怪奇! トレンチコートの女
『ど正論ヒーロー セイロンガー』のスピンオフ作品。
真由美とセイロンガーの登下校を中心に日常を描きます。
セイロンガー本編はこちらから
ど正論ヒーロー セイロンガー
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真由美です!
もう夕暮れの下校時間なんですけど、セイロンさんに時間を連絡していたのに部活で遅くなっちゃいました!
あっ、セイロンさんが待ってくれています。正門を出て大通りの横断歩道を渡った先、いつもの場所です。
「セイロンさん、遅くなってごめんなさい!」
「いや、まったく問題ない。部活が長引くことだってあるだろう。学生生活とはそういうものだ。では、帰ろうか」
セイロンさんは絶対に怒りません。いつも穏やかで優しいのです。
「今、文芸部で創作怪談を作っているんですけど、みんなで怖い話をしていたら盛り上がっちゃって……」
私は文芸部に入っています。みんなでいろんなお話を書いて文化祭で雑誌にして即売会をしています。結構読者もいるんですよ?
「ほう、文芸部は楽しそうだな?」
「はい、楽しいです! でも気が付いたら日が暮れてきて、みんなで怖くなっちゃって……」
「人が少なくなった夕暮れの学校は、たしかに怖いかもしれないな」
合わせてくれてますけど、セイロンさんに怖いものなんてあるのかな? 言い方が全然怖がってないよ。
「それで、セイロンさん。口裂け女って知ってますか?」
「あまり詳しくないが、聞いたことはある」
セイロンさん、アメリカ育ちだからなぁ。
「じゃあ、教えてあげますね。……夕暮れ、学校帰りの暗い道、トレンチコートを着た髪が長く背の高い女性がコツ、コツとヒールの音を立てて前から近づいてきます。女性は白いマスクをしていて、こう聞いてきます。『ワタシ、キレイ?』」
「ん? 顔の作りの良し悪しを尋ねるのに、マスクを取らずに聞くのか?」
「えっと……そうなんですけど。聞かれるから仕方なく答えるんです。キレイって答えると、バッとマスクを取って耳まで裂けた口を見せ、『お前も同じようにしてやる!』って口を裂かれるんだそうです。怖いですよね〜」
「……うむ、怖いな。では、マスク越しでは判断できないとか、顔の良し悪しで相手を判断するつもりはない、と答えた場合はどうなる?」
「もうっ、そんなのわかりませんよぉ。ターゲットは子供なんですから〜」
あぁ……楽しい。セイロンさん、たまに変な反応するんだもん。
「それで、学校で聞いたんですけど、最近この辺りにトレンチコートにマスク姿の女性が現れるらしいんです」
部活の友達の弟さんが追いかけられたって言ってました。小学生の間ではかなり広まっているみたい。
「ふむ、この辺りに現れる変人は大抵素性が知れているが……もしかして、あれか?」
セイロンさんが指を差す先に、薄暗い電柱に向かって立っている、背の高いトレンチコートの女性の姿がありました。
え、怖い!




