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灰色のバックソード  作者: Hegira
第三者
32/95

抱擁ディペンダント

 無いもの。

 呑み込む。

 帰宅。

 一旦家に帰ると、僕は桐那(きりな)片那(かたな)の声が聞こえた。


「おっかえりーおにぃ」


 どうやら母さんは買い物中らしい。僕と片那以外にこの家での人の気配はしない。

 そして僕は足元を見ながら靴を脱ぎいつものように素っ気なくスルーし、目線を上げ――


「僕はおまえの兄じゃない――バカかぁ!」


 最初に、前後の文脈が全く繋がっていないことをここに表明しておこう。

 僕が『バカかぁ!』と言ったのは、あくまでも片那の格好に対して、である。

 さて、状況その他諸々を語る。

 長くなりそうなので――という理由ではなく、無視しても大丈夫だと言っておく……というかできればしばらく無視の方向で。

 では、


 なにゆえにふろあがりのすがたですかそしてそもそももっているたおるですらすでにあたまをふくことだけにしかようをなしていないほとんどいっしまとわぬすがたまたはうまれたままのかっこうつまりすっぱだかもしくはまっぱなのはどういうことだそんなぎもんはそうまとうよりもはやくなんまんかいもよぎったけれどぼくはふろばいやかたなのへやになりふりかまわずそれこそすはだにふれるのもかまわずおしこんださわるたびにへんなあえぎがぼくのこまくをつきぬけたけどそれもこみでぼくはけとばしたじつはこのていどのやりとりははじめてではなくかこになんどかけいけんしているのでもちろんおそっていないけどこうしょりするのがいちばんときまっているのだいちばんといえばいちばんおそろしかったのはうまれたままのすがたでだきつかれたことだろうさすがのぼくもいっしゅんのきのまよいをいだいたけれどなんとかみさおをまもることにはせいこうしたつまりぼくはあれいのままでうまれてこのかたかのじょがいなかったりするしかたなはけっきょくだれともつきあわないどころかむしろつきあうとしたらおんなのことかいいだすからじっさいはつきあっていないけどぼくとしてはどうしていいやらふくざつなしんきょうでしんみょうにしているぐらいしかてはないさてそんなことをかたっているうちにかたながでてきたけどまだじょうげあわせてさいていげんのにまいしかつけていないからつっかえしたまったくなんていうはじょうこうげきだもはやぜったいてきともいえるぼうへきをきずいたぼくだからこそたえられるけどこれはひとにはみせられないないやけっしてぼくがひとりじめしたいというわけではなくなどなどいいわけをするとぼくのたちばがくるしくなるだけなのでこのへんにしておこうおっとやっとふつうのすがたででてきたこれでつぎにすすめる。


 …………

 何故だろう、漢字やカタカナに変換したり句読点を打ったり丸括弧で括ったりといった、当然であるはずの読者サービスをするのがひどく躊躇(ためら)われた文章だった。

 多分、これで正しいのだろう。

 無かったことにして次に進もう。

 なんか(別の意味で)重大なカミングアウトとかあった気もするけど。


「ねえ、義理のおにぃ」


 けろりとした顔で片那が僕を呼んだ。

 ……あれだけ拒否してもノーダメージなんだから意味わかんないんだよなあ。


「くっ、お前が居候という点を除けばその表現はほぼ正解なんだが、僕は……僕は認めないぞ!」

「あー、おにぃがツンだー、いつになったらデレるのかなー? えいえい」


 僕のほっぺを指先でぷにぷに。

 じゃなくて、


「どこでそんな言葉を覚えてきた」

「萌ちゃん」


 ついに、登場。

 あの人、『萌ちゃん』。

 誰かって? 僕と片那の共通の知人にそんなにストックは無いよ。


「あの野郎……どうして僕の家族なんだ」

「だめだよおにぃ。父親にそんなこと言っちゃダメ」


 父親。マイファーザー。ゴッドファーザー(?)。そのくせ変な名前。それが僕の父親である。

 男のくせに自分のことを『萌ちゃん』と呼ばせるっていうのは人としての感性が無いことの証明だろうが……まあ僕とセットでいるときに名前を呼ばれることがないからとりあえずどうでもいいとするか。このご時世名前に『萌』という時が付くのって結構痛手な気がする。そう考えると同情できなくもない……訳がない。それを補って余りある性格がある。ふざけてる。『ふざけるな』って言われたら逆ギレするぐらいふざけてる。

 とはいえこの場では適当に非を認めるのが良さそうではある。

 僕って大人だ。


「……そうだな。悪い」

「じゃあおにぃ、抱っこー」


「アホ!」と僕は叫んだ。

 やってられっか!

 それぐらいの沸点突破だった。こうなるとつい舌を振るってしまう。


「僕達の間柄においてその抱っこという行為には果たしてどれだけの意味があるのだろうか? そもそもそれをするきょうだいがどれだけ――――」

「抱っこー」


 打ち消された。そうだ。こいつも僕と同じだけ、逆に僕への対処法を積み重ねているはずだった。

 しぶしぶ、僕は一瞬だけ欧米かぶれになり、ハグに応じた。


「……なんでこうなるんだ」

「はぐはぐー」

「幼児かおまえは」


 その後渋々抱っこしてあげて(ぐるぐるわーいバージョン)、適当に私服を選んで着替え、僕は家を後にした。


 そして、玄関先にいい感じにキレた朱夏がいたのに、また驚いた。


ひ、ひらがなで文字数を稼いだわけではないですよ? といっても普通はカウントする人いる訳ないんですが。


今回は……はっきり言って、話数少ないです。

番外編入れずに一桁に止めてしまおうか……


今日の一言(不定期)。


前話の配色が見づらかった人、手ーあげて!?

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