第三十一話 森狩り
少しグロい・・・のかな?
「ウワァァァァァァァァァァ!!」
「チッ!何なんだよ!」
俺は遠くから聞こえる仲間の絶叫を聞き、吐き捨てた。
「未熟な吸血鬼のガキを殺すだけの簡単な仕事じゃねぇのかよ!聞いてねぇぞ!こんな・・・」
俺はそこで背後を振り返ってしまった。そこには木々をへし折りながら、しかし一切その速度を落とす事なく俺へと向かってくる牛の魔獣がいた。
「化け物がいるなんてぇ!」
そして、俺の背中に何かの感触がきたかと思うと、俺の体は宙にあった。首を上げると、下に地面が見えた。
「・・・くそっ!全く割に合わねぇ仕事じゃねぇか」
口から漏れ出た悪態。それが俺の最後の言葉になるのだった。
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俺達は背中を合わせて剣を何も見えない森の影へと向けていた。
「く、来るなぁっ!!グギャアァァァッ!・・・」
遠くで聞こえた仲間の声が途絶えた。また影に潜む怪物に食い殺されたのだろう。
「何処だ!何処いる!・・・ガハァアッ!」
「またか!くそっ!」
「来るな!来るなぁっ!」
「大丈夫か!」
俺が背後の仲間達へ振り向くと、そこには喉笛を噛みちぎられた仲間の死体だった。虚ろな目は虚空を見つめ、口元から一筋の血が垂れていた。だが、首から下は食い散らかされ、臓物を散乱させていた。
「・・・何なんだよ!何で俺達がこんな目に!」
《グルルァ・・・》
俺の叫びを聞きつけたのか、茂みから漆黒の魔狼が姿を現した。
「・・・ああ、俺もここらが年貢の納め時、か・・・」
俺がそう呟いたと共に、魔狼は俺へと飛びかかってきた。生臭い風を感じたかと思うと、喉に激痛を感じたと同時に、俺の意識が混濁し始めた。
(もう・・・何も考えられない・・・)
そして、俺の意識は掠れていくのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「・・・クロ達も仕事を果たしてくれてるな」
俺は『思念伝達』を使ってクロ達の様子を見ていた。
「な、何なんだよお前は・・・」
俺の前に血塗れで這い蹲った太った中年の男がそう誰何してきた。
俺は鉄剣に付着した血潮を拭いながら答えた。
「お前らが殺そうとしていた吸血鬼の友人だよ」
「・・・へっ!そうかよ、俺達がついて無かったってだけか・・・よ・・・」
そう言って俺の目の前にいる吸血鬼ハンターは絶命した。
「・・・人を殺したってのに罪悪感が湧かないのはこれのせいかな?」
俺はステータスカードを開き、ユニークスキルの欄にある『精神安定』の文字を見た。
ピロリン!称号『殺戮者』を取得しました。
ピロリン!称号『無慈悲なる者』を取得しました。
ピロリン!称号『森の狩人』を取得しました。
その時ロウキーは森の外側を走り回って逃げ出してきたハンターを狩っていました。
殺戮者
多くの命を奪った者に与えられる称号。
殺す相手が同族だと取得するハードルは下がる。
無慈悲なる者
無慈悲な者に与えられる称号。
精神安定に補正がかかる。
森の狩人
森の中で獲物を一方的に殺した狩人に与えられる称号。
森の中での狩猟行動に補正がかかる。




