続・虎の威を借る虎
『ど正論ヒーロー セイロンガー』のスピンオフ作品。
真由美とセイロンガーの登下校を中心に日常を描きます。
セイロンガー本編はこちらから
ど正論ヒーロー セイロンガー
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うぅ、真由美ですぅ……。
怖いです、虎さんです! 本物の虎さん! 寅年!
「真由美さん、危険だ。門の前まで下がるぞ」
セイロンさんと私はジリジリと後退し、家の門まで下がりました。けれど、下がった分、相手も距離を詰めてきます。虎さんは右に行ったり左に行ったりしながら、付いてきます。
「静かに門を開けて、中に入っていなさい」
「で、でもセイロンさんは? 一緒に入りましょう!」
「俺は大丈夫だ。いや、大丈夫かわからんが、あの馬鹿怪人と猛獣を何とかしないとならない」
何とかするって、今までのイカやタコや……あと何だっけ、イクラとかとは、わけが違うのに!
「大丈夫だから、早く門の中へ!」
仕方なく、門の中に入りました。
外からセイロンさんの声が聞こえてきます。
「おい、虎! いや、本物の虎を見るな。お前に話しかけているに決まってるだろう怪人」
「さすが悪名高いセイロンガーも、本物の虎を前にして恐怖を感じているようだな?」
セイロンさん、怪人から悪名高いって言われてる……ひどいよ!
「そうではない。こんな住宅街に本物の虎を連れてくる、お前のイカれ具合に驚愕しているのだ」
あ、虎が怖いわけじゃないんだ。凄いなぁ、セイロンさん。
「ハァーーハハハッ! そうだろう、クレイジーだろう?」
「喜ぶな、別に褒めてない。お前、せっかく虎に改造されて虎怪人ベンガルになったのに……」
出た、セイロンさんの怪人名前当て!
「ちがーーう! 虎怪人アムールだ!」
残念……。
「そっちか、いやどっちでもいいが。せっかく虎に改造されて、必要か? 本物の虎」
「このアムールタイガーは、俺が小虎の頃から世話をして手懐けた、最強の相棒なのだ!」
可愛いだろうな、虎の赤ちゃん。後で画像検索してみよっと。
「そうか、小さい頃から世話しているからお前の言うことなら従うと。だから連れてきたと?」
ふむふむ。
「そうだ!」
このパターン……。
「では、先にお前がやられたらどうするんだ? そのアムールタイガーが逃げて、一般市民を襲ったらどうする? VVEIはその責任を負えるのか? だいたい虎を連れて歩くのに、上司の許可はもらっているのか?」
はい、ありがとうございまーーす!
「俺は負けない!」
え?
「可能性の話をしているんだ、馬鹿。後先考えずに行動するからこうなるんだ。それにだ、後ろを見てみろ、そいつのフンだらけではないか。お前、戦いが終わったら掃除するんだろうな?」
ケモノ臭だと思ってたけど、フンの臭いだった!
「なぜヴィランの俺様が、街の掃除までしなければならない!」
開き直っちゃった。
「お前が飼い主だからだろう。ヴィランとか関係あるか。見たところ手ぶらのようだが、まさか掃除道具も持たずに街に連れ出したわけではあるまいな? 今時、何も持たずに犬の散歩をするやつはいないぞ?」
そうだよ? そこの電柱に注意書き、あるでしょ!
「では、どうすればいいのだ! あの大量のフンを!」
「知らん……と言いたいところだが、放置されたらかなわん。大きめのビニール袋とペットボトルの水を借りてきてやるから、それで掃除してから帰れ」
プシュンッ
え!? 何の音?
辺りを見ると、道路を見下ろす松の木の影から家を警護してくれてるシャドウズの人が、何か撃ったみたいです。麻酔銃かな?
⸻
結局、私がお母さんに言ってビニール袋を用意してもらい、虎怪人さんに渡してもらいました。虎怪人さんは頭をはたかれて、お母さんに凄く怒られていました。後で聞いたら、麻酔で寝てしまった虎さんを車まで運ぶのが、大変だったそうです。
私、大型犬飼うの憧れてたけど、やめました!




