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灰色のバックソード  作者: Hegira
第七監
80/95

序章ドリーム

全く夢の無い小説なのにドリームとかどういう事よ。


それはそうと、作者は見ていた夢が覚えられずに「ちくしょう!」と喚くクチです。

 そろそろ、僕こと四手(しで)統那(とうな)の前座染みた前置きにも慣れたというかむしろ飽きたかもしれないが、我慢して付き合って欲しい。小津じゃあ無いけど、これが僕なりの愛だ。

 それで今回僕が俎上(そじょう)に載せるのは、想像がついた人もいるだろう――むしろ大半かもしれなくて恐縮なんだけど――荒井(あらい)雲雀(ひばり)である。

 歳下。

 僕でも餌付け出来る。

 自称、そして事実上の探偵。

 そんな感じの人物だということは、まあ流れで知っていることと思う。

 だけど。

 中学生かと思いきや一つ歳下だったとか。

 食べ物に釣られやすい単純な性質だとか。

 特に最年少記録を更新しない探偵だとか。

 はっきり言って。

 彼女の立ち位置を考えてみればそんなものはどうでも良くて、倒立しようが直立しようが、人目が付いてもその位置には微塵の変化も無いのだろう。

 どうしようもない事実を言ってしまえば、荒井雲雀は、どこまでも過去に縛られ続けた存在なのだ。

 過去の因縁を引き摺り、今に至り、未来を築く。

『過去は全く関係無い。未来からやってくるものを待てばいいんだ』という思想よりは現実に近いけど、しかし、こと荒井雲雀に関して言えば、事の良い悪いを別にしても、因習的な固執と評価したくなるぐらいの、縛りを感じざるを得ない。

 自己をとことん薄める。

 従うべき対象を求める。

 見つけたモノを崇める。

 己の中でソレを清める。

 そこから善悪を定める。

 善には躊躇わず竦める。

 悪からは迷わず掠める。

 普段から自分を高める。

 日常的に自分を撓める。

 恒常的に自分を止める。

 正体は限界まで潜める。

 上書きの役割を決める。

 目的ならば全て絡める。

 可能ならば敵を沈める。

 必要ならば更に殺める。

 無理ならば己を痛める。

 とにかく残虐を極める。

 そして出来事を収める。

 永遠に繰り返し始める。

 荒井雲雀のベクトルとは、そういうものを言う。

 良くも悪くも、ストイック。

 彼女の前にはレールがあるのだが、どういう訳か、彼女の後ろは轍と轢死体に変わっているのだ。

 一体入力から出力の間にどんな係数がかかっているのだろうか、とは考えたくない。悪い意味で正義的な宗教に引っかかるのとは訳が違う。

 完全にオリジナルな信仰。

 事実上、指導者不在の新興宗教。

 自ら、自ずから創り出す蟻地獄に、嵌る。

 そんな恐ろしい存在と平気で言葉を交わすなんてのは僕みたいな優と劣を間違えるような人にしか出来ないのかもしれない。

 だからこうして仲介してみようと試みているのであって、理解されなくてもそれはそれで、元から無駄な試みだったんだからしょうがない、という事なのだと思う。もっとも、感覚的に自分が誰かの代替になれない以上、逆説として他人のことを理解していない人なんていないと言える気がするんだけど。

 ……いや、僕の思想なんかどうでもいいんだ。

 そんなことより夢の話をしようじゃないか。

 将来の夢はなんとなく林業に従事してみようかなと思っていて、これは前にもどこかで触れたように思う。

 今の夢は、愉快なうっはうはライフ。文句は言わせない。

 では過去の夢は? となると不思議なことに、思い出せないのだ。

 何しろ物心ついたのなんで中学生の頃だし(僕みたいな社会不適合は大概遅いんだ)。まあ、早すぎるよりはマシだと思うことにしておこう。

 その代わり、断片的な記憶――つまり、夢――を探ることでこの話題を埋めてみようと思う。

 当然、地べたを這いつくばっていた赤ん坊の記憶は流石にない。だからバブー、なんてリアルに発音するのか検証出来なかったのが悔やまれる。惜しいなあ……。次に幼稚園の時だが、確かに朱夏(あやか)と遊んだ記憶はあるし、疎遠になったのも明らかだ。けどそれについての詳しい情報を、僕は知らない(なにせ物心が無いんだし)。ただ、付け加えるとすれば。

 鴫原(しぎはら)羽兎(はと)

 桜土(さくらど)真緒(まお)

 この二つの名前と顔も、幼いままだけど、浮かぶのだ。

 僕は鴫原とよく遊び、朱夏は桜土と一緒にいて、四人でつるむこともそれなりにあったと思う。

 ただ、それが最後まで続かなかったのも、憶えている。

 そして、続かなかったのが、続いた。

 友達は、続かなかった。

 もう、重なりすぎてよく分からない。

 至る所で人生の歯車がクルクルと、狂狂と回り続ける。

 という具合に、ここからしばらく僕は尋常じゃなく早すぎる反抗期――なにせ物心が付くより早い――を迎えていて、実際に子供の限度を超えたことばかり毎日のように行なっていた記憶がある。

 ナイフを持つようになったのもこの頃だ。

 そんな死んでばっかりの小学校時代(時代という言葉に言い知れない不遜な響きを感じるのは僕だけだろうか)に、筑紫(つくし)に出会い、救われて、おおよそ今と同じような人格になった。

 小学校で人格形成を完了させた僕は、中学校に入って、頭の良い人とつるんですいた方が僕も頭が良い風に見られるんじゃないかという打算としか言いようがない理由で打葉(うつは)に話しかけた結果、意外と馬が合い、友達になった。この頃からか、僕はようやくまともに物を考えるようになり、自然と人工の区別がつくようになった。

 その辺で思い出深いのは、過去や未来はほとんど人工物だというのは、みんな知ってたんだろうけど、何で誰も教えてくれなかったんだという疑問だ。それを先生に聞いたら、困った顔をされた(常識に照らし合わせれば変人と見られかねない行動がどれだけ恥ずかしい事かをこの時は深く考えていなかった)。やっぱり僕は社会不適合なんだとつくづく感じたという点で、この時の先生は印象深い。

 特に生徒を理解しようとしない所なんか、先生としてあるべき、また模範的とすら言える姿だった。おこがましくも、当時僕の先生に対する評価はかなり鰻上りだった。

 いわゆる中二病だったんだと、今は思う。まあ、筑紫がいたから昔みたいに見えないナイフをぶん回すような真似は必要な時しかやらなかったけど。

 何でこんな話をするのか、というのは続きを読んでいけばきっと分かると思う。

プチ警告ですが、


下手すると(また)更新が滞るかもしれません。

戦闘シーンという要請のため、ともすれば残酷と取られる表現があるかもしれませんが、(誤解を恐れず言えば)作者は『みんなに優しい』というものが嫌いなので、年齢制限はかけません。勿論アダルトな表現を避けるぐらいは弁えているつもりですが。

あと、意図的に読みにくい箇所が出るので、速読はおやめ下さい。


ワガママばかりですみません。それでも楽しんでいただけたらこれ以上の喜びはありません。


と、真面目ぶっても内容はふざけているので気楽に読んで頂ければと思います。

また明日。

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