出ないけれど、4代目は…」
「諸悪の根源、ねぇ」
「そうよ。あれさえなんとかしてしまえば、大丈夫だから…よろしくね、ツィーロ」
「果たして、そうなのだろうか」
魔女がいなくなって、彼はつぶやくように言った。




