ノスタルジア
光の色が淡く見えて、僕はまだあの世界にいるのか?と一瞬錯覚した。
が、それもすぐに違うと認識できた。
ピピピピーというけたたましい音がしたからだ。
とりあえず僕は、その騒音を止めようと体を起こし軽く伸びをした。
そして、騒音発生装置に華麗にチョップをおみまいしてやった。
音は止まったのだが、残念なことに時間がわからなくなってしまわれた。
「南無南無」と軽く祈っておいたので万事おっけーだ。
とりあえず、僕は着替えることにした。
着替えるためにクローゼットを開けたらそこには22世紀からきたという青いタヌキ・・・・
がいるはずはなかった。
どうも、変な夢を見てしまったせいで頭がまだ混乱しているらしい。
改めて夢の内容を思い返してみることにした。
確か、クリームシチューを食べながら変な異星人と腕相撲をして素数を数えて・・・・
では、なかった気がする。
しかし、なぜか思いだそうとすると頭が痛み何も思い出せなかった。
ズキズキと痛む頭を抱えて顔を洗いに洗面所にむかった。
ドアを開けてみると、そこは見慣れない草原で、シマウマとかアルパカとかディプロドクスとかおっさんとかが草をもしゃもしゃと食べていた。
?僕は戸惑った。
??とても戸惑った。
???すごくとても戸惑った。
ソウダ、キット、マダ、ユメノナカナンダナ
ボクハキットマダユメノナカデ
目を瞑った。
瞑想した。
黙祷した。
緊張しながらゆっくりと目を開けて見ると、そこにはいつもの日常的光景。
大理石の廊下、金の装飾を施された壁。
シャンデリアがとても高い場所にある。
窓から見える庭園は・・・・
・・・ん?
大理石?
いや、まて金?
シャンデリア?
やっぱり今日の僕は少しおかしいらしい。
きっと全部あの夢のせい、・・思い出せないけど。
とりあえず最初見た光景よりはだいぶましになったので今日はこれでよしとすることにした。
きっと、なんか今日は日常にはもどれない気がしたから。
こうなったらこの状況を楽しむしかない、と自分を無理やり納得させる。
長い大理石の廊下をひたすら歩く。
ここはどこなのか?僕はどこに向かっているのか?
この屋敷は広すぎる。
洗面所はどこなのか?
いまだにたどり着けない・・・・
顔を早く洗いたいのにー!と心の中で叫んでみても状況は何も変わらなかった。
そこで、もう一度目を瞑ってみることにした。
そして、祈りを捧げた。
これで、きっと大丈夫!とガッツポーズをして目を開けると、そこは物置だった。
なんで物置だとわかったのかというと、置いてあるものや建物のつくり、そしてなによりもこの風景は見たことがある。
そう、僕の幼いころに住んでいたあの家の物置だ。
懐かしい。とても懐かしい。
僕はしばらくノスタルジーに浸った。
すごく心が感傷的になりながらも必死に溢れだす感情を抑えようと胸に手をあててその場に立ちすくんだ。
目から一滴雫がこぼれおちたが僕は泣かなかった。
懐かしいにおいがする。ああ、とても懐かしい。
この家は確かにここに存在している。ああ、何たる奇蹟。ふと周りを見渡すと僕の●●があった。
見た瞬間に強烈な痛みが生じた。ビリビリビリビリと激しい。
電気ショックを受けたようにとてもダメージを受けた。星の瞬く間に僕は三回転した。
ほとばしる音と音と痛み。
そして紫のなにか。
「3度目はないぞ!」。
男の声がした。
そして、僕はどこかに飛ばされた。