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この次で最後かな?

とりあえず、完結までもう少しです


 ピンポーン


 オレ、──城山篤志──は樋口宅のインターホンを鳴らした。


 ──翌日、教室に彼女の姿はなかった。

 担任教師は風邪で休みだろうと気にしなかったが、オレはそれを文字通りに受け取るほど能天気ではいられない。


 顔を合わせづらい感もあるが、気になって様子見に訪れた。


「は~い」と出てきたのは四十歳前後のおばさん。


 おそらく樋口さんの母親だろう。


「こんにちは。はじめまして。

 私、樋口さん(って、家族全員樋口さんか。彼女の名前なんて言ったっけ)

 ・・・じゃなくて、お嬢さんのクラスメートの城山と申します」


「ああ、さとみちゃんを送ってくれてた子ね。 ささ、上がって」


  腕を引っ張られ、引き込まれる。

 玄関まで送っていたが、中に入るのは初めてだ。


「さとみちゃん、まだ帰ってこないのよ」


 帰ってない・・・?


 ということは、朝はいつも通り学校に行く用意をして家を出たということか。


 何か事件にでも巻き込まれたか。

 それとも自分の意思でどこかへ行ったか。


 後者なら昨日のことが原因だろう。

 突然帰ってしまったし。

 けれど、万一前者だった場合・・・。


「さとみちゃんのボーイフレンドが来るなんて初めてだわ。

 さとみちゃんの部屋は二階を上がってすぐ左だから入って待ってて。

 そのうち帰って来るでしょうから」


 オレが考え込み玄関を上がったところで止まってしまったので樋口母が遠慮したのと思い、声を掛けてきた。


「飲み物はコーヒー、紅茶、何が良い?」


 うれしそうに樋口母は続ける。


「いえ、お構いなく」


 彼女がいないのなら用はないのだが背中を押されて断れる雰囲気ではない。


 樋口さんのことが何か分かるかもしれない。

 一応、入ってみるだけ入ってみるか。


  部屋の中はベットと机、服が入っているであろうクローゼットと本棚。

 きちんと整理整頓されている。


 本棚の本を一見し、手にとって見る。

 少しだけ懸念した黒魔術などの怪しげな本は一切ない。

 占いの本が二、三冊あるが、中身は女性をターゲットにしたたわいのないものだ。


 机の上にも何かしらのノートがあるが、中を見るのははばかれる。

 さすがにこれ以上の探索はプライベートの侵害だろう。


 ぱっと見、魔法を連想させるものはない。

 飲み物を用意してくれている樋口母には悪いがおいとまさせてもらおう。


 帰ろうと、ノブに手を掛けた。



「あなたは何を望みますか」


 すぐそばで声が聞こえた。



 はじかれたように振り返る。

 するとそこには十二、三歳の女の子が立っていた。

 今までこの部屋には誰もいなかった。


 ベットの下? ・・・いや、それは無理だ。

 ドアの方 に振り向いた一瞬にベットの下から出てくるなんて無理だ。

 音だってしなかった。それなのにこの少女は一体?


 おかっぱの黒髪。真っ黒なワンピースを纏っている。


 ──思い当たる。樋口さんが夢で見た女の子か?


 少女は音もなくベットの上に飛び乗る。

 ちょうどオレと目線が同じになった。


「・・・何者だ?」


「わたしは彼女が魔法を使えるようになった原因です」


「・・・えっ」


 オレの驚きに構わずそれは淡々と続ける。


「しかし、彼女はその力を既に喪失している。

 何故なら彼女の望みはもう叶えてしまったから」


 一度言葉を区切り、こっちを一瞥する。


「彼女の望みはあなたと話すきっかけを得ること」


「話をするきっかけ? 魔法を使うことが・・・?」


 そういえば、しばらく前にアニメ好きの友人から魔法少女の話を延々と聞かされ、DVDを押し付けられた記憶がある。

 結局見ることはなかったが、まさか、それを見て誤解したのか。


「彼女は学校の屋上にいます。ひどく落ち込んでいるので、『愛している』とでも囁いてください」


「はぁ? ちょっと待て、何で?」


 話の風向きが変わってきた。


「何で、と聞きますか? 彼女があなたに恋愛感情を持っていることは明白でしょう。

 そして、あなたも彼女のことを嫌ってはいない」


「そうじゃない!」


「何故、彼女の恋愛なんかに口を突っ込む。・・・何が目的だ?」


「──想いを集めるためです。願いを叶えるのはその手助けです」


「想いを集める……? もっと詳しく説明してくれ。それだけじゃ信用できない」


 オレの話を聞かず、マイペースに続ける。


「信用してもらう必要はありません。

 もう二度と会うことはないでしょうから。

 でも、彼女のところには行ってあげてください。

 待っているでしょうから。

 かける言葉はお任せします」


 最後に少しだけ微笑みをみせる。徐々にその姿が虚ろになっていく。


 ──コンコン


 ドアを外からノックする音。その音に目を放した隙にそれは完全に存在を消していた。


 手のひら、わきの下から汗が吹き出ている。

 怪奇と直面していた。


「コーヒーを持ってきました」

 樋口母だ。


 口の中がカラカラに乾いていた。

 ありがたくコーヒーをもらい、申し訳ないが用事ができたので出直します、と家を出る。


 言いたいことだけ言って行きやがって。

 このオレが何を言えっていうんだ。

 先ほどの出来事を消化しきれていない。

 頭の中がぐちゃぐちゃだ。


 ため息をひとつついて、学校のほうへ足を進める。

 語る言葉も決めぬままに。




謎の少女の正体は謎のままです。

他で書いた物語のヒロインですが、此処では名無しのままです。


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