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*こうして時には情報を補足していく*
「そりゃあ、もう、びっくりしたよ。急に飛び込んできたから」
「どんなふうだった?」
「ざわついていたから、全部聞き取れたわけじゃないけど。ええとね、とにかく、悪魔の亡霊に呪いをかけられたって騒いでた。急に意識を失って、気づいたら家の中で、しかも体が動かせないって。で、悪魔の手が触れて、そこだけ色が染み付いて取れないって」
「悪魔の手、ねえ」少し可笑しくなったが、きっと、魔法をかけられる側にとっては、堪ったものではないのだろう。「でも、その集合場所に来るまでは気付かなかったんだよね?」
「そうそう、鏡なんて見ないし。その分、裏通りでも十分目立ってたよ」
「うん、よかった、ありがとう。流石に街までコッソリ行くって訳にはいかないからさ」
「確かにね。…でも、次はどうするんだい?」
「次?次かぁ…ひとまず、また、魔女の家に行ってから考えるよ。それじゃあね」
そうして来客が去った後、彼はポツリと呟いた。「まったく、律儀な連中だなぁ」




