⑤『リュウトの恋』突然の停電!?
「え……?」
暗くてよくわからないけど、咲希の顔がサーっと青ざめて行っている気がする。
「やだ………っ!怖い!リュウトおっ…!」
グスッ、ヒック。泣きじゃくる声。
咲希の声が泣き声へと変わる。
「大丈夫か、咲希!」
咲希の気持ちはわかる。こんな高いところで止まって、しかもいつ復活するかもわからなくて、真っ暗で。
咲希の泣く声は止まらない。
ギュッ
ふいに、咲希らしき人が俺に抱きついた。
咲希の温もりが伝わってくる。
胸が重なり、ドクン、ドクン、という咲希の鼓動が聞こえる。
俺の心臓は、ドクンドクンドクンドクンと高鳴っていく。
いくら幼馴染でも、こんなのは初めてだ。
しかも、いつもあんなに余裕たっぷりお姉さんって感じの咲希がこうなるのは、とても珍しい。
俺はそっと、咲希の背中に腕を回す。
そして、とん、とん、と背中を叩く。
「俺がいるから、大丈夫だ!」
言ってみて、少し恥ずかしくなったけど、咲希はコクンと頷いた。
すると、観覧車がガタン、と動き出す。
そして………
ぱああっと、街に灯りが灯っていく。
すごく、キレイだ………!
そして、咲希の方をみてみる。
咲希の顔が、街の灯りに照らされて、キラキラと輝いて見える。
実際、目がキラキラっと輝いている。
ただ無言で、灯りが灯っていく街を見つめている。
そしてふっと、こちらを振り返る咲希。
その咲希と目が合う。
今回はご覧いただきありがとうございます。まだ続きます。