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灰色のバックソード  作者: Hegira
第六連
79/95

終章メタルブラッド

まあ、何となくカッコいいし。

 僕にとって衝撃的だった日がようやく終わり、次の日。

 僕は家にいる状況に耐えられないがままにして外出して、その矢先にある人物に遭遇した。

「うむ、紛れもなく四手統那じゃないか」

「おまえ僕と誰かを間違えたのか?」

「正直なところ、今目の前で私と話している相手が本当に四手統那なのかどうか、今一自信がないと言えば、本当になる」

「ややこしいこと言うんじゃねえ!」

 夜天(やてん)浪雅(ろうが)

 ジャージ趣味。

 着る物を選び、それなりにお洒落でもしたらコケティッシュに見えるのだろうけど(ちなみに僕はコケティッシュを苔の生えたティッシュのことだと本気で勘違いしていた)、もったいないことにそんなことは全くしていない。

 まあ、だから身持ちが堅いのかもしれないけど。

 それと、なんとなく、僕の知っている中では和風な美しさが一番似合うと思う(次点は朱夏で、その次は筑紫)。

「……よしよし」

 ぽんぽん、と僕は抱擁されて……。

「って何でだよ! 何で僕はおまえに抱きしめられて頭を撫でられているんだ!?」

「無言で私の胸に顔を(うず)めるぐらいだから、何か悲しいことがあったんだろうなと思ったのだが」

 なんだ、逆だったのか……って!?

「はっ!? 待て待て、僕は他人にそんな事をするぐらいの変態レベルになっていたのか!?」

 無意識かよ!

 無意識に僕はこいつの胸を求めていたとでも言うのか!?

 いよいよもって僕も変態か!?

 言葉だけでは説明の付かないぐらいの!

「大丈夫だ。こんなのは羞恥には入らない」

「いやいやなんでそんなに冷静なんだよ!?」

 物語の主人公が変態かジェントルマンかという瀬戸際に!

「だから言っただろう。私はいつでも受け入れる準備が出来ていると」

「本気なのかよ……」

 本気だと信じてしまう冷静さだ。

「たとえ変態でも」

「僕は変態になりたくはないんだ!」

 クラスの委員長の机をペロペロ舐め回したりしない。

 あれを変態と言うんだ。

 黒猫。

 ジェリクルキャット。

 ……違うな。そもそも畑違いだし。

 そういえば、あれってストーリーを飲み込んだ上で見るもんだよな。

「まあジェントルマンということにしておこうか……で、何があった? おねえさんに相談してみなさい」

「……そういえば、浪雅は知り合いだったっけか……桐那片那って覚えてるか?」

「ああ、よく肩車して遊んでた」

「遊んでたのかよ……。その片那が居なくなった」

「居なくなった……。とはいえ知っていたんだろう?」

「いや、予告無し」

「いやな、そういう意味ではなくてな……別れる、というのは普通は誰にでもやってくるものだろう? 何を当たり前のことで悩んでいるんだ?」

「……え?」

 まさか、浪雅の口からそんな意見が出るとは思わなかった。

 ……いや、浪雅だからこそ、そんなさばさばした考えが自然と出てくるのかもしれない。

「それを言うなら私だってそうだぞ? その内君の前から急に居なくなるかもしれないし、君がどこか遠くへ行ってしまうのかもしれない。それぐらいは簡単に考えついておかないから後になって引きずる。今みたいにな」

「けど、その考えって……虚しくないか?」

「空しい……な。確かに、そうかもしれないな。そこまで割り切っているのは老成してからの事だろう。かく言う私だって少なからず片那が居なくなったことには一種の憂いと言える感情があるのを感じる。こういうのは、難しいんだ」

「……なんか今日はお前のこと見直した」

「そうか。それはありがたいな」

「何だか字数調整のために出てきたような気もするけど、ありがとう!」

「いやいや、ご近所としてそんなのは当然のことだ」

「というわけで、お金を貸してはくれませんか?」

「ふっ、大学生の金銭事情を甘く見るな。高校生は親と同級生に借りるものだ」


 ****


 まあ今回のオチはそんな所として。

 その後。

 ちょうど、独りになったときだった。

 周りには誰も何もないと思っていた。

 そんなところに、あいつらは現れる。

 再び僕を戦いの渦へ巻き込むように。

 初めから狙っていたかのようにして。

 それらはためらい無く、やってくる。

 これは誰にとって都合のいい展開か。

 そんな疑問は考えるまでもないけど。

 僕は戦い始めないといけなくなった。


 阿木本(あきもと)未遂(みすい)

 吉田(よしだ)桔梗(ききょう)


「なーんかいきなりいるんだけど。どーします?」

「いきなりいるってことは、いきなり殺せってことだろう。しかし、全然だ」

「ふーん、かーかっていいんだ」

「ああ、別に死にはしない。だが、必ずだ」

「てーか、武ー器とか持ってそうなんだけど。こーわいよ」

「おいおい、ここより安全な場所なんてのは向こうにはないんだぜ。まあ、必ずしもだが」

「そーいえば、せーんぱいは戦わないんですか?」

「それは俺が決めることではない。が、絶対だ」

「むーずかしいなあ。そーんじゃ、行きますかー」


 下手な予告を残して、続く。

というわけでワラあり波ありの……違う。笑いあり涙ありの(これも違う? お客さん、勘弁してくださいよ)第六章でした。

ああ……ついにリズムが崩れてしまった。まあ、神尾じゃないからダメージはそんなに無いけど(リズムに乗るぜ!)。

まあ未練は程々にしておいて、と。


新キャラが、最後のを含めて五人。


……多いっちゅーねん。

もうええっちゅーねん。

どつきまわしたる。

いてもーたれ。


本当にこれが関西弁かどうかは知りませんが、まあ覚えきれないの何のって。

まあ荒井ちゃんだけ覚えてもらえればそれでいいです。


ちなみに吉田桔梗なんていうちょっと面白ネーム(何が面白いかって、簡単に作れるところが)は実際に使ってる人がいたら申し訳ない、と思いながら使わせてもらいました(念の為検索したら案の定ゲームに使われてるし……)。


途中で風邪もひきましたが、無事に終わって何よりです。

また来月。

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