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これは誰かの話なのですが

作者: 公爵蜘蛛

「どうしようもなく無計画だ」


 誰かがそう言っている気がする。酷い気分だが間違いない、それは真実だ。


 毎日様々なことを考えているようで、その実意味のない思考がぐるぐるしているだけ。閃いたように思えた名案も、回路がショートして白黒はっきりと明暗を分けるに過ぎない。あまりにも愚かだ。



 毎日をただ無為に過ごしている者は果たして生きていると言えるのだろうか。そう聞くと誰かがこう答えてくれる。


「生物学的に生きてるから生きてるよ」


 そう言ってもらえて、きっと誰かは幸せだろう。


「君は無為に生きてるわけじゃない。それに、生きてるだけで素晴らしいことだ」


 そう言ってもらえて、きっと誰かは幸せだろう。


「君の人生は恵まれている。無為に過ごすことは恵まれていない者には許されないことだから」


 そう言ってもらえて、きっと誰かは幸せだろう。



 ただ、どうしようもなく愚かな誰かは、それに憎しみを抱くだけだ。



 とっても恵まれているのにね? おかしな話だ。



 話は変わるが、「自分は社会の一員であり今を生きる人類です」その前提はどこで担保されているのだろうか。誰かが? 自分が? 周りが? 社会が?


 もしかしたら自分は既に生きておらず魂の残り滓が夢を見ているだけかもしれない。


 もしかしたら自分は誰かが見ている夢の住民なのであり、存在そのものが霞のようなものかもしれない。


 もしかしたらなぁんにもないのかもしれない。始めから。何もかも。



 そう考えてみると全てが怖くなる。怖くなるということは生きていたいということなのかもしれない。それらも全部独りよがりかもしれないけれど。



 誰かはそうして今日も生きているらしい。不思議な話だ。

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