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第六楽章 回想暗黒にて

いよいよ終わりが近づいているかもしれません。楽しみにしていてください。

はるか昔、気の遠くなるような神代の時代にて、世界の調和を保つ者たちがいた。深淵から滲み出してきた古き者たちを浄化する、神の代行者が存在していた。

「アルト、そろそろ休憩にする?」

「いや、大丈夫ですよ先輩。」

「うん、じゃあもうちょっと片付けてから終わりにしよっか。」

名はユーリィ。神に愛されしものであり、神の一部とも言える者。名はアルト。ユーリィにスカウトされ古のものどもを浄化する役を任された魔術師。

今世界は古のものどもが覇権を握り、死と大罪が跋扈している。人に害なす古代生物を潰し、正気を浄化するのが役目。

古代生物を討ち倒し、世界を平和にしていったのだ。私たち二人で挑めば大抵はなんとかなった。

古代生物はシャープと比べれば大きく力で劣っていたが、いかんせん数が多かった。いくらでも沸いて出てきて、そしてアリの軍隊のように通過地を不浄にする。

しかし私たちの尽力により、古代生物の源泉が判明したのだ。それは古代の遺跡に存在する魔力核を中心に広く波紋しており、人の寄り付かぬ死の大地一帯をふるぶるしきおぞましさで満たしていた。

当時の数ある精鋭部隊の中で最も実力の高かった私たち二人組はそこへ向かうこととした。精鋭部隊とは言ったが、組織も企業も何もない原始的なリーダー制なため、ユーリィ以外とのタッグは無かった。

永い戦いと冒険の末、私たちは古代の遺跡にたどり着くことに成功した。

「………遥か昔、発言することすら忌み嫌われる暗黒の儀式が行われ…………、そしてその最悪の成果として誕生した最古の支配者………。」

石造りの扉はすっかりと侵食が進み、片手で触れるだけでボロッと破片が崩れた。光の届かぬ闇の中、私たちは共通の想いを持って深淵と不理解の第一歩を踏み出した。

「考えたくなかったな、まさかその時の狂信者がこの世に大きすぎる爪痕を残したってことを。」

耳の痛くなるような静寂の中、肌を刺す冷たさが一層増し、肺に溜まり込む暗泥が過呼吸を引き起こす。

「………先輩、………」

すぐ隣を歩くユーリィの足音が止む。うるさい程に心臓の鼓動が鼓膜までを振動させる。ユーリィは何やら神妙な面持ちで、話出そうと口をまごまごさせている。

「………………アルト、もし私が死んでしまったら。」

ユーリィは何かを取り出し、私の手のひらに乗せた。キラキラ光っているそれは、空想上でいう五芒星、星型で薄く、黄金のラメで黄色になっていた。

「…これを使ってくれない?私の能力の一部、増殖の力。」

ユーリィは瞳をそっと閉じ、何かを念じるとすうっとその星が私に溶けていった。全身に広がる温かみ、湧き上がる闘争心。これがユーリィの力の一部だと思うと、どこからか自信が湧いてきた。

「………名前は、そうだね……。」


そこで話は終わった。私はその話にすっかり聞き入っていたようで、外はもう夜の暗闇に飲み込まれていた。

「………そんなことを今話して、どうしたんですか?」

アルトは俯いたまま、何も答えない。ただ、はっきりとしない偶像を追いかけているかのように視線は部屋内を動く。そこで、私は気がついた。いや、目を逸らし続けてきたものに向き合えるようになった───もしくは無理矢理対面させられたのかもしれない───のだ。………ここで、言ってしまっても良いのだろうか。ずっと前から感じていた違和感。そして、ここで気がついてしまったことへの嫌悪感、焦燥感。そして恨み。

「………………私は、貴方をどうすると思いますか?」

言葉を濁し、アルトに質問する。ここでの答えによって、私の今後の行動が変わってくる。………できれば、波風立てぬ返答がいい。もう、疲れたのだが………しかし、やはりというべきかそんな暇を与えるほど神は優しくなかったようだ。

「………わかって、いたんだね。正直、僕も隠すことに限界を感じていたんだよ………。」

 アルトが地面に倒れ込む。少しばかり笑みを浮かべ、空気の漏れ出るような笑いをしている。

「そう、でしたか。私としましても………仇は取りたいですし、シャープを殲滅したい。」

そっと、長剣の柄に手をかける。金属の擦れる音がほぼ戦いの開始のゴングとなった。

ミシミシと肉と骨が軋む音と共にアルトの肉体が崩れ、溶け、再構築を始める。

剣を瞬時に抜き放ち、アレグロを発現させる。心臓の鼓動が響き、血流が加速、身体能力を飛躍的に増加させると共に炎を纏う。そしてアルトの残骸から伸ばされたシャープ③の鉤爪と………燃え盛るような炎の剣が………火花を散らした。

前々から気づいていた人もいるでしょう。そう、アルトがシャープ③です。

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