Act:1 N.P.S.N.L.S.
最近寒いですね。
頭が痛いです、はい。
朝早くに起きた卓登は、天闇門の広場を抜けて、裏を仕切る者たちが住む
黒戦場というところにある自治組織『死と絶望の同志』を訪れていた。
「早いな卓登。今日はまだ先生は来ていらっしゃらないぞ?」
「・・わかってる。あのくそじじいが来てないことなど」
「こら!先生をくそじじいとか言うんじゃない!!」
「・・・ほっとけ」
卓登はその後も、この権藤という男にいろいろ説教を言われたが、たいして
気にしていなかった。
くそじじいが来るまで卓登は適当に待つことにした。
ふと視界に入った近くにある本棚に手を伸ばし『呪いと死』という本を手に
取った。
暇つぶしにパラパラと本を読む卓登に権藤はまだなにやら言っていた。
「だいだい君ねぇ~わかってるのかい?先生がどれほど偉大な人なのかとい
うことを」
正直そんなのどうでもいい、と卓登は思っていたがめんどうなことになりそ
うなので黙っていた。
パラパラとページをめくっているうちにドアが開いた。
そのドアから、いかにも人のよさそうな白ひげ白髪のじいさんがひょこひょ
こと出てきた。
「!!!せ、せんせい!!おはようございます!」
と、権藤は深く頭を下げた。
いっぽう卓登は「やっと来たか」と言い軽く手を振った。
卓登の中ではもっと早く来いと言う感じだったのだが、何を勘違いしたのか
ドアから出てきた老人は、にっこりと笑い卓登に声をかけてきた。
「今日はずいぶんと早くから来ていたようですね卓登君」
卓登は無視しようと思ったが権藤がものすごい目でにらんでくるので仕方なく
会釈をして「・・どうも」とだけ言った。
権藤はそれでも気に入らないらしく卓登を睨んでいたが先生がそれを目でいな
した。
「今日も天気がよくてよかったですね、卓登君」
「・・・はい」
「・・卓登・・・見つけた」
急に自分の名前を呼ぶ声が聞こえ、声のしたほうを見ようと顔を上げた瞬間な
にかが抱きついてきた。
やわらかい・・・そして、甘い匂いのするなにか。
「ん~・・・なんだねこれは?」
先生が驚いたようで冷静に反応する。
権藤は「えっと、女の子が卓登で抱きついてあああー」とあたふたとしていた。
と、いうかちょっと待て権藤、俺は女の子ではないぞ??
ってことは?
自分に抱きついていると思われるものを見る。
身長は・・145㎝といったところだろうか?
ピンクの髪で、そのふわふわとした髪は腰のあたりまで伸びている。
においは・・っと俺は変態か?
とりあえず俺がとるべき次の行動は・・・
「なあ、離れてくれないか?そして誰?」
と言いつつ両手で自分の体から引き離そうとした。
が、女の子?は自分の腰に完全に手を回していたので離れることはなく・・
「・・やだぁーー!卓登と離れるのやだぁーー!」
と騒いでいる。
あまりにも叫ぶし離れないので周りに配慮して仕方なく近くの椅子まで行き
そこに座り、抱きついているピンクのそれを自分のひざの上にのせた。
それでもピンクのそれはいまだに卓登にぴったりと抱きついていてなにかぶ
つぶつ言っている。
「ふにゃー卓登~卓登だぁ~卓登のにおいがする♪」
「・・あのさ、君は誰なのかな?どこかであったことある?」
おそるおそる卓登は聞いてみた。
なぜおそるおそるなのかって??
実は卓登は女の子が苦手だったのだ。
~回想~
なぜかというとむかし、卓登がこどものとき美菜葉という幼馴染がいたのが
原因だ。
美菜葉は・・・周りの人から見ると、とてもかわいらしくて
おしとやかなで性格もやさしい、しかも柏木グループのお嬢さま
なのだが・・・卓登にとっては違った。
なぜか、卓登は美菜葉にとても好かれていたのだが、そのせいでなんども卓
登は人生が終わりそうなことがあった。
例えば、あれは5歳だか、6歳だかのころのこと。
美菜葉はめったに柏木の御屋敷から出なかったのだが、その日はそれを見か
ねた美菜葉の親父さんが俺に美菜葉を公園に連れていくようにいったのだ。
それで、俺は美菜葉を連れて近くの海上が原公園に連れて行った。
念のため俺は、美菜葉の執事の眞庭弘道も連れて行った。
これがよかった。
つーかそれがなければ今俺はいないだろう。
美菜葉と楽しく公園で遊んでいると、同じ年くらいの子に僕もいれてくれるか
な?と話しかけられたのだ。
「ねぇ。僕も仲間にいれて?」
俺はべつにかまわなかったし、美菜葉も俺以外の友達をつくったほうがいいと
思ったので俺は「いいよ」と言ってしまったのだ。
そのとき美菜葉がちょっと黒いオーラを放っていたらしいのだが、俺は気がつ
かなかった。
そのあともその子をいれて3人で遊んでいたのだが、ふとトイレに行きたくな
った俺は「ちょっとトイレにいってるねー」と言うと「私も」と美菜葉。
もう一人の子も「僕も行く」と言い、みんなでトイレに向かった。
そこで気付いたんだ。ずっと男の子だと思ってた子が・・・女の子だって。
弘道さん曰く、俺がその子を仲間に入れた時点での黒いオーラが1とすると
相手が女の子だとわかった瞬間のオーラは10000は軽く越えていた、と。
俺はそんなこともわからず、トイレを出たあと、次なにして遊ぼうか?と考え
ていると美菜葉が滑り台で遊ぼうというのでそうすることにした。
そのあと悲劇が起きた。
女の子が滑り次は俺というときに突然美菜葉が俺を押したのだ。
そのまま俺と美菜葉は滑り台を滑り降りた。
俺は後頭部を打ち、さらに頭から滑り、そのうえに美菜葉が抱きつく形で滑った。
正直、頭が痛いし。さらに頭が擦れて痛いのなんのって。。。
あわてて弘道さんが俺を病院に連れってくれてどうにか大事にならずにすんだのだが。
それからというもの美菜葉は俺にべったりとくっつくようになって、親衛隊とかにいろいろ
と・・とこの話はまた今度っと。
~回想end~
そんなこんなで卓登は女の子が苦手だった。
それなのにいきなり知らない女の子に抱きつかれているからだ。
まさしく、これなんてエロゲ?な状態の自分に盛大につっこみた
かった。
「うぅーー!卓登のばかぁ~~!僕だよ、僕」
僕?男なのか?と考えたが、自分の胸の辺りに小さいながら
もふたつのふくらみの感触があったのでその考えを一瞬で流した。
俺に女の知り合いはいないはずなんだが・・・
「なあ、君。誰かと間違えてるんじゃないか?それと離れてくれ」
「・・・卓登・・・ひどぃ・・・・」
いや、ひどいって言われても・・なあ?と権藤を見る。
権藤はまだあたふたしていた。
先生を見る。
白い上品な髭を右手でなでながらその視線は窓の外をむいていた。
・・・たよりにならねーな、おい。
「わかった。じゃあまず名前を教えてくれるか?」
そうすればなにかわかるかもしれないしーと卓登は考えた。
「・・・ぐすっ。。ゆじゅ・・」
「ゆじゅ??」
「そうなの。ゆじゅなの」
・・・正直こころあたりがなかった。
なんだかなー もっと上手く書けるといいんだけどなーorz