ゆめにっき~白の壁~
私の目の前は真っ白だ。いつからそこに立っているかも忘れてしまった。ただただ真っ白。
真っ白な空間がそこにあるわけではない。わたしの目の前には真っ白で大きな壁が立ちはだかっているのだ。その壁は見上げても果てはなく、わたしの影など映らぬほど白く、発光。
「この壁、動くかな。」
突如そんな思いに駆られる。無理だと頭では理解しているが手を伸ばす。
「冷たいな。」
壁にピタリと付けた両手に力を込める。全身の力を込めた。
するとどうだろう、わたしの両腕は壁に吸い込まれた。そうして体も吸い込まれた。壁の向こうは真っ暗であった。真っ暗の中に動くものが見える。
「あ、わたし。」
その中にで動いていたのはわたしだった。たくさんのわたし。みんな同じ背格好でわたしを見ている。後ろを振り向くと、壁の向こうにまた、わたしが立っていた。
いま、また、その両手で押すのね。
「いらっしゃい。」