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第一話 再び核攻撃された日本

お読みいただきましてありがとうございます。

こんな暗く、未来の展望が見出せない時代だからこそ、元気の出る物語にして参る所存ですので、引き続き宜しくお願いします!


俺は池田哲夫という名の歴史学者だ。


年齢は60歳。

高校の同級生だった妻の麻美、そして大学生の娘、愛梨と共に東京で暮らしていた。


俺の仕事でもある歴史学だが、専門は明治維新から昭和期にかけての近現代史だった。

この分野は学会に巣食う「マルクス礼賛者」に汚染されやすく、イデオロギーを通した価値観が横行する時代区分だ。


いわゆる「唯物史観」ともいわれる。


『江戸時代において、農民は自分が生産した米を食えず、(ひえ)(あわ)といった雑穀しか口にできなかった』と考えるような人たちだ。

唯物史観はカール・マルクスの唱えた学説で、「人類の歴史とは、その発展段階における経済の生産力に応じた生産関係に基づき、生産力と生産関係の矛盾により進歩する」という考えが基本となる。


近代で言えば、資本主義段階における労働者と、資本家の間に結ばれる契約の概念でもある。

マルクスは、「資本主義はその内在する矛盾から、必然的に社会主義革命を引き起こし、次の段階である共産主義に移行する」と考えた。


令和の世の中では完全に否定された考えにも関わらず、敗戦によるコンプレックスや、GHQが初期に認めた共産主義・日教組を受容する方針に基づいて、一定程度の勢力を維持したままだった。


特に歴史学会・一部マスコミ・一部出版社といった方面では根強いものがあった。


俺はあくまで学問的に中立を貫こうとしてきたが、そのせいで左派系メディアや一部の同業者からは「右翼」とレッテルを貼られた。


だが、そんな中傷に屈せず、自分の研究と信念を曲げることなく歩んできた。


家族には、俺の無骨な学問の世界は理解しにくかったかもしれないが、彼女たちはいつも俺を信じ、静かに支えてくれた。


けれど、その静かな日常は、突如として終わりを告げた。


202X年。中東における戦火が広がり、ついには世界を分断する大戦争が勃発。

日本も巻き込まれ、中国が尖閣諸島と台湾へ侵攻し、更には北朝鮮とロシアが日本へ宣戦布告。


しかし、在日米軍は何の役にも立たなかった。

中東方面にその戦力を集中させたからで、その隙を突いて侵攻してきたのだ。

戦後の日本人が安全保障の拠り所としてきた日米安全保障条約は、肝心な時にその力を発揮することが出来なかったのだ。

それでも自衛隊の決死の奮戦により、中露海軍に大打撃を与えることに成功し、日本本土と台湾は辛うじて守られたものの、犠牲は甚大だった。


そして、核。


最終局面でついに核兵器が使用され、日本もまたその標的になってしまった。


この戦争の意義を歴史学的な立場から国民に広く知らせるため、俺は全国各地を飛び回っていたのだが、運命のあの日…


東京は焼き払われ、家族は跡形もなく消えた。

電話で話した娘の声が、家族との最後の会話だった。


「お父さん、戦争が激しくなってきたから気をつけてね。

帰ったら、また一緒に歴史の話をしようね」


それすら、叶わなかった。


愛する者たちを失い、呆然自失していた俺だったが、終戦を迎えるころ、俺自身も被爆による後遺症に苦しんでいた。

体は蝕まれ、もはや死を待つばかりとなった病室で、俺は最後の問いを自分に投げかけていた。


なぜ世界は、こんな破局を迎えたのか?

なぜまた、日本が核攻撃を受ける羽目になったのか?

俺は歴史の専門家として、原因がどこにあるかを知っていた。


根本原因としては、第二次世界大戦の「結果」がある。

あの敗戦と、そこから派生した歪んだ戦後体制が、すべてを蝕んできたのだ。


「この歴史を、ぶち壊してやりたい。

もし生まれ変われるのなら……家族を奪ったこの地獄のような世界を、根本から作り直してやる……!」


そう強く願った瞬間、俺の意識は暗転した。


……そして次に目覚めたとき、俺はまったく別の人間として、まったく別の時代に転生していた。



お読みいただきありがとうございます。

悲惨な出発点ですが、これから盛り返しますのでよろしくお願いします。

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