第三十話 狩りの時間
《・・・それでワイも呼ばれたんか》
「ああ、そう言うことだ」
レティシアを狙う吸血鬼ハンター達を潰す為の準備として、俺の従魔達に説明した。
《オレは良いっスが、ロウキーは戦えるっスか?》
《舐めるな、ワイの蹴りは天下一品や》
「はいはい、そこまでそこまで」
クロとロウキーの言い争いを止めると、もう一つの目的を行なった。
「流石にクロとロウキーが居ても手が足りないんだよ。けど、もう一匹召喚できる奴を思い出してね」
《ああ、アイツか》
俺の言葉にロウキーが反応した。やはり『怠惰』のスキルで召喚できるもの同士、面識があるのだろう。
「じゃ、始めるぞ。・・・『召喚:スロウスバッファロー』」
俺がそう唱えると、ロウキーを召喚した時のように目の前に光の線が絡み合い、魔法陣を作り上げる。そして、これまたロウキーの時と同じように光の魔法陣が更に輝き、その光が治るとそこには、
《Zzz・・・》
眠っている牛がいた。
「・・・え?」
俺はまさか眠っているとは思わなかった為、戸惑ってしまった。いや、牛といっても筋肉が盛り上がった焦げ茶色の身体は巌のように硬く逞しく、頭の角は太く、黒曜石の如く黒く輝いていた。
《・・・フガッ》
「えーっと・・・どうしようか、これ」
いまだ眠るスロウスバッファローに俺はどうすればいいのか戸惑い、クロとロウキーに向けて尋ねると、やれやれと首を振りながらロウキーが進み出てきた。
《起こせば良いんやろ?ほら起きな!主人がお待ちだぞ!》
ドガッ!!
《ホグッ!?》
そしてロウキーは容赦無くスロウスバッファローを蹴り上げた。
「って、ええ!?ロウキー何やってんの!?」
《あ、何慌てたんだ。ただ起こしただけや》
「いや、蹄で蹴ったら怪我する・・・」
《ふわぁ〜・・・よく寝たよ。ってあれ?これどんな状況?》
「あ、うん。何ともないなら別にいいよ。うん」
思い切りロウキーに蹴り上げられていたスロウスバッファローが呑気に体を起こすのを見て、俺は少し疲れた気がした。
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その後、スロウスバッファローが完全に目覚めるのを待ってからスロウスバッファローに事情を説明した。
《・・・なるほど〜。その悪い人達を弾けばいいんだね》
「あー・・・まぁ、そうなるな」
《分かったよ〜。・・・あ、そうだ》
「ん?どうした?」
スロウスバッファローがのほほんとしながら口を開いた。
《ボク、まだ名前貰ってないな〜って思ってね〜。だから名前付けて〜》
「あ、分かった。えーっと・・・スーファってのは?」
《スーファ・・・うん、懐かしくていいよぅ〜》
スロウスバッファロー改めスーファはそう言って嬉しそうに尻尾を振った。・・・って、
「懐かしい?一体何が・・・」
《ボクらの前のご主人様だよぉ?怠惰の魔王ベルフェゴール様もボクにスーファって名前を付けてくれたんだぁ》
(怠惰の魔王?・・・まぁ、気になるけど後でいいか。先ずは吸血鬼ハンター達を潰さないと)
俺はスーファの言葉を聞き疑問に思ったが、後で聞くことにした。
俺は立ち上がりロウキーに跨ると、合図した。
《出発だな?目的地は・・・》
「勿論、あの森だ。頼むぜ?ロウキー」
《ああ、任せろ!》
俺の言葉にロウキーは頼もしく答えて、駆け出して森へと向かうのだった。
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森に着いた俺は『メニュー』のマップと『鑑定』を使って吸血鬼ハンター達の居場所を探した。
「・・・見つけた。よし、『召喚:クロ』『召喚:スーファ』」
俺がそう唱えると、クロとスーファが召喚された。
《おっ、出番っスか?》
《いっぱい頑張るよぉ〜》
「頼むな」
俺はそう言ってクロ達の頭を撫でた。
《けど常時移動する標的の位置はどう伝えるつもりだ?》
ロウキーが俺にそう尋ねてきた。俺はそれに「問題は無い」と答え、首飾りを取り出し握った。
「エクリシオン。遠距離で会話出来るスキルはないか?あるなら創って・・・」
ピロリン!スキル『念話』を取得しました。
ピロリン!ユニークスキル『思念伝達』を取得しました。
「・・・迅速な対応ありがとう」
《どうしたっスか?》
俺の呟きが聞こえたのか、クロが尋ねてきたが俺は「何でもない」と答えた。
「それとロウキーの心配に関してだが、俺の『念話』を使えば解決する」
《そうか、なら良い。・・・早速やるぞ》
《分かったよぉ〜》
《んじゃ、行ってくるっス!》
「おう、頼んだ!・・・俺もやるか」
俺はクロ達を見送ると、鉄剣を取り出した。
「さぁて・・・狩りの時間だ」
そう呟いて、俺は駆け出し、森に潜むハンター達へと向かうのだった。




