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Lv4


戦闘シーン、書くの難しい……

考えるのはすごい楽しいんだけどね(´з`)



 

 



 結局あの後、俺はクォーツとフォンの熱意(という名の「了承しなければ服脱ぐぞ」という脅し)に負け、俺は武闘大会にアホ毛の代表として出ることになった。

 その翌日が武闘大会の受付日だったようで、アホ毛が上機嫌に「私がエントリーしてくる」等と言い、クォーツ達が止める暇もなく一人で駆け出して行った。


「ベル様、大丈夫でしょうか……」

「エントリーぐらいあのアホ毛でも出来るだろ」


 心配そうに呟くクォーツにそう言った俺。ええ、俺もこの時点ではそう思ってましたよ。


 翌日、二日後の武闘大会のトーナメント表をもらってきたクォーツが、俺が宿泊していた宿屋に来た。アホ毛はいないようだ。


「お、トーナメント表か」

「あ、はい……」


 何故か、クォーツは申し訳なさそうにしていた。その理由は、トーナメント表を見た瞬間分かった。


「なんで、パーティー部門にエントリーしてんだよ!!」


 思わず叫んでいた。おかしいだろ、一人でパーティー部門て。しかも、「ベルヴェール代理」という名前でエントリーされている。


「本当にすみません……。ベル様一人で行かせた僕達の責任です……」


 クォーツはとてもやつれていた。なんでも、このトーナメント表を受け取った時に、個人部門に変えてもらえるように交渉したのだそうだ。しかし、すでに決定されたことなので無理だと断られたそうだ。


「ま、まぁ、いい。こうなってしまった以上仕方ない」


 もともと適当に流すつもりだったし。

 そこで、ふと気になったことがあった。


「なぁ、なんで中級貴族だっけか?になりたいんだ?」

「そうですね、協力していただくんですから、ユリィさんには話しておかないといけませんよね」


 と、クォーツはすこし姿勢を正して話し始めた。


「先日お話しした通り、ベル様は現在低級貴族です。そして、今回この大会で功績を挙げ中級貴族になろうとしています」


 うん、ここまでは聞いたな。


「中級貴族になってどうするつもりなんだ?」

「『龍薬』を手に入れることです」


 『龍薬』とは、あらゆる状態異常を瞬時に直すというアイテムだったはず。まぁ、万能薬といったところか。しかし、希少な素材から作られるため、JOではレアアイテムとなっていた。


「何故『龍薬』が欲しいんだ?」

「ベル様の母上様が一年ほど前から、原因不明の病に臥せっております。つい先月までは病状もよく、回復傾向にあったのですが……」


 そこでクォーツは表情を歪めた。


「突然病状が悪化し、医者の見立てではあと二か月持つかどうか、と……」

「なるほど、それで『龍薬』が欲しいと。でも、中級貴族になる必要が?」


 現在アホ毛の親の寿命は長くて、あと一か月といったところだ。こんな隣街の武闘大会に出る前に『龍薬』を買えば済む話じゃないか。


「ノルグでは、『龍薬』を処方してくれる医者が一人だけいるのですが、その方は中級貴族以上の人しか診察しないのです」

「そんな医者がいるのか……。じゃあ、他の街とかで『龍薬』を買い込めばいいんじゃないのか?」

「『龍薬』は貴重な物ですので、そう簡単には見つからなかったのです。その医者の『龍薬』の入手ルートも不明ですし」


 なるほど。それで中級貴族になるしかないと。


「ですが、ベル様の母上様はある上級貴族様と繋がりがあったそうで、その方が二週間ほど前にベル様を訪ねてきたのです」


 その上級貴族は『龍薬』を持っている医者と仲が良く、アホ毛の親を見てくれるように言ったのだそうだ。しつこく頼み続けた結果、医者は渋りつつも条件を付けて了承してくれたのだそうだ。


「中級貴族と認められるような功績を挙げれば診察する、という条件でした」

「つまり、その医者を認めさせればいいわけだ」

「はい、なので中級貴族になる、というのは少々語弊があるかもしれませんが、ベル様にはそう言った方が理解してもらえたので」

「しかし、アホ毛の親はすごいな。上級貴族と繋がりがあるってのは」

「なんでもその方は今は亡き父上様と、母上様を奪い合った中だとかで……」


 なんだそれ、三角関係?

 ま、そんなことより、その医者を認めさせるにはどうするか、だ。

 と、ここで一つ疑問に思ったことがあった。


「ところで、その医者を認めさせる功績ってのは、代理人の俺が挙げた功績でもいいのか?」


 普通は自身の功績に限られそうだが。


「あぁ、それはですね。貴族にとって観察眼と交渉力というのは、重要なステータスなんです。今回の場合、その二つが中級貴族並であることを証明できればいいのです」


 なるほど、観察眼と交渉力か。


「ですので、実力者を見つけてその人と交渉し、自身の代理人として武闘大会で優勝してもらう、というのが、最も望ましい形なんです」

「つまり、俺は武闘大会で優勝すればいいんだな?」

「そういう事になりますね。ですが、こちらの手違いでパーティー部門にエントリーしてしまいましたし……」


 と、クォーツは言葉を濁した。まぁ、確かに単騎でパーティー部門の優勝を狙うってのは馬鹿げた話だろうな。

 アホ毛の事情を知った今、面倒だが本気を出さざるを得ないだろう。


「分かった。俺も出来るところまでやってみよう」


 そう言うと、一瞬クォーツは呆けた顔をしていた。おそらく、俺が断るとでも思ったのだろう。が、俺が言ったことを理解した途端、勢いよく頭を下げた。


「あ、ありがとうございます!」

「ま、あんまり期待せず待っておいてくれよ」


 俺はそれだけ告げると、武闘大会に向けての準備を始めた。





   ✛





 武闘大会初日。俺はフードを深くかぶり、顔を隠しながら参加者待合室にいた。

 本気で戦う以上、顔を見られるのは不味いと思ったのでフード付きの外套を買い込み、身に纏った。名前は「ベルヴェール代理」となっているため、気にする必要はない。あとは知り合いに見られないことを祈るのみ。

 俺は改めてトーナメント表に目をやった。参加数は多く、六回勝ち抜かなければ優勝できない。また、この大会は四日間行われ、初日と三日目はパーティー部門、二日目と最終日は個人部門が行われる予定になっている。初日である今日、俺は三回勝ち抜けば三日目の後半戦まで残れるというわけだ。

 ちなみに、この大会で使われる会場には特別な結界が張られており、その結界内では死ぬことはなく、致死の攻撃を受けると別室に転送されるようになっているのだそうだ。ここら辺の話を聞くと、JOの世界なんだなと思い出す。

 と、そんなことを考えていると、どうやら武闘大会が開幕したようだ。歓声と拡声器を通した司会者の声が通してこの待合室まで届き始めた。俺は二戦目に出場することになっている。


「次の参加者、こちらへ」


 どうやら、次に戦いを控えている人達は別室で準備しておくようだ。

 俺は案内に従って別室に入った。そこにはすでに別の待合室から呼ばれたと見えるパーティーがいた。


「こちらでお待ちください」

「わかりました」


 俺はその部屋の隅にあった椅子に陣取り、目の前の対戦相手を観察した。どうやら、パーティーのセオリー通りの構成のようだ。となると、僧侶をまず最初に潰すか。

 倒す順番を考えていると、対戦相手の一人がこちらに話しかけてきた。


「お前一人なのか?」


 まぁ、そこ突っ込まれるよな。


「あぁ、そうだが」

「マジかよ、これは楽勝だな!」


 その言葉にパーティー全員が笑った。その姿を見ていると、なんかムカついた。お前ら覚えておけよ。


 それから五分ほどすると、一戦目が終わったようで俺達は試合会場に案内された。

 試合会場はコロッセオのようになっており、俺はその会場の熱気に少し気圧された。しかし、それも少しの間で、俺は運営者の指示に従って対戦相手と距離を取り、青色の旗が刺さっているところに立った。

 その時、会場の司会者が俺達の紹介をし始めた。


『さー、パーティー部門二試合目です!!まず赤コーナーにいますのは、期待の新人パーティー、チームファンヴです!どのような連携を見せてくれるのでしょうか!

 対する青コーナーにいますのは、パーティー部門では異色の単騎エントリーの上、エントリー名が「ベルヴェール代理」という謎に包まれた参加者です!彼の戦いぶりに注目したいところです!!』


 異色の単騎エントリーという割には、観客から「頑張れよー!」とか「簡単に負けんなよー!」とかいう声援が届いた。


『では、第二試合、開戦!!』


 その合図とともに、俺は短刀を抜き地面を蹴り、相手との距離を一気につめた。相手には俺が突然掻き消えたように見えたのか、微動だにしていなかった。

 俺が目の前まで迫っていることにようやく気付き、特攻者が剣を抜き切りつけてくるが、その時俺はすでに僧侶の後ろに回り込んでおり、心臓を短刀で一突き。これで僧侶は退場した。


「な、なんだこいつ!?」


 僧侶が瞬殺されたことに相手のパーティー全員が動揺した。しかし、リーダーと思われる特攻者が「ボケっとするな!」と味方に活を入れつつ、俺に切りかかってきた。俺は短刀の背を口に咥えて符を両手に持ち、切りかかってきた特攻者をバック転の要領で避けた。その時、つま先を相手の顎目掛けて足を振り上げ、カウンターを放つものの避けられてしまった。しかし、俺の反撃を避けたことで特攻者は態勢を崩した。


「水流よ、湧き起これ」


 俺が右手に短刀を持ち直し、そう言うと特攻者の足元から水柱が勢いよく現れた。

 俺は先ほどのバック転の際に、両手に持っていた符を地面に張り付けておいた。それを二枚とも発動させ、特攻者を空中に打ち上げたのだ。


「うお!?」


 打ち上げた特攻者に追撃をかけようとすると、遊撃者が短剣で突きを繰り出してきた。それを身を屈め避け、相手の懐に潜り込む。そのまま短刀を遊撃者の首に突き刺し、遊撃者を退場させた。

 その間に特攻者は地面に着地していた。


「くそ、二人もやられたか」


 苦虫を噛み潰したような顔をした特攻者は、魔術師に向かって何か言った。そして、魔術師は頷いて詠唱を始めた。

 おそらく、範囲魔法で俺に魔法をぶち当てるつもりだろう。それを証拠に、特攻者は守護者と並んで魔術師を守り出した。


「面倒臭いなー……」


 思わず声にしていた。もうこうなったら、さっさと残りの三人を潰すことにしよう。魔法なんて食らいたくないし。

 俺は再び地面を蹴り、特攻者と守護者に近づいた。そして、相手が反応する前に二人の首を深く切り付け、残すところ魔術師のみとなった。最後の一人もサクッと倒して、俺は第一戦目を難なく突破した。


『試合終了です!!これは予想外の結末です!謎に包まれた参加者、五人をたった一人で難なく倒しました!!』


 視界のその一言を皮切りに、会場は大歓声に包まれたのだった。




 

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