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【物語】シャーロキアンのホームズⅥ〜虚構共同集団の物語〜  作者: 語り部ファウスト


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第六部 三幕

やあ、君。僕はホームズだ。そして、ホームズを愛するシャーロキアンの一人だ。

なのにーーシャーロック・ホームズと名乗っている。


第二幕では、ベーカー街の路地裏で帽子ホームズにであった。

彼はシャーロキアンのホームズの群れのリーダーで、今もホームズであり続けていた。


帽子ホームズは僕らを郊外のある場所まで、馬車に乗せて案内した。


彼は馬車に乗っている間も、僕に話しかけた。内容は、こうだった。

「スコットランドヤードのヤツら、ボクらの活動をーー治安を乱すって決めつけたのさ。あの連中め。」と彼は肩をすくめた。彼の手はステッキを強く握りしめていた。内心、悔しかったのかもしれない。

「影ながら、ロンドンを守ってたつもりだったのにさ。ーーボクは君が何かやらかしたと思ってた。コナン・ドイルに関わる事だ。1907年ある時期以降、君はサリー州ハインドヘッドの屋敷に戻らなかった。どうして?」と帽子ホームズは聞いてきた。

僕はしばらく黙っていた。屈辱的なことも思い出さなきゃいけなかったから。でも話した。

「1903年〜1907年まで僕はコナン・ドイルの付き人となった。1906年からは彼の記録係をしてたんだ。

ホームズという探偵じゃなく、

彼の推理をねーー記録してた」と僕は話した。

「おい、君。あのグレイト・ワーリー事件だな。あのコナン・ドイルの探偵魂に君が火をつけたんだね。

ーーそういえば、読んだぞ。彼の本だ。

ホームズが出てくるかと期待したけど、あの作家先生が出しゃばってたーー。

そういやぁ、我が英国の公安の仕組みに牙を突き立てたな。そうだーー思い出したぜ。

君、モリアーティがシャーロキアンの中にいるとかーー犯罪美術館とか。」

僕はしばらく考えてた。

「そうだーーロンドンを舞台とした犯罪美術館が作られようとしてる。

モリアーティの影が、あの村にいた。」

「ーーその発言のあと、君から連絡が途絶えた。どこにいたんだ?

そこがボクが聞きたい本題さ。

君はこの三年近く何をしてたんだ?」と帽子ホームズは僕に食いついてきた。

「ーーあの後、僕は逮捕された。

コナン・ドイルはやりすぎたんだ。

警察の捜査に首を突っ込み、現場をめちゃくちゃにした。僕もだ。彼の記録係として連れ回された。

そして、いきなり僕だけ逮捕だ。」そう言ってから、僕は顔を下に向けた。

「僕はコナン・ドイルにとっての目だ。彼の視力は年齢と共に衰えた。

僕は現場を見るために、地面に鼻を突っ込んでた。

警察は彼から僕さえ引き離せば、いいと結論づけた。

ーーそして、コナン・ドイルは探偵業から廃業。

警察は彼とオサラバさ。

それから僕は家畜のように留置所にいた。コナン・ドイルは会いに来なかったよ。僕を切り捨てたんだ。

それから、警察から事情聴取を受けた。ーー僕は正直に話した。

でも彼らは信じなかった。

それどころか僕を、治安判事のもとへ連れていって、同じ話を繰り返させた。そしたら、ハンウェル精神病院送りだ。そこで約二年ーー患者として過ごした。そこのワトソンも、そこで出会った。僕らは、いいパートナーだ。」

「アル中だけどね。」と帽子ホームズはワトソンを見た。ワトソンは目を逸らした。一言も僕らの会話に参加しなかった。彼の指は震えていた。


馬車はやがて止まった。

僕らはゆっくりと馬車から出た。


そこはカムデン・タウンの南端だった。中心地から離れており、古い倉庫や産業施設があった。

帽子ホームズたちの秘密のごっこ遊びには、まさにうってつけだった。


「シャーロキアンのホームズとして、ボクらは君らを歓迎する。

よく戻ってきた。」と彼は僕の肩を叩いた。


その倉庫の中には、ホームズの格好をしたシャーロキアンが話をしていた。

彼らは帽子ホームズを見ると、観察し、僕を見ては、観察し、ワトソンを見ては観察した。誰もがホームズだからだ。

彼らが一人ずつ僕に推理結果を話そうとしてきた。中には握手を求めてくる奴もいた。十人以上いた。

帽子ホームズがいなければ、僕はもみくちゃにされただろうね。

彼はステッキの先を地面に何度か突いた。

「おい、みんな。彼は忙しい。ボクらのやるべき事を、彼に話そうと思う。

推理の披露は、その後にしてくれたまえ。」とインディアンの首長らしく言ってた。


彼らは顔を見合わせて、肩をすくんでみせた。

何人かは僕と目があうと、優雅に会釈して見せたんだ。

「情けない話、ボクらホームズは警察にマークされて動けない。

朗読会とか、推理しあったりのオママゴトが続いている。

良ければ、君の話を後で皆に聞かせてほしい。事件に飛び込められるなら、悪魔にでも魂を売るぜ。

ボクらの知性が錆びる前にさーー」

帽子ホームズは、そう言って僕を見てはニヤニヤしていた。

どんな状況でも、彼は笑っていたろうね。


(こうして、第三幕はインディアンの群れで幕を閉じる。)


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