怪異たちの近況報告会議
アパートの一室、一つのテーブルを複数人で囲んでいた。
「何か、報告がある人いる?」
司会をしている少女の問いかけに集まった全員が、首を横に振った。
「ンなわけあるかぁ!」
突然、司会の少女が怒鳴り、テーブルに片足を乗っけて集まっている全員をにらんだ。そして、自分の隣に座っていた薄幸そうな美少女を指さした。
「一番変化しているあんたが、なんでなんにも言わないのよ、太郎くん!」
「で、でも、怪異であるボクらは、人間の認識で外見とかが変わるのなんて、いつものことだし……」
「元々は、古いトイレにやってきた子供に「僕と遊ぼうよ」とか言って迫ってそのまま、異界に連れ去っていたのが、ちょっと前から、ツナギを着たマッチョないい男になってトイレに来た男の子の背後に立って「やらないか?」とか言ってアッーーー!! してたかと思ったら、いつのまにか、女の子みたいな格好して、誘い受けで○○したり、××したりするド変態男の娘に変わったとか、いい加減にしなさいよ!」
太郎くんの襟首をつかんでガックンガックン揺さぶる少女の肩をグラマラスな体系の美女がたたいた。
「ま、まぁ落ち着いて」
太郎くんの襟首を話した少女は、美女をギロリとにらんだ。
「何、他人事みたいな顔してんのよ、口裂け女ぁ! あんただって十分おかしくなってんじゃない! 昔はでっかいマスクつけて「私、きれい?」とか聞いて、きれいって言われたら、マスク外して、裂けた口を見せて「これでも、きれい?」とか言いながら、地の果てまで、相手を追いかけまわしてたのに、いつの間にか、そのエッチィ体で男の子をメロメロにして「私、きれい?」「は、はひ、きれいでしゅぅ」とか言わせてたかと思えば、最近じゃ、それもしないで普通に男と付き合って、男の家に上がり込んで、あまぁいひと時を過ごして「私、きれい?」「ああ、きれいだよ」「うふふ、うれしい♡」とか、掛け合いしてんじゃないわよ!!」
バンバンとテーブルを叩いて怒鳴る少女の迫力など、意に介さず、口裂け女は、そのグラマラスな体を悶えさせる。
「だってぇ、えっちな怪異になっている私を圧倒する男なんだから、惚れちゃうにきまってるでしょ?」
「はあぁ、えろ落ちしたバカなんてほっときなさいよ」
そう言ったのは、色気溢れる人妻とか未亡人といった感じの美女だった。
「何を偉そうに……私の2Pカラーみたいなのだったのが、いつの間にか、子持ちなんて個性を確立したかと思ったら、お乳が出ることを利用して△△とか、□□とかして、その最中に闇に落とすとか、もう意味わかんない! えろ怪異落ちはあんたもじゃないのやみ子!!」
はぁはぁと息を荒げる少女は、テーブルから降りて、カップを煽って喉を潤す。そんな少女の頭を慰めるように太郎くんとは、逆隣りにいた上半身だけの少女がなでる。
「ありがとう、テケテケちゃん、でも、あんた、私を差し置いて、学校のホラー映画の顔を務めて認知度高めて噂で行動範囲を広げられる特性と相まって、一時期、あんなに騒がれてたのに、なぁんで、今じゃ、デスクに向かっている男の股の間に現れて、◇◇したりするえろ怪異になっちゃったのよ!!」
「テケテケぇ~」
「照れるな! 褒めてない!」
少女は「いやぁ、照れるなぁ」みたいな感じに後頭部を掻くテケテケをひっぱたいた。
「はぁ…こんだけ言ってあれだけどさ、私もね、学校の怪談といえばって、話になったら、一番の知名度でアニメの主役張ったりして調子に乗っていたとは思うの、でもさ、学校の校舎3階のトイレで、3番目の扉を3回ノックして「花子さんいらっしゃいますか?」って声をかけられて「はい」って返事して一緒に遊んだり、ちょっとびっくりさせる程度のイタズラしてたのに、今じゃ、えっちな遊びやえっちなイタズラをするみたいになっちゃってて、それ目的でおっさんとかがくるから、シバいたら、今度は、そっち目的で来るし……大体、私は、小学生の女の子の怪異なのよ! それなのに、なんで、こんな、でっかいモノ持ってることになってんのよ! 怪異でも限度があるわ!」
そう言って花子さんは、サッカーボールを服の中に入れたと言った方が納得できそうなほどに大きな自身の胸をつかんで叫んだ。
それから、一息ついて、きれいな笑顔で言った。
「で、思ったんだけど、何でもかんでも萌えとえろに昇華する日本人っていう人種を、この地球上から消滅させましょう」
「花子さん、ちょぉっと話しが飛躍しすぎだと、おねえさん、思うなぁ」
「黙りなさい。一日ずつ、恐怖を与えて、途中で逃げればそれでよし、逃げなければ、13日目に最大の恐怖と絶望を与えて相手を殺す。から、12日間、ひたすら焦らしプレイして13日目で☆☆して相手を気持ちよく絞り殺すに変わった13階段さんは、黙ってなさい」
「えっちって、そんな悪いことばっかじゃないよぉ。お姉さん、えっちなことするようになってから、殺せなかったの一人だけだしぃ」
花子さんはこの部屋に憑りつく13階段さんを無視して台所でみんなのご飯を作っていた俺のところに来ると、俺の首をつかんだ。
「まずは、お前からだ! チ〇ポの化身めぇ!!」
「ぎゃあああぁ!!」
「だめだよ、花子ちゃん、お兄ちゃんから手を放して!」
「やめなさい、花子、娘のパパを殺さないで!」
「旦那さまを開放しなさい! 花子さん、冗談が過ぎるわ!」
「花子さん、家主様から手を放して、お姉ちゃん、怒るわよ!」
会議に出席していた怪異たちが、花子さんの腕を引っ張るけど、花子さんの腕がびよぉ~んと伸びるだけで、俺の首から手は離れない。俺は、必死の思いで、常備しているお清めの塩を花子さんの手にかけた。
「ぎゃあああああっ!!」
花子さんは、悲鳴を上げ、ようやく俺を解放した。
「乙女のお肌に何てことすんのよ! こんなにして、治すのにどれだけ霊力が必要だと思ってんのよ!
……ってことで、ちょっと、こいつ連れて行くわ。霊力を補充しないといけないから」
(一部を除いて)小学生の女の子にしか見えない花子さんは、俺をひょいと抱き上げると、そう言って、寝室へと連れて行こうとする。
「「「「ちょっと待て! さっきまでの発言は何だった!?」」」」
俺を連れて行こうとする花子さんを、全員が止めにかかる。
姦しく騒ぐ怪異たちをどうするか、考えていると、部屋の扉が、開け放たれ、巫女さんがどかどかと上がり込んできた。
「うっさいぞ! 全員まとめて、滅すぞ、コラ!!」
「「「「やれるもんならやってみろ! って花子ちゃんが言ってます!」」」」
「言ってないでしょ!」
「んだと!? やんのか、花子!!」
「話を聞きなさいよ!」
巫女さんと花子さんの激しい戦闘のさなか、隙を見て、誰かが俺を寝室へと引っ張っていく。
そして、それに気が付いた他のメンバーこちらに襲い掛かってくる。
偶々、見かけた萌化した花子さんを見て閃き、製作時間約2時間(半分以上が思いついた怪異の情報収集)。