第一話 神の召喚
登場人物で間違いがあり、リーチェに呪いをかけたのはルシファーです。すみません(>_<)
昔からあまり飛行機は好きではない。リーチェは溜め息をつき飛行機の窓から下を見つめていた。リーチェは今、フランスのパリに向かっており、事の発端は『月の教会』に所属している魔術教師『透明人間アウレス』の言葉だった。
「つまり、この手帳に書かれていることが少しわかったぞ。」
リーチェは自分では読めない文字で書かれていたためアウレスに見てもらっていた。リーチェは顔をしかめながらアウレスに聞く。
「で?何て書いてあったの?」
「ふむ、少ししか解けなかったが...『ロンギヌスの槍』の一つがフランスにあるらしいぞ。」
「フランス?」
「あぁ、詳しいことはあまりよく分からないが何かしらのマークがついている。フランスのパリにある月の教会に連絡してるからとりあえずその場所に向かえ。」
アウレスはそう言うと手帳の中のマークを指差しながら言う。
「あたしも見たことないな。こんなマーク...。」
「じゃろ?もしかしたらパリと何か関係あるかも知れん。行ってみろ。」
アウレスとリーチェはマークを見ながらお互い首を傾げる。そのマークは何かドラゴンのような形を帯びていた。
「もし、ドラゴンだったら嫌だな。」
「ふむっ、確かに。」
ドラゴンは幻獣の中に入る最上級の魔物であり現在の魔法使いでは乗ることは出来ない。乗れるのはドラゴンから認められた者、賢者になった者達としか無理だ。『銀の魔法使い』であるリーチェもアウレスも今では無理であり、もしかしたら傷一つ付けられない可能性だってある。
「付けられるとしたら、神か賢者ぐらいだろう...。」
アウレスの言葉にリーチェは頷く。だがどうしてでもフランスへ行かなくてはならない。
「行ったら連絡するよ。その前にドラゴンを倒さなくっちゃね。」
「...神と契約したらどうだ。」
アウレスの言葉にリーチェは驚く。
「神と契約!?そんなこと出来るの?」
「無理ではない。神は現在でも時折人間界に現れてはその様子を見ているらしい。現に黄金の夜明け団のアレイスター・クロウリーはある神と契約しておる。」
「...何て名前の?」
リーチェは少しだけだが聞いたことはある。だからこそアレイスターには勝てない。リーチェは遂にアウレスから聞けることになる。
「...その者は北欧神話の神であり、絶対的王者オーディーンの息子...光の王子バルドルだ。」
「バルドル!?そんな最上級の神と契約しているの?」
アウレスは驚くリーチェに口元に指を当てる。
「あぁ、しかしこのことは他言無用じゃよ?神と契約してるなんて言ったら元老院が煩いからな。」
リーチェはわかったと静かに頷いた。
「それなら、アレイスターに聞いた方がいいよね?」
「ふん、わざわざアイツじゃなくとも私で十分だ。何せ、私が教えている魔術の中に召喚術が入っておるからな。後、必要なのは死霊術に霊媒術だ。」
「何でそんなに詳しいの?」
リーチェの言葉にアウレスは少しだけ言葉を濁しながら答えた。
「ふむっ、実は昔...。アレイスターに教えてやったのは私だ。私も神と契約してるからな。」
「えぇっ!本当に!?」
「ここで嘘をつく奴がおるか...。今でも契約中なんだが、何せ風みたいな奴だからな、今は世界中を旅してるぞ。」
リーチェは口をポカンと開けたままアウレスを見ていた。
「何、アホずらしてるんだ。ちなみにこれも内緒だからな。元老院は手厳しいんで...。」
「わかった。ちなみにどんな神なの?」
「それを聞くか...。みんなお馴染み聖ジョージ、ゲオルギウスだ。」
「貴方も凄い人と契約してたのね。」
アウレスは驚くリーチェに不敵な笑顔を見せた。
「ただの不良青年じゃよ。」
◇ ◇ ◇
リーチェは飛行機の中でアウレスに対して溜め息をつく。神を呼び寄せる儀式の材料は一通り揃った。アウレスが殆ど集めていたのだ...。しかし、リーチェはあまり納得していない部分がある。それは神を召喚する時は特定の神ではなく自分にあった神が召喚されるという。そして神に事情を説明し了解を得たらオッケーと言う。何ともシンプルな奴だった。しかも自分にあったやつが喚ばれるということは神だけでなく、天使、悪魔が喚ばれる可能性があった。今回はドラゴンが相手、大天使や大悪魔でも無理なため出来ればまじで神が欲しい。とリーチェは苦い顔をしながらもうじき着くであろう。目の前に広がるフランスを見ていた。