*終わった後に 始まりはずっと前に*
「はぁ、参ってしまいますね…」と、私は意気消沈気味に言った。
「君がこの手のことに疎そうなのはよく理解しているよ。けれどももっとこう、なんていうのかな、もっと積極的になるのもアリだと思うよ?」
「向き不向きっていうのがあるじゃないですか…正直あんまり覚えてないんですよ」
「ああ、わかるわかる。まして今回は急だったから、仕方ないよ」
そう言って、彼は私の隣の椅子に座り込んだ。
「少なくとも、そこらの一般的なソレらと違って僕らには役目があるんだ。その事自体がマシ方さ…ふあ…うん、眠いね。いい時期だし。…うん、ともかく、報告の方向性として、もっとこう…待ち構えてるだけじゃダメなんだ。しっかり見つけて、聞いて来たんだろう?」
「ええ、もちろん」
「だったら」と、彼はまた大きなあくびをする。「あふ…だったら大丈夫だ。そうだなぁ…直接魔女やその弟子が言ったことを聞いている奴もいるし、相談を受けた奴も居るだろう。その辺の心境から、じっくり探っていこうじゃないか。君のことを皆悪く言ってるわけじゃあ無いからね」
私は頷いた。彼は頼もしい同僚だから、きっとこれからもお世話になるのだろう。




