内部に潜む罠
大変更新が遅れましてすいません。遅れた理由についてはいろいろとあるのですが活動報告に書かせていただいたコミックマーケットのことが大きいです。もっと計画的に、と思った今日この頃です。それではどうぞ。
:ジェノイド・アルメッソ
グランコートの中は静寂に包まれていた。エントランスをぬけると長い大理石の廊下が続く。
ところどころにあるステンドグラスから神々しい光が差し込んでいる。
コツコツと私の歩く音だけがただ廊下に響く。
長い廊下。
天井を見ると神獣や聖者、神が描かれている。
この廊下は非常に長いのだが10mごとに左右に銅像があり、銅像の左側は扉、右側は廊下が続いていた。
しばらく進んでいた。
最後の審判や最後の晩餐。
なにもつなっがていない。
いや、どちらも最後という点においてはつながっているか。
私は考えた。
一つ、あまりにもこの廊下は長すぎること。
二つ、同じような光景が続いていること。
この二つの点から私は幻惑の魔術にかかっているのではないかと推論した。
「私は道化なのでしょうか?」
「いえ、あなたは素晴らしいです」
どこからか声が聞こえた。
「どこがでしょうか?」
「機能性です、たんなる誇りです」
私と相手とは会話があやふあやでつながっていない。
これはどういうことか?と思考しようとしたが・・・
「ならば。この、太刀線眼流緋炎剣を受けるがよい」
また、新しい声が聞こえて私は
「はは、私がそんなものをくらうと思いますか?」
ちょっと雰囲気に流されてみた。
「くらうかくらわないかが問題ではなく、ダメージをうけるのかどうかというのが問題なのですよ」
「まったく意味がわからないのですけど?」
「わかる必要などない。この迷宮の回廊で貴様は彷徨い続けるのだから」
「それはつまり、私はやはり幻術かなにかに囚われていて、ここから抜け出せないということですか?」
「聖なるものは神なるもの。その神の、神の威光も誇りもすべて我が心情を慮る」
光が私の目の前で収束を始めた。フラッシュのように強い光が一瞬私を包み込んだ。
「うっ!まぶしい」
私は声を出してしまった。それほどまでにまぶしかったのだ。
「反転逆式。光は我に我は光に」
世界が回る。音を立てて回る。ぐるぐると回る。
そして、世界は強烈な光に包まれ、私も強烈な光に包まれた。
目を開けるとそこに立っていたのは、黄金の瞳をした青年がいた。
「愚民か・・・貴様はなぜそこにいる?我を呼んだのは貴様か?」
とても偉そうな口調でその青年は言った。
「私はたしかに愚かであるかもしれませんがあなたを呼んだ覚えはありません」
「くくく・・・自らが愚かであることを認めるのか。おもしろいやつだ。ああ、実におもしろい、実に愉快なことじゃあないか。いいだろう貴様の名は?」
「・・・よくわかりませんが。ジェノイド・・・ジェノイド・アルメッソです」
「そうか、貴様がジェノイドか。まったく、リリカが騒ぐから何事かと思ったぞ。本当に。それもこれも貴様が封印を壊したからだが」
「封印を壊した?私がですか?」
「そうだ。貴様が壊したからこうして我はここにいるのだ」
正直、意味がわからなかった。しかし、少し考えてなんとなくわかった。私がここに来るまでに壊したものといえば・・・・そう、鍵だ。ここグランコートに侵入する際に壊したのだった。もしや、あれがなんらかの封印だったのだろうか?
「くくく・・・気付いたようだな。さすがだジェノイド、ほめてやる。そうだ、だいたい貴様の予想の通りだ」
「・・・・・しょうじき、よく話がわからないので愚かな私でもわかるように説明していただけますか?」
「まあ、いいだろう。簡単なことだ。我は鍵を守る存在。いや、正確には契約によってここ、すなわちグランコートを守ることになっていた。だがな、時代が過ぎアルカディアの衛兵のレベルも上がり我のところまで来るものはめっきりと減った。そこで我はつまらなくなってな、リリカに任せて眠っていたのだ。そしたらなんだ。いつのまにか封印の鍵が壊されていてリリカが大騒ぎをするし、我も起きざるを得なかったのだ。そうして今に至る。こんなところだ。」
「・・・・そうでしたか、いろいろとすみませんでした」
「ハハハハハハ、気にするな。我もちょうど眠るのにも飽きて退屈だったのだ。しかし難儀なことだな。我は封印も壊れたのでな旅に出たいと思うのだが、路銀がない。ジェノイド、我に仕えぬか?」
どうしてこのような展開になっているのか私にはわからなかった。
しかし、いつのにか私は首を縦に振っていた。
こんなに長らくお待たせしたあげく短くてすみません。私はどうやら書くのが遅いらしいです。精一杯がんばっていこうと思いますのでこれからもよろしくお願いします。