第五話 久々の学院
王都に帰ってから三日経ち、今日から学院が再開される。なので、俺はレティシアと一緒に馬車に乗り、学院に向かっていた。
「そういえばエリシア」
「ん?どうした?」
レティシアに聞き返すと、レティシアは俺に疑問を投げかけてきた。
「何があって学院は臨時のお休みをしたの?」
「ああ、校舎の修繕でね」
「修繕?」
俺が知っている事を伝えると、レティシアは首を傾げた。
「高等部の先輩が起こした校舎が損壊する程の騒動って・・・何があったのでしょうか?」
「さあ、分かりません。・・・まぁ、その休暇のおかげでレティシアの事を助けられましたし」
「そう・・・それもそうですね」
俺とレティシアはそう言って笑い合った。
「お嬢様、そろそろ学院です」
「分かりました、セバス。・・・レティシア、何かあったら相談してね」
「はい、分かりましたエリシア様」
俺の言葉にレティシアはそう言って微笑んだ。
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レティシアと別れて教室に向かうと、その途中でレイナに出会った。
「あ、エリシア!ひっさし振り〜!」
「ちょっ!?レイナ様!?」
レイナは俺に気付くと、飛び付いてくるという、令嬢にあるまじき行動に出た。
俺がつい咄嗟に避けた為、レイナは廊下に全身で着地した。
「ブゲッ!」
「・・・大丈夫ですかレイナ様?」
「痛たたた・・・。うん、大丈夫大丈夫」
俺が手を差し伸ばすと、レイナは鼻の頭を撫でさすりながら俺の手を掴み、立ち上がった。
「改めて・・・。お久しぶりです、レイナ様」
「うん、久し振り。エリシア」
レイナは相変わらず明るい笑顔を浮かべるのだった。
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アストリア王国立学院の教員室・・・。そこで学院の教師が話していた。
「はぁ、ようやく校舎の修復が終わりましたね」
「ああ。・・・しかし、ゴルドーダ公爵子息には困りましたね」
「彼には悪気が無いのですからねぇ・・・」
痩せた男性教師の言葉に、彼の隣に座っていた、歴戦の猛者と言わんばかりの風貌をした男性教師が頷いた。
「・・・それで、次は希望者のみの野外実習の準備ですか」
「本当に大変ですよ。・・・まぁ、冒険者志望か冒険者の生徒しか受けようとしませんし、そんな生徒は平民の子達だけですから。平民には真面目に聞こうとする子達が多いのが救いですかねぇ」
痩せた男性教師はそう言ってぐぐっと身体を伸ばした。




