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落陽の瞳  作者: Hozuki Rui
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落陽

銃を見せびらかすようにクルクルと回してみせる铭睿が持つそれをみて長林は小さく鼻で笑う。


「私を思っているとは思えないな。私の腕を撃ったのはお前だろうに、良くも言えたものだ」

「あ、あれは…!そこの半鬼を撃とうとしたのにそいつが動くからあなたに当たったんだ!そのあと恥を忍んでアバズレにあなたの怪我の手当てをするように言えばこの半鬼は妓女にでもなんでもなって引き離せると思ったのに...!っ言ったでしょう!そいつと居る限りあなたに平穏はないと!」

「へぇ、春薫さんに金を握らせたのはお前か。それはそれは。随分とご苦労なことだ」


長林の嘲りにカッと目を見開いた铭睿はずいと近づき力任せに鶴望兰の腕を引っ張る。が、長林が铭睿の手首の骨の隙間を正確に指でえぐる。


「っグ…!もういい!多少の傷は後で治させれば良い…そうだ、なぜそこに気づけなかったんだろうか!」


痛みに顔を歪めた铭睿は一変して狂気的な笑みを満面に浮かべ銃口の標準を長林の肩に定めて引き金を引いた。

 乾いた爆発音と共に肉が潰れる音と血が吹き出す音がし、鶴望兰を抱える長林の腕の力が緩む。その一瞬をついて铭睿は鶴望兰を引っ張り崖から突き落とした。


「っぁ、ちょ、うり」


目を限界まで見開いた鶴望兰は長林へと助けを求めるように手を伸ばすも虚しく、崖の下へと姿を消し、太陽が完全に姿を現した。


「鶴望兰ッ!!!」


長林は撃たれた肩の痛みすら忘れたかのように道を遮る铭睿を乱暴に押しのけて自分も崖から飛び降りた。



 鶴望兰は後悔で流れる涙が上に取り残されていくのを見ながら落ちていた。


(ああ、置き手紙なんて残すのではなかった、最後に、あの人の名前を呼ぶのではなかった、あの人の、心残りになってしまう)

「鶴望兰ッ!!!」


聞き慣れた声とともに真っ白な服の肩の部分を真っ赤に染めた長林が必死の形相で鶴望兰に手を伸ばすのが見えた。


「な、んで…あ、お、おち…!」

「ッ捕まえた!」


長林は鶴望兰をしっかりと腕の中で抱きしめる。今度こそ離さないとでも言うように抱きしめられた温かさに鶴望兰は幻ではないと悟る。


「長林まで死ぬ必要はありません!どうして…!」

「約束だろ。守るって」

「でも、この高さではどちらも」

「分かってるさ。ただ、君に謝りたかった」


長林は苦しそうに鶴望兰の耳元に顔を寄せる


「         」


耳元で囁かれたその小さな言葉を聞いた鶴望兰はようやく自ら長林の背に手を回し、長林の肩に顔を埋めた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「王大佐、これらの書類で全てです。後ほど朱铭睿をこちらへ連れてきます」

「ご苦労、さがれ」

「っは!」


王は部下を下がらせ、机の上に置かれた書類を手に取る。


『海岸に男性と少女の死体を発見』

『男性の肩に銃創を発見。1等兵の証言と一致』


それらの文字列を見た王は深く、深く息を吐いた。


「私は…何をしていたのだろうな…死んでしまっては、なんの意味もなかったではないか…すまない、すまない二人とも…」


窓から差し込む夕焼けの深い橙色の光が王の顔に影を落とす。どこまでも、静かで憂鬱な光だった。

「これにて、閉幕」


これで長林と鶴望兰の話は終わりです。自分の予想より短く終わったため驚いています。「ここはどういう意味?」等のご質問があればお答えいたします。ここまで付き合っていただき誠にありがとうございました。次回作もお願いします。

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