第二楽章 シャープとの戦い
第二話です。前回と違い、今回はテノル君目線で進みます。一応言っておきます。ご都合展開多めです。よろしく。
あのカオスなオヤツタイムの翌日。私はいつも通りリコルダの事務室で事務作業をこなしていた。カリカリと書類に情報を書き込んでいく。今やっている仕事はシャープに対してのものだ。行動パターンを予測して、回避。有効な陣形を考えたり武具を開発したりして、被害を抑える。我ながら頭は回る方と思っているので、事務作業は私がやることが多いのだが………
テノル「はぁ……なんでアルトが来てないんですか。」
いつも私と一緒に事務をするアルトが来ていない。何故だ、何故なんだ!休みの連絡も来てないぞ!アルトが来ていないことに対して頭を抱える私に何か思い出したらしいソプラが、
ソプラ「そういえばアルト、晩御飯豚カツチャーハンだったらしいよ。で、夜食に唐揚げとか。」
テノル「おやつとしてラーメン食ったのにですか!?絶対腹下すに決まってるじゃないですか!」
衝撃の事実を放った。油摂取量が化物………。なんなんだアイツは……?そこにプラスでバースが、
バース「で、夜暑いからってアイスを一箱リコルダの冷蔵庫から持って行ったのを見た。おそらくアイツのことだ。全部食ったのだろう。」
テノル「ああもう理由が完璧に分かりましたよ。アルトが休んだ理由、腹痛ですね。」
どデカいため息を吐きながら、私は再びデスクに向かう。アルトがいないとなると、私の仕事量が2倍近くなる。さて、過労死までどんだけかかりますかね。そんなふうに考えていると、アラートが鳴った。シャープが発生したことを知らせる警報だ。
バース「警報が鳴ったな。シャープが現れたということだ。」
ソプラ「ということは、討伐命令だね。早速行こう行こう。」
こっちはデスクワークで疲れる未来があるというのに、今から肉体労働もするとか、シャープも私を殺す気ですか?………殺す気でした。人を殺しまくってるし。ああ、疲れまくるなあ今日は!
テノル「シャープも現れる日を考えてほしいですね!」
武器を握り、シャープ発生場所に向かった。
ーーーR国中央広場ーーー
私たちが向かった先、R国最大の広場。普段は親子連れや老人が遊んでいる、緑豊かな場所なのだが…………。今日は全くと言っていいほど和やかさは感じられなかった。生い茂った木は血で赤く染まり、普段いる子供たちはシャープにバラバラにされ、反転したような光景になっていた。
テノル「酷い、ですね。」
あまりにも酷い光景に、精々単語を3つほど出すことしかできなかった。そして何より酷かったのは………
ソプラ「シャープ③が………いる………。」
今からシャープ③によって肉塊にされるであろう私たちの未来だった。逃げ出してもいい。しかし今ここから逃げたとして今のフォルテからシャープ③を倒せる人材が出せるとは思わない。現在人類最高戦力のフォルテ最高司令官、エルケーニヒは別の国へシャープを倒しに向かっている。何にせよ、未来は変わらないのだ。
そこで、周りにいるフォルテ戦闘員に目を向ける。彼らも初めて目にするシャープ③に危機を悟っているようだ。誰も動こうとしない。しかし、1人勇気ある戦闘員が玉砕覚悟でシャープ③に突撃した。
テノル「なにやっているんだ!?死ぬつもりか!?」
私の声がその戦闘員に届くわけもなく、シャープ③によって惨殺された。一瞬で、バラバラに。
バース「今のを見たか、全く勝てる気がしない。どうする、気づかれないよう不意打ちか?」
リコルダ3人で案を立てる。しかし、あんな光景を見せられた後ではまともな考えができるはずもなく。結局私たちは後ろから遠距離で攻撃する、ということになった。
バース「序曲[炎天の指揮棒]」
シャープ③が他の戦闘員を狙って背後を見せた。その隙にバースが魔法を叩き込んだ。シャープ①ならば一瞬で黒焦げになる程の威力だ。直撃し、火柱を上げる。やったか?そう思った。そして気がついた。やったか?それはやっていないということを。
シャープ③「………見つけた。」
火柱の中から無傷のシャープ③が現れた。気が付かれた。シャープ③はゆっくりとこちらを振り向く。まずい、このままでは死ぬ。そう思った。
テノル「シャープ③って喋れたんですね………」
ソプラ「何冷静になってんのよ!?逃げるよ!」
焦っている人を見ると冷静になるって本当なんだな、そう思った。今から全力で逃げるか?それだと解決にならない。今できるのは、戦うことだけだ。
テノル「私は残ります。今逃げ帰っても死ぬだけですから。」
武器を構える。ドシンドシンと大地を震わせながら向かってくるシャープ③相手に、私は戦闘を開始した。
はい、気になるところ終わりです。次回もよろしくね。