第三十四話 ヤルダバオートとの戦い
「早く死んで下さいませんか?私も忙しいので」
「はい、そうですか。とは出来ません」
俺はヤルダバオートにそう軽口で返しながらも、『霊視』『魔力視』『瘴気視』を使った。すると、ヤルダバオートの爪を禍々しい気・・・瘴魔気が取り巻いているのが見えた。
「瘴気と霊力、そして闇属性の魔力を使って霊体に直接攻撃出来るようにしているのか」
「おや、目が良いのですね」
「お褒めに預かり光栄だよ」
俺は『聖法術』のスキルと光魔法を使い、剣に纏わせた。
ピロリン!ユニークスキル『聖光剣』を取得しました。
「はぁっ!!」
「何!?」
キンッ!!キンッ!!キンッ!!
取得したばかりの『聖光剣』を使い、ヤルダバオートの爪を弾くと、ヤルダバオートの爪を取り巻いていた瘴魔気を浄化した。
「くっ!!このままでは私が不利ですね。少し本気を出しましょうか」
ヤルダバオートはそう言うと、ボロボロの黒ローブを脱ぎ捨てた。
その下から現れたのは黒い肌の男だった。男は耳は上向きに尖り、口元からは鋭利な牙が覗き、鋭い目つきをしていた。
「では、死になさい」
「なっ!?」
ヤルダバオートがそう言うと同時に、三又の尾が俺を貫こうと向かってきた。咄嗟に一本を剣で払い、二本を飛んで躱した。だが、飛んで躱した二本の尾がすぐさま方向転換をし、俺の右肩と左横腹を貫いた。
「グゥッ!?」
「エリシアッ!?」
レティシアの悲痛な声が聞こえる。俺は薄れかけた意識を必死に取り戻し、二本の尾を蹴り飛ばして離脱した。
「『グランドヒール』」
血が止めどなく溢れていた傷口二箇所に高位回復魔法をかけ、俺は傷を直した。
「中々やりますね」
「はっ!上から偉そうに!」
口に溜まった血を吐き捨てながらそう言い、俺は改めて『聖光剣』を纏った鉄剣を構えた。
そして、『身体能力超上昇』『身体強化』『剛力』『加速』『堅固』のスキルを最大出力で使用した。
「はぁあああああっ!!」
俺は叫びながら剣を振りかざし、ヤルダバオートを右から左に袈裟斬りにした。
「グゥッ!?」
「もう一丁!」
俺は袈裟斬りにした勢いを使い、くるりと身体を一回転させて、右下から切り上げた。
「ガハァッ!?」
「これで・・・トドメだぁっ!!」
そう叫びながら俺が繰り出した剣はヤルダバオートの胸へと叩き込まれた。
この戦いの結末は!?




