えめん
後で直すかもしれません
おもてのうらはうらのおもて。
「そのものがたりをここでおえるんだよ」
銀色のクレヨンで地図を描いた。
真っ白な壁に大きく。
「後悔はやがて蓄積し苦しめるんだぁー」
表にあるフリージアを眺めながら鼻歌を聞いていた。
「今日も暑くなりそうだねー」
「うん、本当にそうね」
200m先にある赤いポールが霞んで見えるくらい暑い。
「クーラーを強くしていいかな?」
「構わないけど電気をつくってよね」
「ちょっとぉー、冗談はやめてよ」
笑いあった。
そういえばご飯をまだ食べていなかった。
冷蔵庫にはジャムとチーズ。
しかたない、パンだね。
「ねえ、ご飯食べる?」
「うん、食べる食べる。ところでなに?」
「・・・パン」
「・・・まあ、いいかな」
「嫌なら食べないでよ」
「いや、なんていうか。嫌ではないんだけど、こう、なんというかその。もっとなにかおかず的なものがほしい気が・・」
「・・・私も」
「「・・・・・・・・・」」
「やっぱりどこかに食べに行かない?」
「ちょうど私もそう思っていたところよ」
私たちは外にご飯を食べに行くことにした。
城壁のすぐそばに新しいカフェができたのでそこに行くことにした。
「ねえ、どうせだからウォーロックも呼ばない?」
「えー。うーんウォーロックはいいけど呼ぶとアイツも来ちゃうよ?」
「いいじゃないたまには、しかしあなた本当に彼が苦手なのね」
「だって、理想ばかりで何もできない男なんて最低じゃない?」
「まあ、そうかもしれないけど。でも、魔法の腕はすごいわよ」
「んー、そうなんだけどだからこそ嫌だっていうか・・・強いなら戦えばいいのにって」
「あー。たしかにたしかに。でもまあ今日はいいでしょ?」
「わかったわよー」
メアリーはしぶしぶしたがった。
「それより早くカフェに行こうよ!暑くて暑くて」
「そうね。早く行きましょう」
カフェにつくとモーニングを二人分注文して、ユリアは電話をした。
そう、ウォーロックに。
ほどなくして彼らが来た。いや、実際にはウォーロックしか呼んでないのだけれどね。
小声でユリアに話しかけた。
「やっぱり来たじゃない」
「そうね。まさか本当に来るなんてね。あなたに気があるんではなくて?」
「ちょっと!やめてよね気味が悪いわ」
と言ったところで入口から声が聞こえた。
「やあ、今日は暑いね。暇だって言うからザーウィンも連れてきたよ」
「ごきげんようウォーロック。・・・ザーウィン」
「朝からご機嫌斜めだねメアリーは」
「生理か?」
とザーウィン。
本当に無礼なやつ。無視してやるわ。
「ザーウィン。そんなこと言っちゃダメだよ」
「そうですわ。言動には気をつけなさいザーウィン」
そうでなくても嫌われてるのですから・・・とユリア。
多分聞こえちゃってるよ?
「二人ともいつまでも立ってないで座りなさいな」
「ああ、そうさせてもらうよ。ユリア、メアリー」
さすがはウォーロックさりげなく私の近くに座った。
そして小声で「ごめんなメアリー。ザーウィンはちょっとデリカシーがなくて」
私も小声で「気にしなくていいよ、あなたのせいじゃないから」
と言った。
「お二人は何を飲むんですの?」
とユリアは聞いた。
「ここの店は紅茶がおいしいよ」
と私は言った。
「「うーん」」と二人は唸った後。
「じゃあ僕は甘いミルクティーかな。ザーウィンもそれでいい?」
「いや、俺はストレートだな。だいたい甘いミルクティーとか紅茶じゃないだろ」
それから480秒くらい二人は紅茶の話で争っていた。
「まあまあ二人とも、じゃあこうしましょう。メアリーにお二人の飲み物を決めてもらいましょう」
いいわよね?とユリア。
「なんだよそれ、ふざけんな!」
「僕はそれでいいよ。ザーウィンはなんで嫌なの?」
ウォーロックは鋭い眼光でザーウィンを見た。
「・・・・わかった。それでいい」
もはやザーウィンは反論する気持ちも起きないようだ。
「それではメアリーお願いね」
まさかここで私に回ってくるとは思わなかった。
「じゃあ、二人の好きなので」
「僕はねー。紅茶はあまいミルクティーしか認めてないんだ。」
「あのさ、だから俺はストレートが好きだっていってるだろ!」
しまった。これでは何の解決にもなってない。
「えっとーお二人さん?いい加減にしてくださる?」
と、とても黒いオーラを纏ったユリアが言う。
こ、こわい。
「「はい」」
と素直な二人。
結局ストレートティーとミルクティーに落ち着いたのだ。
とても長くて遠い日々。