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デイ・ノートの魔女  作者: 志茂川こるこる
4章:葉脈の集う場所たち
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夕暮れも過ぎて…

 夕暮れも過ぎて、ちらついていた雪が毛玉のように丸くなって降って来た頃。玄関扉からのノックの音と一緒に、村長婦人が顔を出した。暖炉前に集まっていた猫が、一斉に玄関に集まっていく。


「ヤエちゃん、まだ帰ってないのね。積もってきたから、そろそろ戻ってくると思うのだけれど」


「こんにちは。わ、外套に積もってるじゃないですか。寒かったでしょう。お茶を入れますね」


「あらあら。ご丁寧にありがとう」


「珍しいですね。…あ、村長の痛み止めなら、一昨日取りに来ましたけど」


「お薬なら、ちゃんと確認してありますよ。ヤエちゃんに用事があったのだけれども…それに、珍しい、ということもないかしらね」上品に笑いながら、婦人は猫たちを順番に撫でていく。一通り撫で終わって、婦人は暖炉前の揺り椅子に座った。


「ペトラさんの弟子修行は楽しい?」


「はい、楽しいですよ。詳しく説明してくれないですけど…。どうぞ、お茶です」


「ありがとう。いただきます」


 シャーノは手持ち無沙汰になってしまった。普段からルシェと家事を分担しているせいか、いつもどおりに過ごして、あとは寝るだけだったのだ。


「お茶の淹れ方まで教えているのかしら。ふふ…味がヤエちゃんと一緒ね」


「そうですか?そう言われると、ちょっと嬉しいです。…えっと、言伝でしたら、伝えておきますけど」


「いえ、内緒話だから…そうね、ヤエちゃんが帰ってきたら、教えてくれるかしら」


「はい、わかりました」


「優秀な弟子ね。…はい、ごちそうさまでした」シャーノはカップを受け取って、洗い場へと向かった。


「それじゃ、急に来てごめんなさい」


「いえいえ、また来てください」


 婦人の足元に、ワラワラと猫たちが集まってきた。「こらこら、今は主が違うでしょう」と、玄関口で猫たちを撫でる。


「じゃ、おじゃましました」


 丁寧にお辞儀をして、婦人は出て行った。



 婦人が帰ってからしばらく炉火にあたっていると、婦人と一緒に出て行った何匹かが裏口から戻ってきて、暖炉の前で毛づくろいを始めた。それをぼんやり眺めている内、一通り綺麗に舐め終わると、一匹が膝の上に乗って丸まった。


「…今は」


 そうしてシャーノは、婦人が帰り際につぶやいた言葉の意味を、ぼんやりと考えて過ごした。

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