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Oath Pride  作者: 柚子助
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序章

「ここが、魔法使いの協会...『黄金の夜明け団』の本部。ここにあの人がいるのかな?」


巨大な建物が金髪の彼女の前に建っていた。目の前の建物は綺麗な色で包まれており、見た目は普通の教会だ。彼女は天辺を見上げながら感嘆を上げる。


「...お待ちしておりました。リーチェ・リロイド様。我が主アレイスター・クロウリー様の所へご案内致します。」


彼女...リーチェ・リロイドが巨大な扉から出てきた一人の黒髪の青年に声をかけられる。リーチェは静かに頷くと青年は微笑み案内をする。中に入るとそこには人一人もいない静かな場所だった。


「....驚いた。魔法使い本部って聞いてたから結構人がいると思ってたけど、誰もいないんだね。」


リーチェがそう言うと前を歩いていた青年は振り向きはしなかったが質問に答えてくれた。


「我が主は人が苦手なものでして...。まぁ、団の方はここだけじゃないですからね。それに、ここはただの本部ではなく総本部ですから。」


「あぁ、なるほどね。つまりあたしはその『一番偉い団長様』に呼ばれたわけだ。」


リーチェは周りをキョロキョロ見ながらにやりと笑いながら青年に言う。


「えぇ、アレイスター団長は貴女様に会うのをとても楽しみにしていましたよ。」


「そうなの?」


リーチェは不思議そうに首を傾げた。青年は頷く。


「...さぁ、着きましたよ。この扉の先に団長がいます。」


青年とリーチェは蒼く美しい絵が描かれている扉の前に着いた。青年は扉を静かに開け、リーチェに頭を下げる。リーチェも青年に頭を下げ、扉の中へと進む。


「(...この先に最も賢者に近いと言われている大魔法使いアレイスター・クロウリーがいる!)」


リーチェは強く拳を握りながら前と進む...。





◇ ◇ ◇





そこには一軒家が建っていた。幼き頃の自分...双子の弟。そして両親。


リーチェはそれだけでもよかった。父は立派な魔法使いであるため時々、家には居なかったが笑顔で帰ってきてくれる父がリーチェは大好きだったのだ。


...しかし父と母はもういない。堕天使に殺されたのだ。だからリーチェは復讐を誓った。両親を殺した奴を見つけることと双子の弟を守るということを...。


「そのためだったら何だってする。弟を独りぼっちにしない...。絶対に!」


過去を思い出していたリーチェは目を開ける。そこには、大魔法使いであるアレイスター・クロウリーがいた。アレイスターはリーチェの前で椅子に座りニコニコ笑いながら見ていた。


「初めましてリーチェ・リロイド君。私の名前はまぁ、知ってると思うけど『黄金の夜明け団』の団長。アレイスター・クロウリーと言います。よろしくね。」


リーチェは膝をつき、頭を下げながら言う。


「...初めましてアレイスター・クロウリー団長様。私の名前はリーチェ・リロイドと申します。」


「うんうん。きちんと礼儀がなってるね。偉いねぇ...。知ってるよもちろん、確かベイナー・リロイドの娘さんだっけ?」


リーチェは静かに頷きながら頭を上げる。


「はい。ベイナー・リロイドの娘です。」


「...彼は実に惜しかったよ。団に入っては居なかったがいい仕事をしてくれて私の言う仕事もキチンとこなしてくれたんだよ。」


「父さんが?」


リーチェは驚きの声を上げながら答える。まさか父さんが団長様と知り合いだったとは...。


「うん。あっ、リーチェちゃん立っていいよ。その姿勢じゃキツイでしょ?」


「はぁ、ありがとうございます。」


リーチェはアレイスターの言葉に従った。


「本題に入るけどさぁ、実はリーチェちゃんにお願いがあるんだよ。」


「お願いですか?」


リーチェはアレイスターの言葉に耳を傾ける


「...君の父ベイナーが長年護ってきたきたものがあるんだ。『ロンギヌスの槍』って知っているかい?」


「『ロンギヌスの槍』ってあの聖イエス・キリストを刺したと言われる伝説の槍ですか!?」


リーチェは驚きの声を上げながら言うとアレイスターは頷きながら続きを言う。


「そう、その槍はイエス・キリストの血を含んでいる聖遺物。その槍を持った者を導き世界を掌握する力を持っている言われている。」


「それはあたしも聞いたことがある。確か聖杯と聖王冠と三つあるんですよね。」


リーチェがそう言うとアレイスターは溜め息を溢す。


「はぁ、確かにそうだよ。聖杯は何処かに行ったか分からないし聖王冠は今は国の秘密機関のところに保管されてるから大丈夫だし...。ロンギヌスの槍は私たち団が預かっていたんだけどね。」


「...預かっていた?」


アレイスターの言葉にリーチェは首を傾げる。だったと言うことは過去形...もしかして。リーチェはアレイスターに恐る恐る聞いてみた。


「あの...大変申しにくいんですが、もしかしてとられたんですか?」


アレイスターは俯せにしていた頭をバッと勢いおく上げ、興奮したように答える。


「そうなんだよ!昔にある堕天使がロンギヌスの槍を木っ端微塵にしてしまってねバラバラになってしまったんだよ。」


「木っ端微塵!?」


「あぁ、記録によれば今から50年ほど前に悪魔と天使の戦争に巻き込まれてしまったらしく...。堕天使の王がバラバラにしてしまったらしいよ?」


「....あの一ついいですか?」


リーチェはアレイスターをマジマジと見ながら言う。


「何だい?」


「あの、団長は年いくつ?」


リーチェから見ればまだ成人になったばかりの人に見える。


「えっ?私は23だよ。まぁ、アレイスター・クロウリーの名前を襲名してから3年くらいはたったね。」


「襲名ですか?」


アレイスターは頷く。


「...黄金の夜明け団は代々、魔法階級の『金』を貰った者がアレイスター・クロウリーの名前を襲名できるんだ。ちなみに私は14代目だよ。」


アレイスターは黄緑色の自分の髪をかきあげながら答えた。


「なるほど。そう言うことだったんですね。」


リーチェは納得したように頷く。


「まっ、さっきの続きなんだけどね。堕天使がロンギヌスの槍を木っ端微塵にした際に各地にその破片が飛び散ってしまったんだ。...ってことでその槍を集めてくれないか?」


「はっ?」


リーチェは思わず声を上げてしまい固まってしまうがアレイスターは構わず先に進む。


「いいかい。さっきも言った通り、ロンギヌスの槍を持った者は世界を掌握する力を持つんだよ?今はバラバラになって何処にあるかは分からないけどもしまた堕天使や悪魔、黒魔法使い、黒魔女などが持つと最悪なことになってしまうんだ。その前に探して欲しいんだよね...。」


「で、ですが...手がかりも無しじゃ無理ですよ。」


リーチェが困ったように言うとアレイスターは机の棚を開けある手帳を取り出す。


「はいこれ。」


アレイスターは魔術で手帳を浮かせてリーチェの元に飛ばす。リーチェはそれを受け取りながら言う。


「何ですか?これは?」


「...それはロンギヌスの槍のことが書いてある手帳だよ。君のお父さんが残した最後の手がかりだ...。」


「えっ?」


リーチェは顔を上げアレイスターと手帳を交互に見る。


「父さんが?」


「あぁ。彼はかつてロンギヌスの槍の破片を探していたんだが...その時にね...。」


リーチェは手帳を強く握りしめながら父さんであるベイナーを想っていた。強くて優しかった父の背中を...。


「...団長。」


「うん?」


「この手帳を使ったら見つかるんですよね?」


「そうだと思うよ。どうしたい?」


アレイスターは静かにリーチェを見つめながら言う。リーチェは俯いていた顔を上げアレイスターを見つめる。


「あたし、リーチェ・リロイドは必ずロンギヌスの槍を全て取り戻します!」


アレイスターはリーチェの言葉に金色の瞳を細め見つめていた。


end

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