セイロン先生
『ど正論ヒーロー セイロンガー』のスピンオフ作品。
真由美とセイロンガーの登下校を中心に日常を描きます。
セイロンガー本編はこちらから
ど正論ヒーロー セイロンガー
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真由美です!
お母さんが虎の怪人アムールさんを退治してしまいました。セイロンさんの活躍が見られないからウチの前で襲撃してくるの、やめて欲しいな!
「セイロンさん、すみません。お母さんが出しゃばって倒してしまって。帰ったら、言っておきます」
「いや、まぁ誰が倒しても良いのだが……少しヒヤヒヤしたな。真佐江さんが強いのは承知しているが、引退した身で怪人とあまり戦わないで欲しいというのが本音だ」
この時の私はセイロンさんがどういう気持ちで言ったのか、まだ理解できていませんでした。ただ、お母さんの身を案じての優しさからだと思っていました。事情がわかるのは、ずっとずっと後のことになります。
前から、さっきの黒いバンが引き返してきます。すれ違いざまに運転席と助手席の戦闘員がセイロンさんに会釈しました。うっすら『イー』が聞こえてきました。
「失礼しまーす、イー。じゃない」
ふっこが呟きました。続けてセイロンさんに尋ねます。
「セイロンさん、元伝説のヒーロー、ハニービーとはいえ、生身の体で怪人を倒せるものなんですか?」
「長期戦は厳しいだろうから先制攻撃で失神させたのだろう。あの時、横からの強烈なフックを力に逆らわないように蹴り上げると同時にサンダルも空中に飛ばした。これはまさに神業と言える。そして掴んだサンダルで脳天と顔面の急所を寸分の狂いなく打ち込んだ。木製のサンダルだったのは偶然ではなく、いざという時に武器になると考えていた可能性すらある」
「なるほど、身近な農具を武器にする古武術もありますもんね。真由美ママ、すんごぉ!」
セイロンさんの身振りを加えた解説にふっこが驚嘆します。やっぱり剣豪小説書きだから、戦いに興味あるんだなぁ。
「でも、両親がヒーローで運動神経抜群なのに、どうして私は体育が苦手なんだろう……」
私の体育の成績は2。陸上部の友達から、真由美のは走ってるっていうより、困っているように見えるって言われたことがあります。どういうこと?
「真由美さん、ヒーローの子供だからって運動が得意じゃなくても構わないし、ヒーローになる必要もないんだよ。ご両親だって才能だけで伝説になったわけじゃなく、好きな仕事だからこそ、血の滲むような努力ができたのだと思う。真由美さんも山田さんも好きなことを見つけて、その道で努力したらいい」
好きこそ物の上手なれっていうもんね。
「はい、セイロンさん!」
セイロンさん、なんだか優しい先生みたいだな。




