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灰色のバックソード  作者: Hegira
第四介
39/95

序章ディスコース

ディスコースって言うのか。

 今回の話の内容とは全く関係無い、言い換えて無関係な話なのだけれど、ちょっと僕の過去について少し喋ってみようと思う。

 無関係だった僕の過去。

 まあはっきり言えば、無いのは関係ではなく話す事、というのが正解だ。

 数少ないネタ――今回の敵についてでさえ、この僕が知る機会を逃してしまったが為に大した情報は得られていないのだ。

 名前、小間(しょうま)険静(けんせい)。出身、異世界。

 見た目にわからない情報と言えば、これぐらいだ――性格や能力はさすがの僕も弁えているからここはおたのしみ、ということで。

 後は、僕らでは勝てなかった、ということぐらいか。

 ……やっぱりもう終わった。やる気の問題か?

 まあ、

 それが頂けないから、僕の昔話を少しするので、何とか了承してほしい(了承して頂きます、か?)。

 序章の役割は基本的に行間のように存在したり、しなかったりするという方向で。


 さて、どこまで振り返ればいいのか……。


 うん、筑紫に会う前、小学校低学年の頃が僕の最も残酷無比、無慈悲無比な時期だった。

 何が残酷だったのかと言えば、僕の周囲に対する影響がと、言わざるを得ない。今にして思えば――別に『今』でもなく高校生の僕でも小学生後半の僕でも思っていたことは何ら変わらない――あの時僕は何も知らないガキ、いや、餓鬼――ある事に対して餓えて乾いていた者という意味で――だったし、それ故に劣悪を極めていたんだろうなどと、後になってみて、常々思うのだ。

 あの時、僕は何をしていたのかと言えば、何もしていなかった――いやいやそんな人並み外れた事はしていなかった。ただ、友達が欲しかったと、記憶している。

 だけど、それは過ちだった。


「おまえ、おなじみちなの? いっしょにかえろーぜ」

「うん、いいよ」


 程なくして、僕の知らぬところで死んだ。

 僕は一人になった。


「わたし、――――なの。よろしくねっ」

「うん、よろしく」


 明くる日、その子の机には何故か花が供えられていた。

 僕はまた一人になった。


「へぇ、じゃあおれのこれ、やるよ。ほら、これならちいさくてじゃまにならない」

「ありがとう」


 そして僕がそいつの最後の目撃者になった。

 貰った極小カッターナイフ(確か、社会科見学でどこかのゴミの焼却施設に行ったときの文房具セットの一部だ)はいつだったか、無くした。

 僕は更に一人になった。


 一見しても何回見ても簡潔なこれらの出来事はそれこそ文章に起こせば短編ぐらいにはなるんだろうけど、必要無いし、何よりこの僕がそんな事を許さない。死んだ友達に少なからず悼んでいる僕が、だ。


 さて、数は覚えていないけど、そんなのが際限無く再現――そんな事を言っては友達に失礼なのは百は承知なのだけど――されて、周囲もようやく気付いてきたらしく、


 僕は独りになった。


 友達になろうとするやつも、虐めようとする奴も、理解しようとするやつも、排除しようとする奴も、僕との間に人間関係を築こうとする人は全て、死んだ――ではない、それだとまるで彼らが自発的にそうしたともとられかねないので、死なされたと言おう。

 そう、悪いのは僕で、みんなは運が悪かったんだから。

 幸い――その言葉はみんなには悪いけど――既に構築していた家族なんかはどうやら、無事だった。だけど、それは僕のメンタルには関わらなかったと思う。

 勿論その全てにおいて、僕は新たに『関係』を築いただけで、実質何もしていなかったのだろうけれど、事実がどうあれそれを不気味に思わない人がいるのだろうか――いや、いたけど、そんな親切な、もしくはお節介な、もしくは厄介な人はいなくなったのだからいなかったも同じだっただろう。

 そうして、僕は筑紫に救われるまで、ずーっと独りぼっちだった。

 そんな小学生だった。僕は。

 ……まったく、自慢にもならない。

 多分僕に普通とずれた何かがあるとすれば、おそらくその辺りに原因の一端があるんだと思う。

 自分で人を切るよりも、自分の関わりが切れていく事の方がずっと怖い。

 決して『自分がされてもいいと思っていることを他人にする』なんて詭弁のような事を言ってのけるつもりはないし、まして『自分が切られてもいいから他人を切ってもいい』などと思っているわけではないけど、僕はそれだけ、関係性というものを大事にしている。

 そのためなら、ためらい無く他人の命を切ってやる。そういう人間だ、僕という人間は。……人間は?

 ……まさか、もしかして、ありきたりな表現で言えば、僕は人外と言われるのか?

 人の間、ではなく、外と。

 いや、それはいいか。

 むしろどうでもいい。何が変わる訳でもないんだから。

 さて、くどいようだが僕の事。

 端的に言って、切れ者ではないけど、切り者で、切られ者。

 それも僕の一端であるのだけど、それはつまり、極端でしかない。極端な性質という、一端。

 本質はもっと別の所にあるような気がしてならないのだ、いつも。

 いつも、足し算を間違えてしまっているような、引き算で引きすぎているような、掛け算を取り違えているような、わり算で何も割り切れていないような、自分の歩き方はちゃんとしているのか、喋る言葉は通じているのか、感じ方はみんなと共有し得るのか、考え方は逸脱していないか、呼吸の方法はおかしくないか――まあ、だからといって僕が周囲との差異、差別を気にするという事ではないのだけど――そんなような、何か重大な欠陥を抱えているような気がするのだ。

 そうして僕は無意識に自分について考えたりする時がある。一日たりとも考えなかったことは無い、とは言わないけど、ふとした時に、不意に思い出せないという事を思い出す。

 断続的な『いつも』だと思う。

 まあ、だからといって僕はそれを思い出そうとするような不安に駆られたりはしない。かえって封じ込めてしまいたいような……、それはともかく。

 そこで僕が連想するのは、何というかまあ、朱夏の事だったりする。

 名前のように、朱色が基本。

 本当は火の色。

 悪を裁く正義の炎、のような。

 僕の幼馴染み。

 …………。


 ここで偽らざる韜晦(とうかい)を言うと、僕は朱夏の事を、まあ、それなり以上には特別に想って――――おっと、じゃあそろそろ脈絡とは無関係に始めます。


ああ始まっちゃった。一ヶ月って短いねーとか老いを感じて生きている作者です。


何となく勝手に後書きコーナーでドリフトを一回転ぐらい失敗して「てへ♪」とか言えれば良いのですがこれが中々上手く行きません。「中と上を書いたんだから同じ文に下も織り交ぜろよ」というツッコミにも対応できそうにありません。

とまあいつもの冗談はともかく。

一身上の都合で意外と時間がピンチですが、何とかこのペースを保てれば意外と良い感じの軌道に乗る第四章です。よろしくお願いします。

最後に、今回のテーマは『脈絡無し』……最悪だ。

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