⑰『美波の恋』美波と和希のトクベツな思い出
昔の私は、引っ込み思案のおとなしい子だった。
なので、友達も少なくて、いつも家にいた。
そんな時、親戚の天沢家の主人の息子、5才の和希くんが家に来て、私に声をかけてくれたんです。
「ねえ、お名前、教えて?」
和希くんは、その時に、フワッと微笑んだ。
その顔は、まさに天使のように可愛らしく、心が軽くなる笑顔でした。
「しき、みなみ……」
「じゃあ、みなみ。ぼくと、お友達になってくれませんか?」
ぼそりと告げた私に、和希くんは今度はにかっと、太陽のような笑顔で私に手を差し伸べた。
私は、そっと、手をとった。
すると和希くんはスッと私を立たせて、手を引いて走り出した。
「ど、どこ行くの?」
「それはないしょだよ!」
そうしてついた場所は、花畑。
四季家にあった、色とりどり、季節によって咲く花が変わる、四季家にあるトクベツなお花畑でした。
でも、普段から部屋にいた私は、こんな場所、知らなかったんです。
「わあ、きれい………!」
「ホントだね!すっごく、すっごく、きれいだね!」
私が瞳を輝かせていると、和希くんも大はしゃぎで飛び跳ねた。
「あなたのお名前は?」
「あ、ぼく?そういえば教えてないね!ぼくは、あまさわかずきっていうの!よろしくね!」
ニコッと、微笑む和希くん。
その笑顔に、私は心打たれました。
その日から、お花畑は私のトクベツな場所になって。
和希くんは、私の大切な人になって。
私は、あの笑顔で、和希くんで、心がフワッと軽くなったんです。
私が、心が。救われたんです。




